リリアの速攻とルフィアの喪失。
リリアを連れて教室に入ると、三学科卒業の噂を聞いて貴族が殺到し、リリアを見て道を譲った。
いま嫌な顔した奴は全員覚えたぞ。
「ごきげんようフェミ様。リリア様も」
「ごきげんようルフィア様」
「ごきげんよう。ルフィア様、リリアの事はリリアで構いませんわ。年下ですもの」
「そうは行きませんわ。だって······」
中途半端に群がって邪魔な貴族を蹴散らしながら進み、教室の前を陣取る時にルフィアが小さく、「恋人の先輩ですもの」と呟いた。
聞いてなかったけど、どうやらルフィアも恋人になれたらしい。もしかして今夜はルフィアの初めて貰う事になるのかな?
三人と三羽で談笑しながら、まわりでざわめき時に相槌を打ってくる貴族を流してレイオラシスを待つ。
「はい。では授業を始める······、前に、フェミリアス嬢、これを」
鐘と同時に入ってきたレイオラシスに羊皮紙の束を渡され、目を通すと中央区域商業許可証だった。昨日の今日で? 仕事早いね。
「一刻も早く渡せと言われてね。直接持ってきた」
「ありがとう存じます。もう少し色々揃えば、きっと予定通りに出来ますわ」
「所で、あの文字を綴る魔道具は、なんと言う名前なんだい?」
「あれはパソコンと名付けました。もちろん商品化を目指しますわ」
「きっとだぞ? 必ず買いに行こう」
レイオラシスが授業を始めようとするが、貴族達は一向に静まらない。理由はレイオラシスの肩だった。
「あの、レイオラシス先生。その、お肩に止まっているのは······」
「ああ、コレは見ての通り、フェミリアス嬢に無理を言って作らせたものだ。皆は真似しないように。本当に無理をさせたのだ」
「あの、いえ、先生。その、リティットにある紋章は······?」
「紋章? ······あ!?」
レイオラシスは抜けていた。王家に献上する為にバッチリ王家の紋章を入れたリティットを連れてくれば、王族だとバレるのは当たり前だ。
「·········しまった。浮かれていた。シスケンティアがあまりにも可愛くて······」
教卓で頭を抱えるレイオラシスに、シスケンティアが慰める様に頭を撫でた。
なにあの可愛い光景。
「ごほん。えー、そうだ。私は実は第五王子で王族だ。このリティット、シスケンティアは王が直々にフェミリアス嬢に無理を申し付けて作らせたものだ。王と王妃、王子とその婚約者は全員この紋章入りのリティットを連れている」
授業前に教室が興奮の坩堝に。やっばい煩い。
喧騒に耳を塞いで耐えていると、突然シスケンティアが絶叫して皆を黙らせた。あんな高音出せるのか。
『黙れって、怒ってる』
「まぁ自分のご主人無視して騒いでれば怒るよね。いい子に育ってる見たいだね。ちなみに男?」
『多分メス』
全員を一喝してみせたシスケンティアをレイオラシスが撫でて褒め、嬉しそうにスリスリ甘えている。
「ありがとうシスケンティア。皆、私は王族だが、ここではただの教師だ。いつも通りただのレイオラシスだと思ってくれ。シスケンティア、授業中は暇だろう? フェミリアス嬢達のリティットと遊んで来ていいぞ。君を私にくれた、君の親の様な人だから安心しなさい。昨日も見ただろう?」
そう言って無理やり授業を始めるレイオラシス。
私の机の上にはリティットが集まっていた。パソコンだけで済むから場所が空いているのだ。
リリアもパソコン持っているんだけどね。
軽くシスケンティアに触り、声が分かるようにして会話を聞く。
『おはようリーアさん。皆様初めまして。シスケンティアです』
『おはよ』
『おはよう! ミルフィはフェミルフィア!』
『リアス。おはよ』
ミルフィは随分流暢に話すなと前に思っていたけど、シスケンティアはもっと滑らかだった。
そのシスケンティアが私にもお辞儀をした。何この子めっちゃいい子。
『お母様、おはようございます。お声は通じないのでしょうが、挨拶だけでも』
「ふふ、大丈夫。聞こえてるよ。おはようシスケンティア」
『お母さんお喋り出来るの!』
『ほ、本当に? お母様?』
「うん? なぁにシスケンティア。あんまり喋るとレイオラシス先生に怒られちゃうよ?」
『············喋れて嬉しいです。でも、ご主人は許してください。取らないで下さい』
シスケンティアはレイオラシスを誰にも渡したくない見たいだ。大丈夫だよ王族になるつもりは無いから。パイプ繋いだだけで充分。
小さい声でシスケンティアと少し話して、後はみんなで遊んでねと授業に戻る。
リリアと一緒にカタカタパソコンを叩いていると、ルフィアが羨ましそうに見ていた。
「ぅう、お揃いの、羨ましぃ」
「そのうち売り出すから、そしたらルフィアも使えるよ」
「違うの。同じ奴がいいの」
たぶん、一般化したモデルじゃなくて、オリジナルモデルのコレがいいと言うのだろうけど、魔力的に無理······、いや行ける?
