PROLOGUE:DROP OUT~星の王子様~
私がこのヘンテコな喫茶店で働くようになって1年が経った。
「いや、アンタがヘンテコなのでしょうが」
憧れのカフェで働くということでワクワクした出勤初日、バブリースタイルなヤクザに拳銃をつきつけられてはソレをスマホで撮られるは最高に地獄な1日であったもので。あれからよく懲りずにここで働き続けていると思う。
迷惑なことに私が心配だからと私を追ってきたホモの兄が店長の髭モジャリンに恋しちゃうわ。その兄に恋する魔女のストーカーババァがやってくるわ。
「髭モジャリンじゃないよい」
「ストーカーじゃないよ! 愛の狩人だ!」
それから引っ越し屋の仕事をすることになったのだけども、そこの上司の大串さんが実は魔女でストーカーババァの子分ということで私につきまとってくる。
「話の内容が違い過ぎるぞ! 私は大串じゃない! 鷹山だ!」
「もう大串でいいじゃないですか? 大串副長」
「便乗するな! 山崎!! あと私に向けているそのバズーカを仕舞え!!!」
この魔女の連中が今ではすっかり店の常連になっている。
「私の紹介がないよ?」
あ、このガングロギャルは銀山ソラことソラたん。色々あったけども、喫茶店「ドロップアウト」で仲良くやっている私のマブダチ。彼女の正体は超能力者でごくたまに彼女の仲間だった連中の下っ端のデブが店にやってくる。
「口が悪いわね。私はガングロギャルじゃないわよ。黒人」
「ガングロギャルって言ったほうが親切じゃない?」
「むしろ腹が立つわよ。黒人の超能力者って言ってくれたほうが誤解されないわっていうか、何さっきからボソボソ話しているの?」
「いやぁ~この私の毎日がテレビドラマだったなら、どんなナレーションになるかなぁって想像していたの」
「こんなクリスマスイブの夜に何を妄想しているのやら……」
「今日はつかれたよー。ストーカーババァ筆頭に変な宴会なんてしちゃうから、まるで居酒屋だったじゃん」
「まぁ……確かに。でも、楽しくってよくない?」
「私は全然楽しくなんかなかった」
「それはそうと今日はテレビで面白いことをやるっているみたいよ?」
「こんな聖なる夜だか性なる夜だか分からない夜にやっている番組なんてロクなものないでしょうが」
「随分ひねくれた性格ね」
「私はレズビアンなの。そこらへんにいる簡単にリア充になれる奴とは訳が違うわい。しかも私のターゲットはたった一人。もふもふ王国・神埼ちゃんの一人」
「え」
「どうしたの? 何でそんなビックリした顔をしているのよ?」
「いや、この作品を読んでいる読者全員が驚いているわよ……」
そこでホモの兄が「こっちの拭き掃除が終わったよー」と声をかけてくる。
「まったく。あの兄は何をさせてもトロいわ。トロいわ」
私は溜息をついて興味がないテレビ番組を観る。
テレビに映っているのは人気タレントの伊達賢治、それと私の故郷である愛媛県知事の中谷篤子。愛媛県にいる聾唖の占い師「エリザベェス」が来年の日本を占うというのだ。
「本当に趣味が悪いわ。こんな番組で高視聴率とれるこの国なんか終わったわ」
私は思ったことをそのまま口にする。ソラが「おもしろい番組」と言っていたが、私はそういうのに共感しない勇敢なマイノリティだ。
『トップン、トップン、トップン、ウィ~それで九尾よ、これからとっておきのものをみせてくれるってぇ?』
ん? 伊達賢治ってこんなキャラクターだった?
『フフフフフフフ、そうだぇ。ラグナロクの再演だぇ』
中谷知事はもっと可笑しいぞ。
私、コイツのことは元から好きじゃないけど。
『…………………………』
エリザベェスという占い師の女の子はずっと水晶玉を無表情で見つめながら、両手をかざしている。
水晶玉が光る。
同時にテレビから眩い光が放たれた。
「萌香!!!」
咄嗟に兄がその謎の光から私をかばおうとして覆いかぶさった。
そして始まる。
私とお兄ちゃんのその漂流記が。
そこで私が思い出すのは蛮狸と人類の歴史また私自身の真実で――
∀・)いやぁ~やっと始まりますよ。ローファンタジー作品「ドロップアウト」の本番がね。劇団になろうフェスは明日で終わるのですが、公認アクターの全員が登場しました。信じて貰えないかもしれないけど、すべて計画のうちです。さて、ここからうまくやっていけるか。いでっちの戦いもはじまります(笑)応援を宜しくお願いします☆☆☆彡




