表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/12

耕す

3・職業その1

 第一次産業の就労が島民のほぼ半数を超える。漁業・水産業が一番多く、次に農業、林業と続く。鉱業は鉱脈が限られているため、かなり少ない。



「おまえぇさんは、本当に筋がいい」

 バナットの祖母のコルキナは、カラタが手伝いに行きはじめた5才のころから、変わらずそう褒め続けた。そのお陰か、まあ、他に人もいなかったせいもあるだろうが、血縁でないにも関わらず、コルキナの瓜畑をカラタが継ぐことに、誰も反対を唱えなかった。それにカラタはコルキナが亡くなった時、14才にして、立派な瓜を作ることができるようになっていた。

 バナットと結婚することが決まった時、カラタは畑を守りながら、バナットの新しい家族を見ているだけの立場にならずにすんで、心底ほっとした。

 畑はカラタのものだけれど、この高台にある高床の家は、コルキナのたったひとりしか残らなかった孫のバナットが受け継ぐことに決まっていたし、カラタの祖母の家からここまで通うことも大した苦労ではない。だからもしも結婚しなかった時、カラタは毎朝畑の世話に通い、畑から見える家に住む誰かにもやもやした感情を抱いていたかもしれなかった。

 そう思うとカラタは胸がぎゅっと苦しくなる。結婚した今も、まだなる。

 バナットが幼馴染という以外のどんな理由でカラタと結婚しようと思ったのか、カラタはよくわからない。それでもバナットはちゃんとカラタを好きで大事にしている。胸がぎゅっとなっても、バナットの気持ちがわかっているから、それは安堵の上にある。たまに確かめたくなる「ぎゅっ」である。

「ただいまぁ」

 瓜畑いたカラタに、坂道からバナットの声が届いた。今日は帰りが早い。声が明るいから、大物が獲れて早く帰ってきたのだろう。

 えいやっと、大きな瓜を持ち上げると、カラタは家に向かって歩きながら応えた。

「お帰りなさぁい」

 慌てたように、バナットが自分の獲物を置いて走ってくるのが見えて、カラタは知らず微笑んだ。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