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迷い子



馬車から窓を眺める。

今すぐ逃げ出したい気分だった。


「言っておきますが、今回だけは許しませんわよ」


「はい・・・」


アメリアに厳しい目を向けられて不可能だと知る。


「まったく折角の美貌が台無しですわ。お城に招待されたというのに・・・」


「招待という名のお見合いですよね」


「・・・・バレていましたか」


我が孫ながら聡明だと笑みを浮かべるアメリアに悪いが、こんなことで褒められてもうれしくない。


「お婆様、私は没落したいです」


「まぁ、何をおっしゃるのです?」


「私はもう、王族に関りを持ちたくはありません」


この国の両陛下を知らないので悪く言うつもりはない。

けれどアリシアはこれ以上醜態をさらしたくなかった。


「上王陛下との約束も違えることになってしまいました」


「貴方に罪はありません」


「これ以上家名に泥を塗りたくないのです」


王妃になるように物心つく前から厳しく言われ、それに見合うだけの努力をしてきたが、結局意味がなかった。


ならば貴族を捨て平民として生きていく方が誰の迷惑にもかからないのではないか。


そう思えてならなかった。



「アリシア、ユリウス殿下はどのような方でしたか?」


「え?」


「貴方から見て次期王となる方を見てどう思ったのです?」


アメリアは問うた。


アリシアはその質問の意味が解らなかったが思ったことを素直に答える。


「お優しく弟思いの優しい方でした」


「ではその弟君は?」


「美しい方でした・・・性根のまっすぐな方です」



一度きりの出会いだったがはっきりと告げる。

兄であるユリウスはとても優しく聡明な人柄で、弟であるアランは心から兄を慕い孤独ながらも騎士としての品格を持っている。



この国の王族である二人は素晴らしい人だと思ったのだ。


「ならばもう少し長い目でみてはくれまいか?」


「お婆様」


「この国は私の祖国。貴方の母上の祖国でもあるのだから」


この国を自分の目で見て触れて。

そしてこの国を守る王族のことも知って欲しい。


そのうえで決めて欲しいとアメリアは願った。



ここまで言われてしまえば何も言えなくなるアリシアは頷く以外できなかった。





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