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フェミとリリア。

少しだけ性的な表現があります。

おかしい、バトル物書いてたんだけどな。


 リーフェの妨害に屈する形で、私はムッスーとした顔で椅子に座っていた。

 リリカフェイトのノリの良さなら、ワンチャンあったのに。


「改めて、リリアちゃんのエーテルドレス、『リリアライト・プリンセス』は肉弾戦特化のドレスだよ。武装は猫の手を模した拳打用の手袋『キャットクロー』だけ。あとは呪文で威力の高い体術技が出るよ。後々リリアちゃんが考えた技とかも追加できる。性能的にはリリアちゃんの離宮くらいの大きさの岩なら殴れば弾け飛ぶくらいの力が出せるよ」


 二人の専用装備、リーフェリアル・ウィザードとリリアライト・プリンセスに付いて大体の説明を終えて、残り四種のエーテルスーツについては明日に回すことにした。

 エーテルドレスよりも出力が高いのて、エーテルドレスに慣れないと危ないのと、性能の説明に屋内だと限界がある事が理由だ。


「では、リリアライト様の側仕えと護衛を室内に迎えます。宜しいですか?」

「うん。心配してると思うし。ドレイクかうちのメイドに、リリアちゃんがコッチに泊まる準備もして貰ってね」

「畏まりました」


 席から立ち上がって、恭しく腰を折ったリーフェは滑るように部屋の入口まで歩いていく。エーテルドレスのお陰で、体力も回復と筋力補正で歩ける様になったようだ。

 それを眺めていると、リリアちゃんが控え目に手をあげた。


「あの、お姉様? リリアはどこで寝れば良いのでしょうか?」

「え? フェミと同じベッドじゃ嫌かな? 昨日そう言ったよね?」

「え!?」


 せっかく姉妹一緒に居られるのだから、同じベッドで仲良く寝れば良いと思っていたけど、貴族的にはダメなのかな?


「お姉様と、同じベッド······。えへへー♡」

「嫌だったら、何とかするけど」

「いいえ! リリアはお姉様と一緒に寝ます!」


 またもファクトリーの無駄遣いで超高性能ベッドでも作り上げようかと思案すると、リリアちゃんは力強く否定した。

 リリアちゃんとイチャイチャ過ごしたいけど、私は嫌がられてまでそうしたい訳では無いのだ。


「もし嫌だったら言ってね? フェミ、リリアちゃんのお願いは何でも聞くけど、嫌がる事はしたくないの」

「はい。リリアは昨日から今まで、お姉様が命を懸けたこと以外に嫌な事はありませんでした。リリアの為にこの様な魔道具まで作っていただいて、仲良くして頂いて、リリアは幸せ者ですわ」


 花が咲くような笑顔に心があたたかくなって、リリアライト・プリンセスを着たままのリリアちゃんの傍まで歩いて抱き着く。


「ふふふー、もっと幸せにして上げるからねー!」

「リリアも、お姉様の幸せの為に頑張りますわ」


 昨日初めてあった時から、困ったり泣きそうな顔ばっかりだったのに、今日はよく笑ってくれる。

 少しでも心を許してくれたのなら、首輪爆弾を身に付けた甲斐もあったかな。


「お嬢様、ドレイクとクエルト、ただ今参上いたしました」

「お嬢様、お怪我などはございませんか?」

「あら、クエルト? お姉様がリリアに何かすると思っているのですか? クエルトを信用していますが、お姉様にあまり失礼を働くようなら、リリアは考えなくてはいけません」

「い、いえ。決してその様な意味では······」


 リーフェに連れてこられたドレイクは跪き、クエルトもそれに倣いつつもリリアちゃんの身を案じている。

 それを聞いたリリアちゃんが少し顔を曇らせたので、まだ笑ってて欲しくてクエルトを援護する。


「リリアちゃん、クエルトは魔道具の影響を心配しているんだよ。昨日魔道具を取り込む時に凄く辛いってフェミが言ってたから、リリアちゃんを心配しているだけだよ」

「そ、そうですお嬢様! 体に不調等はございませんか? 何やらお召し物が変わっておられますが」


 私の援護に急いで乗っかるクエルトに苦笑しつつも、抱き着いていた腕を離してリリアちゃんを二人から良く見える様にして上げる。


「あら、そうだったのですね。でも、お姉様がとても良くしてくれるので、心配には及びませんわ。こちらの素敵なドレスも、お姉様の魔道具の一つなのです」

「あ、あの、それは俺達には見せられない話では······?」

「あ、違うよ。見せられないのは奪える状態の時で、今はもうどうやっても奪ったり出来ないから見せても大丈夫なの。聞かれたくない説明も終わったしね。明日はお母様にお願いして城の外に行って、魔道具の試運転をするから、その時は護衛の仕事もして大丈夫だよ」