エーテルスーツは仮想倉庫が足りなくて、新しい保存先の理論構築もやって無くて無理だけど、賢者の石飲ませるだけなら出来るのか。
「うーん。ルフィア、今日部屋に来て。色々話そ」
「うんっ!」
授業が終わり、昼を部屋で静かに摂った私は、リリアの付き添いで昨日の様に三学科回るつもりでいた。最初は魔法学。
「はい。話しは聞いてますよ。卒業卒業」
なんと魔法を見せる前にリリアが魔法学を卒業してしまった。流石に周りの貴族から文句が上がるが、リッドデッドが一蹴する。
「この中に一人でも、古代呪文で魔法を使える者や、上級魔法を一人で使える者が居るなら、一緒に卒業させましょう。リリアライトさんは国王が直々に見て確認したそうなので、嘘でもなんでもありませんよ」
それでも煩い貴族が居るので、リリアが少し攻撃的な無詠唱を使って黙らせた。
任意の座標を爆発させる魔法で、一番煩い貴族の真上を爆破させて見せた。
獣人がーと煩かったから、当てても良かったのに。
「あ、この話は全部の学科に回ってるので、魔道具学も騎士学も途中参加出来る様になってます。フェミリアスさんとリリアライトさんはそのまま回ってきなさい」
昨日と違って時間を有効に使えるのは有難い。ルフィアに別れを告げてリリアと闘技場に向かった。
天井がぶち抜かれたままの闘技場は雨天で使えなくなってしまったけど、日が沢山入る様になったので騎士志望の貴族達は気持ち良さそうに体を動かしていた。
一コマ目なのでシェネルートは居ない。ルフィアが居る魔法学の教室だ。
「ん、おお来たか! 話しは聞いているぞ。お連れの妹さんが、あの大穴開けたって話だろう? 戦いの方も期待していいんだな?」
私と対戦した騎士がこっちに気が付いてやって来た。リリアを見ても嫌悪感を見せなくて、初めてあった時より好感が持てた。
「ん? 獣人は嫌いじゃ無いぞ? 騎士になった者は、少なからず戦いで獣人の世話になる者も多いからな。フェミニストルデの獣人騎士団は練度も高い。獣人を馬鹿にする騎士は大成しない」
私の中で騎士の株がバカ上がりした。たぶんシェネルートもリコルシュリアも大丈夫だと分かって嬉しくなった。
「良かったね。リリア」
「······不思議な感じがします。リリアを認めてくれる方は、いっぱい居るのですね」
「そうだよ。リリア可愛いんだしさ、このまま騎士になったら強いし可愛いしで、きっとモテるよ」
「リリアはお姉様の物なのです!」
私と対戦した騎士に闘技場の真ん中あたりに連れていかれ、教官騎士がワクワクしている。
「おい、誰が行くよ」
「ふふ、子供の前で無様に転がるかも知れんからな、悩む」
どうやら、リリアが私の様に戦える事を期待して、戦いたいが子供の前で倒される、そんな葛藤と戦っている様だった。
「お前はもう良いだろ、俺たち四人に譲れよ」
「ぐ、私だって最初油断していて、存分に戦えなかったんだぞ」
「油断したお前が悪いだろ。真剣だったら終わっていたんだからな」
「ぐぅっ!」
騎士達の盛り上がりに、生徒の貴族達も何が始まるのかソワソワし始める。中には獣人を見下すような視線も感じられるが、リリアの戦いを見れば黙るだろう。
リリアの対戦相手が決まった所で、私の前には対戦した騎士が居て、リベンジを求められた。リリアと戦えないからそう来たか。
「おま、狡いだろそれは」
「次こそは勝つのだ!」
残った三人の号令で、リリアと私の騎士戦が始まる。
リリアは私が選んだショートソードよりも短い二本のロングナイフを持っていて、私は今日別の武器を選んで居た。前回から実は気になっていた。
