第2話「とんでもないバケモンに出会うのも万分のイチの確率」
人生で出会うものは全て確立に溢れている。
「ん?」
「やっと目を覚ましましたか!」
「デブ? ここはどこ?」
「レインダンスですよ!」
「何それ?」
「カフェですよ」
「カフェ? ドロップアウトじゃなくて?」
「何変なことを言っているのですか?」
小泉に体を揺すられる萌香はカフェの一角に座ったまま居眠りをしたらしい。
しかし「レインダンス」と耳にして彼女は混乱してしまった。
だってそれはテレビドラマの中で登場するカフェの事だ。
「ももこさん、もう閉店の時間です」
「いいじゃない。彼女もお疲れだからほっとあげなさいよ」
「お兄ちゃん? ヒゲモジャリン?」
「あら? 急に何よ? 酒なんか飲ませてないわよ?」
「いや、ヒゲモジャリンってこんなオネェだったか?」
レインダンスの店員となった海斗が萌香の肩を力強く掴む。
そしてハッキリと耳打ちをしてみせた。
「知ったように演じろ。僕達はテレビの世界に閉じこめられた」
「閉じこめられた?」
店にから一人の女子が入店する。すぐに海斗が「玲さん? どうかされました?」といかにも素朴な可愛さを纏ったその女子へ声をかける。
「すいません、潤さん、忘れ物をしまして」
「落木部玲」
「どうしたの? ももこちゃん、急にフルネームなんかで呼んで?」
「お酒を飲んだ訳じゃないのにお酒を飲んだ感じになっているのよ。アナタたちってマブダチでしょう? 何とかできない?」
状況が掴めなかったが、だんだん掴めてきた。この空間は人気TVドラマの『パーセント・エイジ~カフェ、レインダンスへようこそ!』を捩ったものだと。主人公の百瀬潤に海斗、店長に大地、そして萌香は澤井ももこ。人気アイドルの綺羅めくるとしてこの空間にいる事になる――
「それで何でこのデブがマネージャーの新田になるのよ!?」
「ぶほへっ!?」
萌香はマネージャーの新田ことCEAの小泉を思いきりぶった!
「たいへん!? 何しているのぉ!?」
「萌香!?」
一同は騒然とする。この空間にいる落木部玲を除いて。
「宝くじで億の金額が当たる確率よりも、空から降ってきた隕石に当たる確率が高いと、何かの本で読んだことがある」
「チョット! アンタまで何を言っているのよぉ!?」
「大地さん! その女に近づくな!」
「はぁ!?」
パシパシッ! と大地は落木部玲の肩を叩くが彼女は動じずに話を続ける。
「初めて知った時は純粋に驚いた。というか単純に、宝くじが当たって億万長者になっている人が実際にいるのだから、隕石に当って死ぬ人はそれよりも多いという理屈が成りたつことに。僕はこの地球に生まれたことを呪った。少しだけ。何のことかわかるか?」
「アンタもこのドラマが大好きってことはわかった。このドラマの最初に百瀬潤が語る有名なナレーションだからね」
「ふふふ、話には続きがある。圧倒的な力でどんな生物でも金縛りに合わせる者がいたとしよう。その金縛りにかからない生物ないし個体と出会ったときにその者はどう思うと思う?」
「知らん。私たちをココから出せ。バケモン」
萌香と落木部玲以外の人物は冷や汗を垂らして全員が固まっていた。
「興味が湧く。なぜ通用しないのかと。百瀬潤が落木部玲に一目惚れしたように」
「知るか。作者の山崎山に謝れ。バケモン」
落木部玲だった者は全身を瞬時に真っ黒にする。しかし、すかさず目を真っ赤にした萌香が彼女へと殴り掛かった――
『想像以上だ。さすがヨシカの娘だけあるな。天晴れ』
『笑っている場合か? 春醒総動員でいくぞ。今すぐ』
何者かの話声が聴こえる。そして萌香たちは次のステージへと飛ばされた――
∀・)読了ありがとうございました♪♪♪本話では山崎山様の名作『パーセント・エイジ』を人気TVドラマという事で登場させました。そうです。コレなんです。本作の序盤のほうで「やりたかった」というのがね。「劇団になろうフェス」と絡めてやったら混乱が激しかったと思うので終わってから始めた訳ですね。これから様々な作品が人気テレビドラマやアニメそして映画で登場します。一体何の目的があってこんな事になったのか?毎週楽しみにして貰えたら幸いです☆☆☆彡
山崎山様
『パーセント・エイジ 〜カフェ、レインダンスへようこそ!〜』
https://ncode.syosetu.com/n6899db/