表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

燻り

作者: 東雲 夢希

祭囃子と子供たちの嬌声。

提灯が照らす夜。


少し薄暗くなった向こうで、その暖かな光を眺める。

匂い立つ蚊取り線香がなんだか鼻の奥をツンとさせる。

ゆらり、ゆらり、と揺れる音頭に耳を澄ます。



いつの間にか祭囃子は止んでいた。

ぬるくなったラムネは甘い水になっていた。

見えていた暖かな光も今は寂しさを漂わせる橙の色。

代わりに頭上に大きく輝く、力強い光の玉があった。

体の奥底にまで響く音を全身で受け止める。

痛いくらいの静寂にラムネの瓶でささやかな抵抗を図る。

それもむなしく夜闇に溶ける。


煙草の火が暗くなった辺りを少し照らす。

賑やかさはとうの昔に消え失せて、むせ返るような暑さだけが残った。


季節は夏。

凋落のはじまり。

後に残ったのはもみ消した煙草から立ちのぼる紫煙だけだった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