「なぁ!? 二剣じゃないのか!?」
「あら、いつでも好きな武器が使えるとは限らないと思いますわ。なんでも使えないと、守りたい者を守りたい時に守れないのでございます」
私が選んだのは、多分ネタで置いてあった大鎌だった。この様な武器は熟練者でも難しいのだ、とかそんな事を教える為に使ってたのかもしれない。
私は騎士の周りをステップで移動しながら、大鎌のリーチを存分に生かして騎士を攻め立てた。
てっきり二剣、二刀流で来ると思っていた騎士さんはまた油断していたのだろう。だめだよ?
私はリリアの大戦が見たいので、ぱぱっと一方的に騎士さんを場外に吹き飛ばした。
「ぐ、くぅぅ!」
「相手が悪い。諦めろ。あんな大鎌をあの速度で振れるって本当に何者なんだよあのお嬢さん」
「リリアー! 勝ったらご褒美ですわー!」
「ご褒美っ!」
私の言葉にリリアが一気に加速した。二本のロングナイフで圧倒的な斬撃を相手のロングソードに叩き込み、一気に吹き飛ばした。
武器が吹き飛んでも無手で戦おうとする騎士を前に、リリアの姿が掻き消える。
「······は?」
「後ろですわ」
リリアのナイフは気が付くと、騎士の首筋に添えられていた。
リリア、騎士学卒業。
「うふふ、お姉様やりましたわ。ご褒美楽しみです」
「今夜ね。まだ数回は痛いと思うけど」
「··········良いのです、この痛みはお姉様の愛ですから」
最後は問題の魔道具学だが、リリアは魔道具学の知識が有るのだろうか?
「あら、お姉様が残してくれました資料は、ほとんど理解しましたわ。お姉様の様に『夢の世界で動く工房』が無いのでその場で作れませんが、作り方はある程度わかりますわ」
「え、マシで? えっと、じゃぁリティットのコールの原理はわかる?」
「······多分、マナの共振作用を使った物だと思うのですが······」
「マジかよリリア凄いよ! よくあの訳わかんない資料で覚えたね!? しかも数日じゃない!?」
「お姉様がリリアのために何でもしてくれるなら、リリアだってなんでもして見せるのです」
「くぅー! リリアがまた愛おしくなったよー! フェミの妹まじ可愛い。ちょっとお部屋戻って色々しよっか?」
「うふふ、とてもこころ踊るのですが、今の時間はリーフェさんが居ますので」
二人で魔道具学の教室に入ると、愛しのティターニオ様が授業をしていた。
こっちに気が付いたティターニオに小さく手を振り、空いていた席に座る。
獣人蔑視の視線はもう無視するし、私の初日卒業を知っている者は絡んで来なかった。
「ん? リリア何してるの?」
「お姉様ほどの物は、夢の世界の工房が無いので無理ですが、簡単な物なら作れたのです。それをお見せして卒業させて貰おうかと」
「リリアが作った魔道具? 見たい見たい!」
リリアの手には、従来の魔法陣と魔石を使ったタイプの魔道具があるが、ファクトリーが無いと今のところエーテルコアが準備出来ないので当たり前だった。
金属の平たい板の真ん中に青い魔石が嵌っている魔道具で、アナライズすると効果が何となく分かった。
「もしかして、録音機? 音を保存できる?」
「·········さすがお姉様ですわ。渾身の物なのに、すぐ見抜かれてしまいました」
「いや、え、凄いよコレ。いつ作ったのこんなの。え、マジで凄い」
魔力を込めててから、込めた魔力が切れるまで録音出来て、板から魔力を流すと録音、魔石に流すと再生となっている。いやいやマジで凄いってこれ。私はファクトリーがあるから何でも作れるけどさ、リリアは手作業でしょ? 私より凄いんじゃないの?
