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私はまだ噛まれていない

作者: サスペンダーケン

「噛まれた!」

ついに噛まれてしまった!


これで私もゾンビの仲間だ。

今や世界中がゾンビだらけだ。

そのほとんどがゾンビといってもいいだろう。

この日本も例外ではない。


さて、これからどうする。


人によっては噛まれてすぐにゾンビになる者もいれば、3日後にゾンビになる者もいる。

私はいつゾンビになるのか。

そしてどんなゾンビになるのか。

国や地域、環境により様々なゾンビが次々と現れている。

噛みつくゾンビ、走り回るゾンビ、何もせず座っているゾンビ。

最近ではダンスをするゾンビや仕事をやろうとするゾンビまでいる。

だがそれは稀なケースで、ほとんどのゾンビはただ棒立ちでのろのろと動き、人を襲うことはほぼ無くなっている。

ゾンビの目の前を人が歩いても無気力にのろのろと動くだけだ。

今は残忍な雄叫びを上げ襲い掛かるゾンビなどいないのだ。

ゾンビは死んだ目で列をなして集団でのろのろと歩いてる。


だから少し油断してしまった。


私は噛まれた。

あと数日か、数時間か、もしくは数分でゾンビになる。

そう思うとなんだか急に気力が失せてくる。

私は見よう見まねで、のろのろと動きゆっくりと首を傾けたりしてゾンビの列にまぎれた。


何も考えることなくこうやって私は動き続けるのか。

まあ今更どうでもいいことだ。


プルプルプル!

私の携帯電話だ。

ポケットの携帯電話が鳴っている。


プルプルプル!ぴっ!

「はい、もしもし」


私が携帯電話に出ると一斉に周りのゾンビがにらみつけて来た。

そのギラギラと今にも襲い掛かろうとする目を見て私は気づいた。


こいつら人間だ。


今はもう日本にゾンビなどいないのかもしれない。

発症後すぐに蔓延は収まっていたのかもしれない。

私は携帯電話を道路に落とし再びゾンビの列にまぎれた。


そう私はまだゾンビに噛まれていないのだ。




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