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2人の世界に入られました!

「どうしたの。そんな険しい表情して。いつもの乃愛らしくないよ」

 雪帆は笑いながらわたしに言った。

「そ、そう?気のせいじゃない?雪帆はどうしてここに?」

 無理矢理笑顔を作って雪帆に言う。

「あぁ、橘くんに部活の話をしようと思って来たんだ。同い年は僕と橘くんだけだから」

「そ、そうだったんだ……」

「先輩が引退したのにまだ部長が決まらなくてな。俺的には愛桜がいいと思ったけど」

 むむっ……。雪帆のことを愛桜って呼び捨てにしてる。

「でも僕はまだ入部して3ヶ月も経ってないんだから部長なんて……橘くんがやりなって!」

「愛桜の方が俺より強いだろ。中学の時全国までいったんだろ?」

『えぇっ!?』

「そうだったの!?雪帆」

 橘くんの言葉にわたし達3人は驚愕した。だって雪帆、今までそんな話してくれなかったから。

「ま、まぁ……ってそれとこれとは全く別だよ!」

 と言って雪帆は橘くんを叩いた。

 ……すごく仲良さそう。

「痛っ。愛桜、女なんだから少しは暴力やめろよ」

「女だからって理由でやめる気はないよ」

「まぁいいけど。部長は絶対愛桜だからな」

「嫌だよ!橘くんの方が長いんだから部長してよ!」

 あれ?なんかいつの間にか2人の世界になってませんか……?

「乃愛」

 横から紗弥が小声で話しかけてきた。

「この光景見たら納得できるでしょ?わたしの言った話」

「うんうん。なんか2人の世界に入っちゃったね。愛桜さんと橘くん」

 鈍器で頭を殴られた気分。雪帆が橘くんと……!

 嫌だ嫌だ嫌だっ!橘くんに雪帆は渡しませんっ!

「……に」

『えっ?』

「橘くんに……雪帆は絶対渡さないっ!」

「ちょっと麻由。乃愛、橘に嫉妬してるけど……」

「うん……。乃愛ったらそんなに愛桜さんが好きなんだね」

「これは最早友情通り越してラブに発展――」

「ちょっと!勝手に話を盛り上げないでよ!」

 大声で言うとまたクラスのみんなの視線が……。

「ど、どうしたの?乃愛……」

 雪帆が驚いた顔でわたしを見る。

「珍しいな。如月さんが大声を上げるなんて」

 貴方が原因なんですけど橘くん。

「ご、ごめん……。なんでもないから気にしないで……」

「でも乃愛が大声を上げるなんてホント珍しいね。なんかあったの?」

「だって……だって紗弥達がわたしをからかうから!」

 正直な気持ちを言えないわたしは紗弥達に責任転嫁。

「ちょ……!なんでわたし達を巻き込むの!?」

「そうだよー!悪いのはわたし達じゃなくて紗弥だけだよー」

「麻由までわたしを裏切るの!?」

「お、おーい……どうした3人して……?」

 言い合いをするわたし達を見て唖然とする雪帆はわたし達に声をかけた。が、誰も振り向かない。

「ほっとけ愛桜。そのうち戻るから」

「でも……」

「あいつらのあれは今に始まったことじゃないし」

 ふと2人に目をやるとまた2人の世界に入っていた。

 次から次へと橘くんは……!

「ちょっとそこー!2人の世界に入らないでよー!」

 そう言って雪帆と橘くんの間に無理矢理入る。

「の、乃愛?」

「なんだよ如月さん。別に2人の世界になんか入ってないし」

「こっちから見てると2人の世界になってるの!」

「如月さんにはそういう風に見えるんだ。俺達」

 橘くんは雪帆を見ながら言った。

「な、なに言ってんの橘くん!」

 雪帆……。今自分の顔が赤くなってることに気づいてるかな?

「ねぇ雪帆。顔が――」

 とここでわたしの声を遮るようにチャイムが鳴った。

「やばっ次数学だった!じゃあね」

「あっ!雪帆!」

 雪帆は走って教室に向かって行った。

「愛桜のああいう女らしい仕草ってなんかいいな……」

 と橘くんは呟いたが聞かなかったことにした。


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