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俺の彼女は隣に住む幼なじみ。だけど――。
俺の彼女は謎だ。
授業中、彼女は先生の話も聞かず、一心に手を動かしている。黒板の板書でないことだけは確かだ。だって、今、黒板は何も書かれていないのだから。
授業が終わり、俺は彼女の元へ行く。
「よぉ。何書いてんだ」
「ダメ、ダメ、ダメェ。見ちゃダメ」
彼女は悲鳴を上げて、机に伏せてノートを隠す。ゴツンと音がした。慌てすぎて、頭を打ったのだろう。
「……大丈夫?」
「……痛い」
そりゃな。痛そうな音がしたし。
「見ないから、顔上げろよ。瘤になってないか、確かめてやるから」
彼女は疑わしげに、顔を上げた。そして、サッとノートを机の中へ。
こうして、俺は今日も彼女の謎を解けない。