 実はフェアリーゼには既に、街の外まで行って魔道具の実験をする旨をメールにて伝えている。

 明確には答えが来ていないが、何とかなりそうな感触だったのでそのまま計画している。

 フェアリーゼが少し渋るくらいなら、追加のリティットでも作ってあげれば済みそうだしね。


「おお、それは良いですな。貴族の習わしとは言え、幼いお嬢様方が城に閉じこもるよりずっとよろしい。ではお嬢様の荷物は後ろのワゴンにありますので、私は明日の準備をして参ります。リーフェリアル殿、お嬢様をお任せしてもよろしいかな?」

「ええ、承ります。お嬢様は明日の朝の鐘には城を出るつもりですので、昼食の準備もお願いします」

「ええ、ではこちらでお嬢様の夕食の準備もお願いしても?」

「もちろんです。何よりお嬢様がリリアライト様との団欒を望んでいますので」

「では、その様に」


 話がついてドレイクが部屋を出ていく。

 リーフェもそれに付いていき、部屋の外で待機しているメイド達に指示を出す。


「えへへ、お泊まりだよリリアちゃん!」

「ふふ、楽しみですわ」

「ねー。あ、リリアちゃん。それ解除する時は『ドレスアウト』って言うと普通の服に戻るよ。エーテルドレスに戻しても良いんだけど、エーテルドレスは『今着ている服を模倣する』から、見た目がリリアライト・プリンセスのままになるね」

「ドレスアウトですわ」


 リリアライト・プリンセスのデザインを気に入ってくれていると思ったら、ノータイムで解除された。

 少し残念に思っていると、リリアちゃんが私の貸しているドレスの胸元を手で持ち、顔を寄せていた。


「えへへ♡ お姉様の匂いです······♡」

「リリアちゃん? どうしたの?」

「あ、いえ、お姉様からの贈り物なので、少しはしゃいでしまったのです」


 頬を染めているリリアちゃんに、だけどエーテルドレスも贈り物だよね? と問いかける。


「その、それは、リリアがお願いしていた物と、お姉様から下さった物の違いなのですわ」


 ああ、なるほどね。

 確かに賢者の石と黄昏の首飾りは、リリアちゃんからのお願いに答えた物で、この普通のドレスはただ私から贈ろうと提案した物だ。そりゃ嬉しさも違うか。


「お嬢様、今日はとても楽しそうですね」

 

不意に、リリアちゃんの後ろにポジっていたクエルトが静かに声を出した。


「クエルト。リリアはお姉様に会うまでは、お姉様がどの様なお人柄なのか分からなくて不安でしたわ。でも実際にお会いしたら、とても良くして頂きました。お姉様の魔道具はとても信用の無い者には渡せない物でしたけど、それを託して頂ける程にリリアを信用してくれているのです。リリアは、こんなにお優しくて素敵なお姉様が居て幸せなのです」

「リリアちゃん······」


 こんなに、こんなにいい子で可愛いのに、本当にガノドライグは何を考えてリリアちゃんを離宮に閉じ込めていたのか。


「くぅー、フェミもリリアちゃんみたいな可愛い妹が居て幸せだよー!」


 そんな微笑ましいやり取りの後、しばらく談笑しながら時間を潰すと夜の鐘が鳴った。夕刻の鐘っていつ鳴ったのかな?


 いつもお茶会用のテーブルをそのまま使っていたけど、二人で夕食を摂るには手狭だった。メイドが夕食を運んで来たのと同時に、別のメイドが部屋の隅のフライヤーの近くにテーブル置いて料理を並べていく。


