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DROP OUT~C'MON BABY AMERICA~  作者: いでっち51号
~林萌香の生きる道~
20/72

第19話「その友情に特別なモノを求めるなんて私は野暮だと思うの」

 銀山ソラはその日も引っ越し屋の仕事に精をだしていた。上司から昨日の仕事終わりに「新人が入ってくる」と伺っていた。出勤早々に顔を合わせることに。



「ドロップアウトでもお世話になっております! 林萌香です!」

「………………」



 見間違えだろうか? 振り向いて目を擦る。しかし、何度それを繰り返しても彼女が視界に入ってしまう。



「何をしているの?」

「いや、どうやってここが分かったのかと?」



 もうその現実を受け入れるしかなかった。萌香曰く「ドロップアウトとは別に仕事をして欲しい」と頼まれた為に仕事を探し、ここで働く事にしたという。



「たまたまって事?」

「そうだね。たまたまって事になるよね」

「そんな偶然あるのかしらね……」

「ソラたん、私を疑っているの?」

「だってアナタが全然驚いてないもの」

「驚くようなことはあの喫茶店でありすぎたから。こうして偶然また出会っても、何だろう。そういう運命なのだなって私は思えちゃうの」

「神様みたいな人ね。いや狸さんと言ったほうが正解?」

「何とでも。でも、今日は知って貰えたらと思っている」

「何を?」

「私はソラたんが思う以上に働きものだよ!」



 萌香の仕事ぶりは確かにしっかりしていた。



 小柄な体型ながらも力仕事はソラ顔負けの速さと積極性をみせる。



 仕事の内容も気兼ねなく質問してきた。



 とってもイイ後輩だな。彼女と一緒に動けば動くほど実感するばかりだ。



「何か飲む?」



 束の間の休憩時間に自販機を持って萌香に話す。「マジで!? ありがとう!!」と彼女は喜んでみせた。



「確かにアナタは真面目な働き者ね。能天気な化け狸さんだと思っていた」

「何よ~能天気って~」

「うふふ、何でもない。ドロップアウトについて知りたい?」

「うん。話してくれるなら。聴きたい」

「そう。じゃあ今晩仕事が終わったら」



 ソラの働く職場へ入職したのは偶然ではなかった。萌香が大地に聞いて知った事であり、彼女ともっと打ち解けたい想いもあったから。



 時間はかかると思っていたが、思いのほか彼女の想いは早く実を結んだ。



「うわぁ~もっとスピードおとしてぇ~」

「そこまで怖がる事ないでしょ~楽しみなさいよ~」



 萌香はソラの運転する単車の後部座席に乗った。



 発車して間もなく肌触りに違和感が。



 狸になった萌香が後ろにいた。



 そうか、緊張したら狸になるコだったな。ソラは思い出して微笑む。



「ただいま」



 ソラはドロップアウトに帰ってきた。どうやら大地と2人で此処に住んでいるようだ。ドロップアウトは2階だての家で1階が店になっている。地下室もあるようだが、そこに店で使う物が貯蔵されているらしい。



「右が店長の部屋で左が私の部屋」

「へぇ」



 いや、萌香は知っていた。あの手紙を読んだ朝、勝手に彼女は2階へ上がったのだ。そこで大地を起こしてソラの事を尋ねた。勿論、ここでそれは言わないが。



「綺麗な部屋だね~」

「こう見えて趣味の1つは片付けよ」

「うん。聞いてない」

「うふふ、生意気ね。そこに掛けて」



 萌香はダイブするようにソファーへ腰かけた。



 ソラはテレビをつける。どのチャンネルも夜のニュースをやっているようだ。チャンネルをまわしている内に萌香が推しているモフモフ王国が画面に映った。すると萌香が「これで」と言うのでその番組を観ることにした。



「じゃあ、飲み物をとってくるから。ゆっくりしていて」

「うん」



 店まで降りて何か作ってくるのかな? と少し思いつつ彼女を待つ事に。



 そのときにスマホが鳴った。



「お兄ちゃん?」



 海斗からの電話だ。でも、今はでなくてもイイ気がした。



 ソラが天然水を持ってきた。



 萌香は「安上がりだねぇ~」とちょっと嫌味を言いつつも「じゃあ。聴かせて。ドロップアウトのおはなし」とソラに微笑んでみせる。これにはソラもその表情に合わせるしかなかった――



∀・)萌香&ソラ急接近の巻でした。次回ドロップアウト&ソラの事が明かされます。お楽しみに。

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