「と、まぁひとまずここで区切りましょうか。皆は今の話しを聞いて、基礎魔法陣を書いてみてください。さて、フェミリアスさん。お隣に居るのが噂の?」
「はい。リリアライトと申しますわ。お姉様が尊敬する魔道具作家の方にお会いできて、とても光栄でございます」
「ふふ、君たちは私を心から褒めてくれるので嬉しいですね。で、その手に持っている魔道具は、拝見しても?」
ティターニオに録音機を説明して使ってみてもらう。暫くいじくり倒したティターニオは、少し大きい声で絶賛し始めた。
「大変素晴らしい! いや、この魔力を込める場所で動く魔法陣を変えて機能が変わる発想なんて、目を見張りますね。ある程度魔法陣は共有しているのに、効果が正反対になる。いやはや、本当に見事だ。研究室のもの達にも見せてやりたいっ!」
「あの、宜しければそのままお持ちくださいませ」
「っ!? いや、何を言っているのです? これ程の魔道具、それほど簡単に······」
「リリアにとって、魔道具を作るのはお姉様に褒めていただける手段の一つなのです。その魔道具ではもう褒めて頂いたので、リリアにはもう不要なのです。構築も公開して構いませんので、是非有用に使える方に見せて差し上げて下さいませ」
リリアは曇りの無い笑顔でそう言い切り、私の腕に抱きつく。それを見たティターニオは眩しいものを見る様に目を細めた。
「あなた達姉妹は、なんと言うか、素晴らしいの一言ですね。良いでしょう。コチラは絶対に有効に有意義に使ってみせると約束します。その代わり、リリアライト・アブソリュート、魔道具学卒業をここに認めます!」
私の一日で三学科卒業の偉業は、妹によって『三学科一コマで卒業』に塗り変わった。
一コマ目が終わり寮の自室に帰ると、扉の前でルフィアと会った。側仕えを部屋の外で待たせて、三人で中に入る。
「どうなった?」
「ふふ、凄いよ。鐘一つ分で三学科制覇。フェミの妹ほんと可愛い」
「お姉様だって本気なら簡単なのでしょう?」
「いいのいいの、リリアすごーい」
「むぅ、ファミちゃんルフィアも······」
「あのお嬢様方、お疲れだと思いますのでお茶をお入れしますね」
リーフェがお茶を入れてみんなでベッドの上で集まる。
リーフェとメリルもだ。
「あの、フェミリアス様? お仕事があるのですが」
「んーん。これもお仕事。ルフィア、メリル。二人はフェミやリリア、リーフェが頭おかしい程魔力がある事を知ってるよね?」
「ぅん。フェミちゃんも、りりちゃんも、凄かった」
「リーフェさんも凄いのですよ。王都まで来る途中、一度魔物が馬車の近くに来たのですが、そっちを見もしないで凄い数の魔法の矢を放って、魔物が見えないくらい細切れになって死んじゃったんです!」
ルフィアが完全にルフィアモードになって、メリルも王都に来るまで見たリーフェのカッコよさを興奮して語っていた。
「その魔力の秘密を、二人にもあげようと思う」
「·········え? え? あの、平民の私も?」
「······ルフィアも、いいの?」
「うん。恋人になったから、隠したくないかな。出来ればもう一つの秘密も渡したいんだけど、ちょっとだけ都合が悪いんだ。準備出来るまで待ってほしいな?」
二人は抱き合いながら喜び、平民で魔力がほとんど無いメリルは泣き出していた。ただ、喜ぶのは早い。
「でも、条件があるよ」
「ん、な、何でもやるよ! 私フェミちゃ、フェミリアス様の為なら何だって!」
「ルフィアも!」
「あのね、魔力を増やすのに魔道具を口から飲み込まなきゃ行けないんだ」
「飲む! フェミリアス様も、お嬢様も、リーフェさんも飲んだんですよね? なら私も飲みます!」
「ルフィアも!」
ルフィアはルフィアも!しか言ってないけど、気合いは十分見たいだ。