 リリアちゃんとそっちに移動する時に、そっとクエルトが私に寄って頭を下げてきた。


「申し訳ありませんでした。数々の無礼をどうかお許し下さい」


 料理が並ぶまで席には座らず、キラキラした目で様子を見ているリリアちゃんには気付かれない程度の声で謝罪され、どう言うつもりなのか聞いてみる。


「お嬢様のあんなに楽しそうな顔を見たことがありませんでした。俺がフェミリアス様の提案に食ってかかったのは間違いだったのでしょう」

「······ねぇ、クエルト? 馬鹿なの?」

「······っ!? か、返す言葉もありません」

「違うよ。そうじゃないよ。クエルトはちょっと考えが足りない。いい? よく聞いてね」


 昨日から思ってたけど、この人は考えが浅いというか、愚直というか、護衛の兵士には向いているんだろうけど、貴族の側近としてはどうなのかなって思ってしまう。


「あのね、クエルトは何も間違ってなかったよ。初めて会った人間が、自分の主人を一人にして良く分からない魔道具を使うって状況なら、クエルトの態度は置いといて判断は間違ってなかったよ。何も反対せずに送り出す方が護衛として間違ってるでしょ? 今リリアちゃんが笑っているのは結果論。フェミが悪い人じゃなかっただけなんだよ。リリアちゃんが大事なら、そこを間違えないで。たとえリリアちゃんに嫌われたとしても、リリアちゃんの安全を一番に考えて。あなたはリリアちゃんの護衛兵士なの。フェミはあなたの行動を否定しない。あなたはリリアちゃんの幸せを願っていた事はリリアちゃんだって分かってるよ」


 高いところにあるクエルトの目を見て、言い聞かせるように喋る。

 コレを機に、クエルトがリリアちゃんの信じる人を全員信じる様になったら目も当てられない。それだけは間違っては行けないのだ。


「フェミが渡した魔道具を使えば、リリアちゃんは大抵の困難なら打ち砕ける強さを手にしたよ。だけど守る人が要らないなんて暴論にはならない。間違えないでね。クエルトはリリアちゃんの護衛なの。リリアちゃんを危険から遠ざけて護るのがお仕事でしょ。フェミにどれどけ無礼を働いたって良いよ。リリアちゃんを護ってくれるなら。それがあなたの仕事なんだから」


 話しは終わり。そう言ってリリアちゃんの傍まで行く。


「······護衛と言っても、姉には勝てないな。本当に六歳なのか?」


 はしゃいでいるリリアちゃんの頭を撫でるのに忙しくて、クエルトの呟きは聞こえなかった。


 ともあれ、私が知る限りの料理をリーフェに提案して用意してもらった夕食は好評だった。

 私達が食べ終わると、使用人が交代で食事に入る。

 その間にリーフェを護衛兼世話役として、リリアちゃんとお風呂に入った。

 広々しているとはいえ、私用の部屋に備え付けられている個人の風呂場は流石に三人では狭かった。

 二人ともリーフェに綺麗に洗ってもらい、仲良く湯船に浸かる。

 

 お風呂場は全体的に白い石造りで六畳程度。

 風呂場の半分を丸い作りの浅い湯船が占めていて、幼女二人と大人一人だからまだ不自由しない狭さだけど、リリアちゃんと私が大きくなったら無理だろうな······。


 湯船で裸のリリアちゃんに抱き着いてイチャイチャしながら、リーフェにも一緒に入ろうと提案するも断られた。

 ちなみにリーフェは、ウィザードを解除してメイド服のスカートをまくって、スカートの内側に付いている紐を使って止めている状態の着衣だ。


「お姉様、あの······、ん······」

「ふふふー、リリアちゃん可愛いよぅ!」


 後ろから抱き着いて、リリアちゃんの小さい膨らみを両手で堪能しながら猫耳をハムハムしていると、流石に見かねたリーフェに止められて入浴が終了した。


「本当に洒落にならないので、自重してくださいませ。お嬢様はどこでその様な事を学んでくるのですか」

「んーと、夢の世界?」

「リリアライト様は普通の五歳児なので、悪影響を及ぼすなら今後お二人の距離を開けさせて頂きますよ」


 くっ! 私のスケジュールを管理しているリーフェに止められたら、リリアちゃんにマジで会えなくなってしまう。ここは言う事を聞いておこう······。


 シャワーは無く、桶で湯船からお湯を汲んでザバッと被ってから体を拭いてもらう。

 それからリーフェに二人とも着替えさせてもらって、ベッドに入る。

 リリアちゃんはお風呂に入る前に着ていたドレスをまた着たがったが、淑女が同じ服を着るのは有り得ない上に、今から寝るのにドレスは着れないとリーフェに言われて泣きそうになったが、何かを察しているリーフェが私の薄桃色のネグリジェを出すとリリアちゃんはすぐに泣き止んだ。


 二人でベッドに潜り込むと、男性であるクエルトはもちろん外に追い出された。

 しかしリリアちゃんが居る状況で、私の側仕えだけが部屋に居ると言う状況もダメだとクエルトが主張した結果、いつも扉の前で私が寝るまで待機しているリーフェが、ベッドのサイドチェストに小さいベルを置いて部屋の外で待機することに。


