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対面



アメリアに説得されたものの、やっぱり憂鬱な気分は抜けなかったが、アリシアの気分をあざ笑うかのように空は明るく澄みきっていた。


案内された部屋には綺麗に飾られた白いユリの花。


「この国の花は全てが美しいのね」


アピシィア王国よりも花が色鮮やかで美しい。

他国ではおとぎの国や吟遊詩人の愛する国とも言われるのも頷ける程だ。


「アリシア、その花は・・・」


その時だった。


ノックの音が聞こえる。


「失礼するよ」


そこに現れたのは。


「ユリウス殿下!」


病で部屋にこもりがちだったユリウスだった。


急いでアリシアとアメリアが膝をつく。


「顔をあげてくれないか」


「はっ!」


「はい」


アメリアと共にアリシアも顔をあげると、顔色もすっかりよくなったユリウスに安堵した。


「アリシアちゃん、君にはなんてお礼を言っていいか解らないよ」


「殿下?」


キョトンとするアリシアにユリウスは同じ視線になるように膝を折る。


「ユリウス様!」

王族がひざを折るのはあってはならないことだ。

直ぐに立ち上がらせようとするが、ユリウスは止めなかった。


「君のおかげで私は取り戻すことができた。私の大切なものを・・・王太子としてではなくユリウスとしてお礼を言わせてほしい。ありがとう」


「ユリウス殿下」


「アメリア、流石君のお孫さんだ」


隣にいるアメリアを見て微笑を浮かべる。



「聡明で優しく勇敢だ。まさしく彼女は伝説の姫巫女に相応しい品格を持っている」


「恐れ入ります」


「お婆様?」


状況が解らないのはアリシアだけだった。


「私は改めて君に弟の妃になって欲しい・・・孤独な弟を支えて欲しいんだ」


そっと手を握るユリウスは王太子殿下としてではなく兄として願った。


「私の弟は黒髪と黒い瞳の所為で災いを呼ぶとあらぬ憶測で冷遇されている。本来ならば王位を継ぐ立場にありながら私と対立を避け王位を返上してしてしまったんだ」


その所為でさらに立場は悪くなる一方だったと告げられる。


「あの子は誰よりもこの国を想っている。だが私が病にかかってしまって・・・こんなことに」


「あの・・・ユリウス殿下。そのお方とは」


冷や汗が流れる。

確か当初、アリシアに縁談が来たのはこの国の第二王太子だと聞いていた。


ユリウスは第一子だ。


「名をアラン。私の弟に当たり、現在は王立騎士団団長をしているよ」


目の前が真っ暗になった。

頭の中で何かが割れていくような気がした。


「何も知らずに出会ったのですね?話を伺った時は驚きましたが。これも神のお導きですわ」


「そうだね。私も最初は驚いたよ。アメリアのお孫さんがアリシアちゃんとは・・・貴族のお姫様にしては元気が良すぎるから」


「申し訳ありません」


苦笑しながらもアメリアは詫びを入れるが自分が若い頃とそっくりだと思い出す。



「けれどその破天荒さが必要だったんだ。だからどうか」



私の大事な弟を救ってほしい。


切なる願いを込めて告げられる。



「私からもお願いいたしますわ」


背後に控えていた二人の人物にアメリアはギョッとする。



「陛下!王妃!!」


「え!」



この国の両陛下の登場に唖然とするアリシアだったがすぐに頭を下げる。



「よい頭をあげよアメリア」


「はっ!」


「そして姫巫女よ」


「はい・・・」


未だに頭を下げたままのアリシアは緊張して顔をあげることができなかった。



「この度はユリウスを救ってくださり誠にありがとうございます」


美しい金髪に透き通るような深い海のような色の王妃は微笑む。


まるで慈愛に満ちた女神様のようだった。


「ユリウスから話は全て伺いました。癒しの者や巫女たちが絶望的だと諦めていましたのに・・・感謝してもしたりません」


「いえ・・・闇に打ち勝ったのはユリウス殿下の強いお心とアラン様の兄君への想いです」


切っ掛けこそ作ったが闇に打ち勝つほどの強さを秘めていたのはユリウスで、悪霊を滅したのは聖剣を使いこなしたアランだった。



「私は・・・なにも」


顔をあげることもままならず告げたアリシアは姫巫女とよばれることを何一つしていないと告げた。




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