第3話「違和感のある主人公と違和感のある敵が求められすぎる風潮こそがディストピア!」
萌香は目を覚ます。そのときに彼女は獣となっていた。
「ん?」
すぐ傍に獣がいる。
「萌香か?」
その声は海斗で間違いなかった。
「お兄ちゃん?」
萌香と海斗は狸の野獣と化していた。蛮狸である彼女たちは人類が目にする狸より多少大きい狸であるが、このように禍々しく巨大な姿ではない。
「何コレ? よだれが止まらないのだけど……」
「ここもテレビドラマかアニメの世界だよ。ふざけた事を考えてやがる」
あたりは霧に包まれていたが、その霧が晴れた。すると萌香たちの眼前に立派な剣を構えた少年と炎の球体を浮かばせる少女が現れる。
「北園さん! さがって!」
「大丈夫!? 日向君!?」
ヒュウガ? キタゾノ? 聞き覚えのある名が聴こえ萌香は戸惑う。
実写映画化までした人気テレビアニメを思い出してだ。
日向という少年が萌香たちに襲いかかる。何とか応戦しようとする海斗だったが、その戦闘力に差がでてしまっているようだ。
萌香も炎の球体が絶え間なく投げつけられる。
「何よ!? コレ!? まんま『太陽の勇者は沈まない』の序盤じゃない!?」
大声で彼女は叫ぶ。しかし北園の猛攻は止まらない。
「ちょっと待て! 私達はこの作品にでてくるマモノじゃあない!! そもそもアンタたちを襲ってもない!!! 何を勝手にバケモン扱いしてんだ!!!!」
萌香は激しく襲いかかる火炎の猛攻を避けながら北園に一撃を見舞う。
「北園さん!? よくもやったな!!」
海斗をだいぶ追い込んでいた日向は標的を萌香に変えようと方向転換する。すると彼の影が分離して彼の口と両手を抑えた。
「グムッ!?」
「フッフッフ、コイツらは俺の獲物だ。勝手に奪うなよ」
「日影」
「フッフッフ、そういうキャラクターが登場する物語で良かった。お前もわかりやすく隙だらけだらけだなぁ」
「いや、ゴミ野郎といったほうがいいか。お前の横槍は予想外だった」
「何なの!? 何を話しているの!? いい加減にしやがれ!! テメェ!!」
萌香の殴打をくらった北園に化けていた少女が日向を抑えている影の事を話す。なんのことか全く分からない萌香であったが、この状況を変える為にこの世界の主人公に化けている少年を殴りにかかる。
その一撃の瞬間に閃光が走る。
さきほどからどうも人気ドラマや人気アニメの世界に入ってしまっているようだが、それが何故なのか分からない。少なくとも此処で萌香たちは何かの役をさせられている。
これはもうまるで終わりのない夢のなかにいるようで――
∀・)読了ありがとうございます♪♪♪今回の話は昨年のイデッチアワーズ最優秀作品賞受賞の作品が人気アニメの舞台として登場させました。この流れがしばらく続きます。お楽しみに☆☆☆彡
翔という者様
『太陽の勇者は沈まない~マモノ災害と星の牙~』
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