「二人きりになっちゃったね」

「·········あの」


 隣で横になっているリリアちゃんを見ると、なんだか頬を染めてぽーっとしている。


「どうしたの?」

「······先ほど仰っていた、イケナイ事とは、なんですか?」

「ふぇ?」


 質問の突拍子の無さに驚いていると、リリアちゃんが私の腕を縋りつく様に抱き締めた。


「······なんの事かは、分からないのですが、お姉様にナニカをされると思うと、胸がどきどきして、嬉しくなってしまうのです」

「り、リリアちゃん?」


『リリアライト様は普通の五歳児なので、悪影響を及ぼすなら······』


 リーフェにさっきお風呂場で言われた言葉が脳内でリフレインする。

 あ、もしかして手遅れだった?


「えっとね、イケナイ事って言うのはね、フェミ達みたいな子供がしちゃいけない事なんだよ?」

「······湯船でお姉様がリリアにしたのは、イケナイ事だったのですか? ······リーフェさんに止められていました」

「あ、うん。ごめんね? リリアちゃんが可愛くてちょっと」


 リリアちゃんの方を向いた私の胸に、顔を埋めてくる可愛い妹が、私の体を抱きしめる。

 そのまま、リリアちゃんの小さい呟きと一緒に吐かれた息に、胸辺りが熱を溜める。


「·········あの、お耳······」


 私の胸に顔を埋めているから、リリアちゃんの猫耳が私の口の前にある。

 えっと、お風呂でハムハムしたの気に入っちゃったのかな?

 まぁ、お耳をハムハムするくらいなら、ギリギリ健全?


「······あむっ」

「ん······♡」


 金色の猫耳の先っぽ、グラデーションで赤くなっている所を口に咥えると、リリアちゃんが甘い吐息を漏らした。

 そのまま舌でぺろぺろ遊んでいると、リリアちゃんは息を殺しながら体をビクビク震わせて、私を抱く腕に力が篭っていた。

 

 あれ? これヤバイやつ?


「お、お姉様······、もっと······」


 あ、ガチでヤバイやつじゃないコレ?

 

 私はリリアちゃんを可愛がりたいけど、道を踏み外させるつもりは無いのだ。

 どうしよう、止めるべきなんだけど、ちょっと楽しくなってきている自分も居る。

 

 どうしようか悩んでいる間もぺろぺろし続けている私は、取り敢えずリリアちゃんを抱き締め返して、頭を撫でてあげる。

 リリアちゃんも尻尾を私の腰に巻き付けてきて、ギュッと体を寄せてきた。

 しばらくすると、リリアちゃんの震える体が一際大きくビクッと揺れた。


 その瞬間、リリアちゃんの全身が脱力して可愛い寝息が聞こえてきた。


「ありゃ、寝ちゃった?」


 少し体を離して顔を除くと、上気した顔で息を零す可愛い寝顔があった。


 ちょっと状況は不味かったけど、甘えたかったんだよね。

 親に頻繁に会えるわけでもなく、周りには使用人と兵士しかいない状況は五歳の女の子には辛いものだったはずだ。


「こんなお姉ちゃんで良ければ、いっぱい甘えてね」


 多分賢者の石を取り込むダメージが残っていて疲れていたのだろう。

 寝てしまった愛しい妹を抱き締めながら、私も意識を手放した。



 朝、早朝の鐘より早く目が覚めてしまう。

 腕の中ではまだ可愛い妹が寝たままで、部屋にはリーフェもまだ居ない。

 目の前にある猫耳を何となくまた口に咥えると、腕の中で寝るリリアちゃんの吐息が漏れる。

 

 あれ? なんかリリアちゃんの耳、美味しくね?

 ほのかに甘い気がする。


「·········はぁ、ぁん······。おねえ······さまぁ······♡」


 まだ寝惚けつつも起きてしまったリリアちゃんに、挨拶の代わりに頭を撫でてあげた。

 うん。やっぱり甘いよ? なんだろ、ミルク系の飴を舐めている時の、美味しいんだけどもどかしい、もっと欲しくなる甘さ。


「んんんーっ·········!」

「あ、またやっちゃった」


 気が付いたらまたリリアちゃんがビクッとなったあと、クターっと脱力している。

 いや、うん。違うんだよ? ちょった美味しくてさ、止まらなかったの。

 やばいやばい。私も何だかんだ寝惚けてたよ。


トロンとした目のリリアちゃんを撫でて、何とか誤魔化そうとする。


「おはようリリアちゃん。よく眠れたかな?」

「はい······♡」


 リリアちゃんの顔を見ると誤魔化せそうに無いと悟る。うわー、リーフェに怒られる。どうしよう?


