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海へのオマージュ

作者: 薄雪草



その渚のことを思うと

いつも思い浮かぶ人がいる


名前は知らない

自然の近くに住んでいて

朝に小鳥の声を聞くのが好きなこと

好きな本に、花と音楽

それに誰か大切にしていた人がいたこと

それ以外のことは

住んでいる土地さえ知らない

わたしの長い道行きを少しの間

さりげなく支えてくれた人だった


記憶から遠ざかって

最後は印象だけになった

今はどこにもみつからない

あの日の凪いだ渚は

どこに行けば見つけられるだろう

そうしてあの人は

今はどうしているのだろう





その古い本を見つけたのは

本当に偶然だった


朽ちかけた木の棚に置いてあった

何冊かのスケッチ帳

手にとって開くと

最初のページには

星月夜に輝くような

夜の渚が描かれていた



寄せては返していく波音が

画用紙から聞こえて来るようで

それはわたしに静けさをくれた

渇望していたもの

その色合いは薄暗いのに明るくて

穏やかさのなかに静けさがあり

月と星のあかりが海面に揺れていて

足元をさざなみが

洗い流していくような気さえした



それから砂浜には

白い貝殻が一つ落ちていた

それを拾って耳にあてれば

遠い異国の海の音が聞こえるような

そんな白い貝殻だった

低くどこかから響くように

距離を超えていくものもあるのかもしれない



絵の中に描かれた貝殻は

拾った人に幻影を見せてくれるらしい

そのことを知ったのは

余白に書かれたメモ書きからだった

その絵を描いた人は何を思っていたのだろう

とても近しかった思い出の人の

優しい声と手を思い出すように





そんな絵を描いた人は

今はいない

その絵も今はもう見られないから

こうして記しておこうと思う









また、独りよがりな詩を書いてしまいました。。

フィクションですよ。ほぼ。

感想をいただいちゃうと後から消しにくいので閉じています。

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