私がここまで言って思い出したリーフェとリリアは、遠い目をして部屋の天井を見始めた。
「あのね。その魔道具を飲むとね。············死ぬ程苦しい思いをする。冗談じゃなく、本気で」
「············死なないんですよね?」
「死なない。けど、死ぬ程」
「······わかんなぃ。死んだ事無いもん」
「リリアとリーフェも経験したから、あんな顔してるんだよ。あのリーフェがあの顔するんだよ?」
「···············怖くなって来ました」
「りりちゃん、苦しいの?」
「·········お姉様に初めてをあげた時の、五倍ほど辛かったですわ」
「そんなにっ!? 今朝だって、お嬢様はお風呂場で痛みに悶絶していて······」
一緒に喪ったリリアとメリルは話しに共感出来るが、まだ大事に持っているルフィアは首を傾げていた。
まぁ分かんないよね。でも本当に苦しいんだよ。
「あー、でも禁魔法よりマシだったかな?」
「······は!? お嬢様、禁魔法を!? ダメです! 絶対に! 二度と使わないで下さい! アレは人が使っていい物では無いんです!」
私の呟きを拾ったリーフェは慌てて私の肩を掴む。こんなにリーフェが焦る程にヤバイ魔法だったんだね。
「う、うん。大丈夫、二度と使わないよ。エーテルドレスを全力で痛み消しに使ったのに、痛みで動けないし喋れないし、エーテルドレス無かったら絶対死んでた。あんなの絶対に使わない。使うとしたら、ここに居る誰かの命が危ない時だけ」
ともあれ、二人に判断を迫る。無理強いはしない。
しかし二人とも、死なないなら飲むと。後遺症も無く苦しいだけで平民が貴族を上回る魔力が手に入るなら、魔法が使えるなら、飲みたいと。
ルフィアはそもそも魔法学を取るくらいなので、飲んでみると。
「分かった。悪いけどすぐには準備出来ない。手頃なサイズの魔石が要るから、準備できたらまた呼ぶね」
「ん? 魔石、どう言うの?」
「えっと、飴玉くらいの」
「分かった」
ルフィアは頷くとベッドから降りて、部屋の扉に向かって歩き扉を開けた。
少し会話をすると側仕えが走ってどこかに行く音が聞こえ、ルフィアがベッドに戻ってきた。
「魔石持って来るように言った。あとお泊まりするって。今日は、ルフィアも、いぃ?」
完全に甘えた顔になって、私に擦り寄りながらみんなに確認する。自分が一番新参だと分かっているんだ。
「もちろんですわ。ルフィアさんも、お姉様に初めてを捧げますか?」
「うん。して欲しぃ」
「フェミリアス様はお優しいから、安心してくださいね」
「ぅん。たのしみ」
甘えるルフィアを撫でていると、どんどん甘えてきて、このまま始まってしまいそうになるので宥めた。
「まだ夕食も摂ってないからね。落ち着こうね」
「むぅ、フェミちゃん食べたいよ」
「それは同感ですわ。お姉様美味しいんですもの」
「······確かにフェミちゃん美味しかった······」
「フェミの前でフェミの味の感想はやめて欲しいな!? 二人も美味しかったしね!?」
その後ルフィアの側仕えが魔石と着替えを、明日の授業道具を持ってきて部屋に置いていった。
明日はここからすぐに学校に行くための配慮だろう。
夕食は三人で中庭のテーブルに、リーフェとメリルに運んで貰って静かに摂った。夜空の下食べるご飯もなかなかいいね。
それから部屋に帰り、ここでリーフェが側仕え寮に帰る。ごゆっくり、と言われてごゆっくりする事にした。
みんなでお風呂に入り、そこでまずルフィアの大好きなパラライズをプレゼント。みんなの前で零してしまう事が癖になってしまったルフィアは足をガクガクさせて気持ち良さそうにしていた。
それを見たリリアとメリルも、ルフィアの様子にスイッチが入った様子で、漏らすルフィアを三人で丁寧に綺麗にしてあげて、何回も果てるルフィアは幸せそうだった。