第18話「禿げ頭の話が長いオッサンと胞子を放出してそうなボサボサ頭のオッサンが秘密基地で作戦をたてるそうです」
舞台は関東の埼玉。その奥地地下に巨大な科学研究施設があった。
「その狸にボコボコにされてしまったと?」
禿げ頭の白衣を着たその男はコーヒーを片手に五十嵐拳志朗にさらっという。
「牧野、不覚でした。総督の禿げ具合と同じぐらいに申し訳ない」
「てめぇ、ハゲジジィに失礼だろうが。わきまえろ」
「いや、お前のほうがだいぶ失礼だよね? ハッキリ言っているよね?」
ここはCEA総本部。CEA総督の舛添枢が拠点を置く研究施設も兼ねる。
彼は世にある不思議なものを捕えては研究対象にする闇科学者であった。だが、その「やりすぎの研究」は批判が集まるばかりでもあった。そこで彼は秘密国家組織を立ち上げ、形だけ雲隠れするような形で研究を進めている。
「この巨大なロボは完成間近ですかい?」
「ああ、その予定だったが、まだ搭載したいモノがあってな。その研究がまだまだ進んでないところもある。計画を進めるには道半といったところだ。ここで完成させてもいいものだが……ジレンマでね……」
「例の粒子?」
「そこまでは教えられない。未知の領域で確かではないからな。それより、狸にボコボコにされたって話の確認のほうが先決でないかね? 私は気になって狸のことを改めて調べ尽くしたものだよ。これが面白くてね」
「やたらレスポンスが長いのを何とかしろよと牧野は言いたいです」
「だからハゲジジィに失礼だ。お前」
「君ら、わざとやっているよね? ちゃんとそれなりの給料をだしているよね? 何か不満でもあるっているの? おい」
「その時の証拠が綺麗サッパリないから信じて貰えないかもですが、俺の義手は木端微塵に破壊されました」
「ふむ。確かにその時の状態を目にしない限りは何とも言えないが、色んな事が同時に生じすぎているな。君らを暴行したメス狸と君らを救った不死鳥らしき鳥は仲間なのかどうなのか。仮に仲間だとしたら、どういう目的で君らを治したというのか。辻褄が合わないその状況は一体――」
そこから舛添の話が小1時間ほど続く。
「という事でその喫茶店をマークして貰おうか」
「話が長すぎるぞ! ハゲ! と牧野はいつ言おうか考えておりました」
「言えたな。ハッキリもの申せる後輩がいて頼もしいとやっと思えたよ」
「君ら、仲悪そうで仲いいな。まぁ生意気な態度はいくらでも許してやると言うことでどうだ? 広島のその店を偵察して貰うというのは? ボーナスも追加でやってあげるから。いつもよりだぞ? どうだ?」
「神泉組も絡んでいます。第一我々は彼女たちと素手で喧嘩した。それが何一つなかった事として接近する事は難しいと思いますが……」
「わかった。一人そちらへ送りこもう」
「電波な文言ばかり言う後輩は勘弁してくださいよ?」
「誰が電波後輩だ? この胞子放出機と牧野は唾を吐きます。ペッ!」
べちゃ!
五十嵐拳志朗はCEAの総司令官を務めている。それは公安警察としての表の顔を持ちつつの役。その彼がメアリー・ダーマーと五味秀一をマークする一連の動きに登用されているのはその重大さを現わしている。
しかし事態はその想像を超えるものであった。
彼らにとって「ドロップアウト」は思いもよらない存在となる――
∀・)読了ありがとうございます♪♪♪舛添氏は舛添氏のイメージでOKです(笑)(笑)(笑)