祖父母の願い
徹夜でアンナにお説教を受けたアリシアは睡眠不足だった。
ケガも酷かったので絶対安静と言われていたのだがとんでもない事態が起きた。
「大変だアメリア」
「どうしましたフランツ」
「両陛下から直々に手紙が来た」
「え?」
王族の証である紋章のついた手紙を見て驚くアメリア。
「もしや見合いのことか?」
「ですが、あれは・・・」
結果的に相手もその場所に来なかったので白紙に戻ったはずだったのだ。
「手紙にはなんと?」
「城に招待したいと」
見合いの件は不問にするが一度アリシアに会いたいとの胸が書き記されていた。
「どうする?」
「王の命令ですわ」
臣下として従わなくてはいけない。
「あの子の首に首輪をつけてでも連れて行きますわよ」
「うっ・・・うむ」
「どうしました?」
城に連れていくことに悩んでいるフランツ。
「私は、アリシアを王族に嫁がせるのは酷ではないかと思っている」
「貴方・・・」
「アリシアはお前に似て聡明だ。故に貴族の娘として嫁がせ籠の鳥にするならば王族に仕える侍女となる方が幸せではないか?」
アリシアの聡明さは貴族の令嬢に収まるものではなかった。
聡明で正義感が強く優しい性格で柔軟性もある。
学問にすぐれ貴族の令嬢としての気品を持ちながらも王族を支える臣下としての才はかなりのものだった。
先を見据え何が最良か見極める能力に特化しているからこそ、ハルステッドの妃となり補佐を務めるように教育して来たのだ。
その結果アリシアが得たものはつらい立場のみ。
「私はアリシアに幸せになって欲しい・・・王族の妃などあの子を再び苦しめるのではないか?」
「フランツ、貴方の気持ちは解っています」
アメリアも孫が可愛くないわけではない。
むしろ可愛くて仕方ないのだ。
だからこそ今回の話を受け入れた。
「あの子は嫁ぐべき相手を間違えたのです」
「何?」
「この国に嫁ぎ国を背負うことこそあの子の役目でありあの子らしく生きる唯一の方法だと思っていました」
アリシアの幸せを願うのはアメリアも同じだった。
だからこそ見合い話を持って来ても最終的にはアリシアに選ばせるつもりだったのだ。
「あの馬鹿王の馬鹿息子に我が孫は相応しくありませんわ・・・私は最初から反対でした」
「仮にも息子が宰相を務める国の王太子殿下ぞ?」
「関係ありませんわ」
ツンとするアメリアは愛する孫を裏切り傷つけたハルステッドを許す気は毛頭なかったのだ。
この国にアリシアを呼び、アピシィア王国に帰す気は無かった。
「何はともあれ」
「城に行かなくてはなりませんね」
二人は深いため息をつくのだった。




