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こころ

まぶたに受けるママからのおやすみのキス

作者: 白石 瞳

目を閉じると色は褪せてるけれど

セピア色の懐かしい写真のように脳裏のうりに浮かぶ



ママから受けるおやすみのキス

片手にお友達のヌイグルミを抱いて

片手にはママの手


胸に小さなりぼんのついた

ふかふかしたネグリジェ

ママとパパが誕生日にプレゼントしてくれたお気に入り

私には、お気に入りがたくさんあるの


ネグリジェは毎日きたいから

”せんたくしないで”って言ったのよ

毎日あるから

ママは約束まもってくれてるのよね?



ゆっくり私にあわせてくれて階段をのぼり

部屋に入るとパチンと電気をつけて

背伸びをしてつま先立ち

ママにつかまって目を閉じるの

でないとママが私に届かないから


しゃがんでそっとまぶたに優しいキスをくれる


私がベッドに入って

ヌイグルミも横に寝かせてる間に

ママはもう1度

私たちの部屋に入ってきて


両手で持つようなカップのココア

マシュマロいりの温かいココア

ビスケット2枚と一緒に置いてくれる

小さなスタンドの黄色いあかりをつけて

ママは部屋の電気はパチンと消して出ていくの

もう一度”おやすみ”と言いながら


私はママからのキスを同じように

お友達のまぶたにキスをする

目は閉じてくれないけれど

ビスケットを口元にもっていって

”パクパクパク”



もうもらえないママからのおやすみのキス

大きくなったから大丈夫なの


私も同じように

おともだちと一緒にベッドに入り

ココアを飲む子供が出来きて


ママになった私が”あなた”に

おやすみのキスを


いつまでマシュマロいりのココアと

ビスケットがいるんでしょう


”あなた”が望むまで

大丈夫と思う時まで

いつまでも

まぶたにキスをあげる



読んで下さって、どうもありがとうございます。

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