第4話 進捗報告①
◆◆◆
『で、せっかくサクラさんが誘って来たかもしれなかったのに、ユキカズはヒヨって何も出来なかったと』
「うぐ……面目次第もございません……」
夜。電話で数奇屋に今日のことを相談すると、呆れたような声が返ってきた。
『全く、これだから童貞は……』
「どどどど童貞言うな! それを言うならお前だってそうだろ!」
『さあ? どうかな?』
「……え、嘘だろ? だってまだ高校入って三か月……」
『ユキカズは大事なことを忘れている。……僕らには中学生、そして小学生という時代があったことを』
「はああああああああああああああああああああああん!?」
こ、こ、こ、こやつっ! こやつまさか!? まさかまさかなのか!? こやつまさか終わらせているのか!? しかも今の言い方だと小学生で!? そんな馬鹿な話あるか!? いやでも数奇屋の見た目なら十分あり得る! アリエール! こんな人畜無害そうな顔をしてまさかのヤ○チンクソ野郎なのか!? いいいいいいやあああああああああああああああああああああああ!!!!
『ま、冗談だけど』
「ですよねえええええええええええええええええ!?」
『だって僕、レイカのお守で忙しかったし』
よ、よかった……一瞬気が狂いそうになってこいつの家に凸してぶん殴ってしまおうかと思ったぜ……ふう、危ない危ない。
『冗談はこれくらいにしておいて……本当に、サクラさんがユキカズのことを誘ったの?』
「……誘ったと言われれば、ちょっとあいまいかも……?」
そもそもあれは、本当に俺を誘っていたのだろうか。
俺と咲良は、テレビ公開告白から手しか繋いでいない。その先にまで至っていない。
もしかしたらあのボディータッチは、純粋に俺に触れたかっただけなのかもしれない。
あの胸元を開けた仕草は、本当に暑かっただけなのかもしれない。
そう考えると……。
「……俺、頭の中は野獣なのかも……」
『何を今更。男は大なり小なり皆野獣だよ。むしろ、好きな人と一つ屋根の下で一緒に暮らしてて理性を保ってるユキカズは、大分凄いと思うよ』
「だって好きな人を傷つけたくないし」
『思春期男子高校生だね』
「うっせーわい!」
確かにへたれだけど! へたれですけど! 好きな人を傷つけたくないって思いは同じじゃないですか!?
『ふーむ……サクラさんの考えがいまいち分からないね。でも、ボディータッチをしてきたなら、少なくともユキカズと触れ合いたいとは思ってるはず。そこは間違いないと思うよ』
「そ、そうか? 信じていいんだな!?」
『…………』
「……何か言って!?」
いきなり無言とか不安になるから! 不安しか残らないから!
『ま、気長に行こうよ。僕らの作戦はぶれず、じっくりじっくり、だよ』
「……おう、分かった」
『じゃ、おやすみ。ユキカズ』
……はぁ……咲良の考えかぁ……。
「それが分かれば、こんなに苦労なんてしてないんだろうな……」
漫画やアニメでよくある、相手の好感度が見えるやら相手の思考が読めるやら……そんな特殊能力があればいいんだが……幸か不幸か、これは現実だ。そんなファンシーでファンタジーな都合のいい能力はない。
なら俺がすることは……。
「地道にアタックし続けて咲良の気持ちを高ぶらせることのみ……!」
夏休みは始まったばかり……俺達の夏休みは、これからだ!
◆◆◆
『へぇ~。ふぅ~ん。ほぉ~う』
『胸元をはだけて~、谷間を見せつけながらぁ、ぱたぱたと仰いだんだぁ、咲良ちん』
「ぁぅ……は、はいっ、頑張りました……!」
で、でも2人とも、にやにやしすぎ……! そんな顔で私を見ないで……!
その日の夜。私はLIMEのビデオ通話で、紅葉ちゃんと夏海ちゃんと一緒に通話していた。
内容はもちろん、今日の進捗の報告だ。なんか社会人みたい。
『それで、時田っちは手を出してきたん?』
『個人的にはリビングで押し倒してエッチしようとしたときに親が帰ってきてお互いにムラムラしたまま一日中過ごしていざ2人っきりになったら獣のように求めあうシチュがとても大好物です。抜かずの5回キボンヌ』
『誰も夏海の性癖の話はしとらんわ』
……? ちょっと夏海ちゃんが何を言ってるのか分からないけど……。
「て、手は出してきてない、かな。でも絶対、意識はしてくれてると思う……!」
『……咲良ちんのデカパイを目の前で見せつけられて手を出さないって、ちょっと心配になるけど……』
『ウチ的には、それはそれで好感度たけーな。咲良っちには悪いけど、親友を簡単に食っちまう男ってのもこの先不安だし』
むぅ……私的には、早くエッチなこととかいっぱいしたいんだけどなぁ……。
「……あ、そう言えばさ、2人って初体験とかどうだったの?」
『『……………………え?』』
……何、今の間は?
「いや、だから初体験。いっぱいアドバイスしてもらったけど、2人のことって余り聞いてこなかったから……もしかしたら参考になるかもしれないし、聞かせてもらってもいいかな?」
『『…………』』
「……あれ? もしもーし?」
電波が悪いのかな? 2人が固まったまま動かない。
『ア、アー。オフロハイラナキャー。ジャーネサクラッチ』
『アーシモー。サクラチンマタネー』
「え? ちょ、ちょっと……!」
……切れちゃった。何だったんだろう。変な2人。
面白い、続きが気になるという方は、ブクマや評価をお願いします。
感想、レビューもお待ちしています。
☆☆☆☆☆→★★★★★
として頂けると嬉しいです。