「あのねリリアちゃん。今のと、寝る時の事は二人の内緒ね?」

「ん······」

「リーフェにバレたら、リリアちゃんに会えなくなっちゃうからね」

「それは、嫌です······」


 優しく頭を撫でてあげると、小さく頷いて了承の返事をくれた。

 

「あの。また一緒に寝ても良いですか······?」

「もちろんだよ。リリアちゃんはファミの妹だもん」


 嬉しそうにしているリリアちゃんを精一杯甘やかしていると、早朝の鐘が鳴った。

 前世の感覚だと、どこが早朝やねんと突っ込みたくなるが、もう慣れた。


 鐘が鳴ってすぐにリーフェが入ってきて、既に起きている私達に朝の挨拶を済ませて、顔を洗った後にテキパキと着替えさせてもらう。

 

 聞いてみると、リーフェは既にエーテルドレスを起動しているらしいので私達も起動した。


 リーフェの支持で運ばれてくる朝食を食べらながら、リーフェに次の指示を出す。


 フェアリーゼにメールを出して、リーフェに城の正門から外に出る許可証を取ってきてもらう旨と、それと合わせてドレイクの方の準備の確認。

 あと街の外まで出るのに馬車の手配と、付いてくる護衛の人数調整と確認など。

 朝食を食べらがらリーフェに指示を出し、リーフェが部屋から出ていくと、リリアちゃんがまたキラキラした目を向けてきた。


「側仕えにしっかり指示を出すお姉様は、とても恰好良く見えますわ。リリアはまだ、ドレイクに教えられているだけなのです······」

「うーん? フェミは自分のやりたい事を伝えてるだけだよ? それが出来るかどうか、どうすれば最善かはリーフェが判断してくれるから、難しく考えないで、取り敢えず口に出してみたら良いんじゃないかな?」


 部屋に残ったメイドに給仕され朝食を終えると、部屋の扉がノックされる。入室を許可するとドレイクとクエルトが入ってきた。


「おはようございます。お姉様、フェミリアス様」

「おはようございます」

「おはよう二人とも。お預かりしたリリアちゃんはご覧の通り、元気だよ」

「おはようございます。ドレイク、クエルト。今日の準備はよろしくて?」


 リリアちゃんをドレイク達に任せて、私はファクトリーを起動した。

 昨日説明出来なかった四種のエーテルスーツと、二人の専用エーテルドレスの戦闘訓練をする為に、対戦相手を用意することにした。

 まず、宇宙船が惑星に降りている時に船の護衛をする為に作られていたエーテルゴーレムを改造して、それを保存して置ける端末を作る。

 端末は腕輪型でゴーレムは人形、虎型、翼竜型を準備。

 ファクトリーの中で組み上げたものを腕輪に転送、そのまま腕輪を私の腕にロールアウトした。

 活動停止に追い込むと、腕輪に自動で転送されるシステムを入れたので、戦闘終了がわかり易くて訓練には丁度いいだろう。


「お嬢様、全て確認が終わりました」

「うん。許可証はリーフェが持ってて。馬車はどうなったの?」

「お嬢様の護衛を私が兼任するとして、四人乗りの馬車が二台になります。組み分けはリリアライト様次第になりますが、お嬢様とご一緒されたいなら、お嬢様とリリアライト様、私とドレイクが同乗します。残りのクエルト含めた護衛兵士二人と、雑用のメイド二人が別の馬車に」

「ありがとう。すぐに出せる?」

「可能です。出発されますか?」

「もちろん。他には何かある?」

「リリカフェイト様にもお話が行ったようで、興味を持っていました。もしかしたら後でお見えになるかも知れません」

「分かった。頭に入れておくね」


 領主の娘二人の外出にしては人員が少ないけど、私とリーフェがいる時点でどんな無法者が来ようと過剰戦力だ。問題ない。


 みんなを連れて先頭を歩き正門を目指すと、一羽の緑の小鳥が私の肩に止まった。


「えっと、フィオだっけ。どうしたの? お母様に監視をお願いされたの?」

「ピィ!」


 肯定なのかな?

 フィオを肩に乗せたまま正門の門番に許可証を見せ、外に止まっていた黒塗りの箱馬車に乗り込んだ。


 

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