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海のある街 ほか
海のある街
あなたの生まれた町へ行きたい
あなたの育った町へ行きたい
海に面しているという
私がまだ行ったことのない町
車でしか行けないという街
車を持っていない私が
もし
そこへたどり着くことができたら
私の知らないあなたに
たくさん会えるような気がするのです
西日
いくら日差しをよけても
車の中に入ってくる西日
ふいをつかれて
その眩しさに一瞬目がくらむ
そのとき
あなたの存在は
西日に似ているな と
ふと思いました
歩く
でんでんむしの背負う
殻のように
私のかなしみは
私だけのもの
あなたのかなしみは
あなただけのもの
背負うべくかなしみから逃げている間
それは
自分の半分でしか生きていないようなものなのだから