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結末の行方


【こうして、お姫様と王子様は幸せに暮らしましたとさ。めでたしめでたし……。】


そんなワケがない。


「その後、二人の間には子供が出来ましたが、丁度その頃王国に疫病が流行り、子供は産まれて間もなく死んでしまいました。さらに、子供を失ったことで精神を病んでしまったお姫様は、二度と子供を孕めない状態となり、新しい世継ぎを作らなければならない王国は、密かに側室を設け、王家の血を継ぐ子供を作ることに成功します。が、側室の女は、自分こそが真の王子の妻で王妃となるべきだと言い放ち、精神を病んだお飾りに過ぎないお姫様を殺すべく………」


「ちょちょ、待ってよ!な、何で急に女がお姫様を殺そうとする展開に入るの?!」


「女には、王子との間に大切な世継ぎの子供を作ったという強みがある。その子の母親であるならば、当然自分の身分は王妃になるべきだと主張するのだ。女は王子に惚れていて、でも王子は使い物にならなくなったお姫様をそれでも愛している。自分に向けられない愛情が、お姫様には向けられている。その事が、女にはどうしても、許せなかったのだ。」


「それは、つまり……?」


「嫉妬、したのだ。女はな。王子は愛しているお姫様と別れるつもりは無いし、ましてや国から追放したりしない。お姫様は、永久に城に居られるのだ。ただ、一つの方法を除いたらな」


ここまで言えば、後はわかるだろう?と、少女は何歳か年下の少年を見やった。少年はしばらく考え込んでいたが、やがてちらっと少女の方を向いて言った。


「……死んだらそりゃあ、城から消えるに決まってるよ。と言うか、この世から消える。ねえ、鏡子さん?」


白い肌によく映えた背中の辺りまで伸びた黒髪に、紺のブラウスと膝丈のスカートを身につけた少女、鏡子は無感情な瞳を少し見開いて、口元を少し緩め相変わらずそれでも、無表情な顔のまま、『嬉しそうに』言った。


「そ の と お り。その後女はお姫様を殺せたのか?殺せたとして、王子とどうなったのか?生まれた子供の行く末は?……とまあ、おとぎ話なんかによくあるめでたしめでたしのハッピーエンド、大団円のその後は、考え出すと止まらないよね。ほんと。ああ、楽しい。」


「………鏡子さんって、想像力豊かなのか、それとも思考回路がどうかなってるかの二択だよな。」


「おや、それは結構なことで。人間、誰も彼も彼女も、普通の人なんていないのだよ。誰もが、何かが狂っている。イかれてる。それを隠し通しながら、普通の仮面を被ってるだけさ。私は、隠してないだけであんたと一緒の人間だ。あんたも持ってるだろう?秘密という名の甘美なモノを。」


鏡子はそうおどけた口調で言うと、少年に向かって珍しく笑った。彼女は、長年連れ添ってきた家族や数人の友人以外に笑顔を他人に見せることはなかった。それどころか感情を表に出すこと自体なかった。だから、彼は鏡子には感情が無いのだと初めて会った時に思い込んでしまった。


彼女のことなんか、何一つ理解して無かったくせに。



暇な時に書いていくので、投稿は時間がかかります。ご了承くださいますようお願いします。

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