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 雪帆にわたしの気持ちを正直に告げてから数日が経ったある日のこと。


「いぃぃやぁぁぁぁぁ!!」

 わたしの甲高い声が教室に響いた。教室にいた人みんなが一斉にわたしを見る。

「ご、ごめんなさい……。なんでもないので気にしないでください……」

 そう言うとみんなは再び動き回った。

「……本当に雪帆が?」

 小声で紗弥に聞く。

「うん」

「見間違いじゃないの?」

「見間違いじゃない。わたしの視力バカにしないでくれる?」

 バカにしてなどいないけど。でも……でも……!

「信じられないー!信じたくもないよー!」

『うるさい!』

 紗弥と麻由が同時に頭を叩いた。しかも本で。

「ごめん……。でも本で人を叩かないでよ!本が傷ついちゃうでしょ!?」

「どこまで本が好きなんだ……」

「じゃあいいの~?愛桜さんのこと聞かなくて」

 詳しくは聞きたいけど聞きたくない。雪帆が……雪帆が……!

「いぃぃやぁぁぁぁぁ!」

『だからうるさいよ』

 再び本で叩かれた。


 紗弥から聞いたのは雪帆が男と一緒にいたこと。

「一緒に歩きながら帰ってたねー。しかも仲良さそうに」

「もしかしたらその男は愛桜さんの彼氏だったりして……」

 グサッと2連続できた紗弥と麻由の言葉責め。

 ……かなり痛い。

「いや!相手の男は彼氏じゃなくて同じ部活の人とか……」

『それはない!』

 2人が口を揃えて言った。

「なんでよー!ただ仲良さそうに一緒に帰ってた男=彼氏とは限らないでしょ!」

「……それもそうだね」

「……ってなに納得してるのよ麻由ー!」

 紗弥は麻由を叩く。

 何故わたしのことは本で叩いたのに麻由には素手……。

「だったら愛桜さんに直接聞いてみたら?」

「うっ……それは勇気がいるな……」

 もし面と向かって雪帆にその人は彼氏だよ、なんて言われたらわたしの心は崩れてしまう。

「……それじゃあ男の方に聞いてみる?」

『えっ……?』

 紗弥の言葉を聞いたわたしと麻由は動きを止めた。

「剣道部の男子って“彼”しかいないでしょ?」

「あっそう言えばそうだ……」

「彼?」

 わたしにはなにがなにやらさっぱり。話の内容が掴めない。

「乃愛知らない?橘のこと」

「橘?もしかして同じクラスの橘くん?」

「そう、それ。あいつだよ。愛桜さんと仲良さそうに帰ってたの」

「えっ!?」

 同じクラスの橘悠斗はかなりの女好きとして有名な人物。

 まさか雪帆と同じ部活だったなんて……

「いぃぃやぁぁぁぁぁ!!わたしの雪帆がー!!」

『うるさい』

 本日3回目。本で叩かれるのは。

 でも今のわたしにはつっこむ余裕さえない。

「それと、愛桜さんはあんたのじゃないでしょ」

「わたしの雪帆が……橘くんに……」

「紗弥。多分今の乃愛にはなに言っても無駄だよ……」

「うーん……。そんな感じする……」

「わたしの雪帆が……わたしの大好きな雪帆が……橘くんのものになるなんて絶対嫌ー!そんなの絶対許さない……」

 そう大声で言ったわたしに誰も近寄ろうとしない。むしろ離れていく。

「ついに爆発したな……。乃愛のやつ……」

「橘くんが戻ってきたら大変だぁ……」

「俺が戻ってきたらなにが大変なんだ?」

 聞き覚えのある声。まさか……

「た、橘!」

「なに?俺の噂でもしてた?」

 橘くんが紗弥と麻由に話しかける。

 聞くなら今しかない!

「あのさ橘くん!聞きたいことが――」

「あっ橘くん。今日の部活なんだけど……あれ乃愛?」

 わたしの言葉は大好きな雪帆の声でかき消された。

 なんでこのタイミングで……!

「なんか……まずい展開になったんじゃない?」

「うん……。そうかもね……」

 紗弥と麻由が2人で話すなか、わたしは呆然としていた。


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