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レズと言われました!

「なに?あんた知らなかったの?愛桜さんが女って」

「はい知りませんでした……ショックです……」

 体育祭の代休の日、友人2人とカラオケにてわたしの失恋(?)話。紗弥に傷を抉られ中。

「でも愛桜さんかっこいいからね!うちも最初男だと思っちゃった!」

「でしょー!それだけ雪帆がかっこいいって証拠じゃん!」

「同意を求めるな。麻由も話に乗らない」

「えぇー……」

「『えぇー……』じゃない!」

「はい……」

 紗弥に睨まれ小さくなる麻由。

「で?愛桜さんって笑い上戸でした、ってことは分かったけど……その後は?」

「えっとねー確か……」

 記憶を辿り、なにがあったか思い出す。



***



 笑いが止まった後、思い出したように雪帆が言った。

「そうそう。みんな僕のことはユッキーって呼ぶんだけど……それは女の子っぽくて恥ずかしいから嫌なんだ。僕を雪帆って呼んだのは乃愛が初めてだよ!」

 わたしが……初めて……。雪帆のことを名前で呼んだ人……。嬉しい!なんという特別感!

「ユッキーも可愛いあだ名なのに……でも確かに雪帆はかっこいい系と言うかクールだから可愛いあだ名は似合わないかも……?」

「乃愛もそう思うでしょ!?こんな僕にユッキーなんてか、可愛いあだ名は……!」

 顔を真っ赤にして言う雪帆。いつものクールとはかけ離れた別のキャラ。

「か、可愛い……」

 思わず口にしてしまった。雪帆のこんな表情初めて見た……

「か、可愛い……!?なに言ってるんだ乃愛!こんな男っぽい僕がか、可愛いなんて……!」

 再び顔を真っ赤に染める雪帆。これは……照れ隠し?

「照れなくていいよー!」

「いやいや!照れてないし!」

 雪帆は手を振り、否定を続ける。

 外見は男みたいにかっこよくてクールなのに中身はちょっぴり照れ屋な女の子。そんな雪帆にわたしは、ますます惚れてしまった気がした。



 ***



「……というわけなんだけどー!雪帆が本当めちゃくちゃかっこよくて!でも照れてるところが可愛くて!」

「はいはい。その幸せ発言はいいから。レズ」

 わたしの言葉を遮るように放たれた紗弥のきつい一言。

「ちょっと!わたしはレズじゃないよ!ただ少し可愛い女の子やかっこいい女の子が好きであって……」

「それをレズっていうんだよレズ」

「レズレズ言わないでよー!」

「じゃあなんて言えばいいの?」

「友情愛って言ってくれないの!?」

「いきすぎてるのよ!その友情愛が!」

 ホント紗弥は一言多いんだよな。いつも。

「まぁまぁ。乃愛も紗弥も落ち着いて……」

『麻由は黙ってて!』

「は、はい……」

 あたし達を抑えようとしていた麻由は逆にあたし達に圧力をかけられ小さくなった。

「別にいいじゃない!かっこいい人にかっこいいと言ってなにが悪い!可愛い人に可愛いと言ってなにが悪いのよおぉぉ!」

「言い過ぎなのよ!あんたの愛桜さんに対するラブは“友達としてのラブ”じゃなくて最早“恋愛対象としてのラブ”じゃないの!?」

「ちょっと!それって明らかあたしがレズって言ってるものじゃない!」

「絶対そうでしょ!もし愛桜さんが男だったら付き合いたいとか思うでしょ!?」

「そ、それは……思うけど……」

「ほーら!そんだけ愛桜さんに惚れてるってことじゃん!このレズ!」

「だからレズじゃないってばあぁぁ!」

「いい加減に……」

 いつの間にか麻由の手にはマイクが握られていた。こんな時になにか歌うのかな?

《いい加減にしてよー!!》

 マイクを通して大きくなった麻由の声がわたしと紗弥の耳に突き刺さる。一瞬耳がキーンとした。

 マイクを握ったのは歌うためじゃなくこれのため!?

「2人してさっきからグチグチと!いい加減にしてー!」

『ま、麻由……?』

 あの大人しい妹キャラの麻由が……キレた!?

「紗弥!」

「はい!」

「乃愛にレズレズって言い過ぎ!別に女の子同士の愛なんてどこにでもあるからいいじゃない!」

「えっ……?」

 問題そこですか?と思わずツッコミたくなった。

「乃愛!」

「は、はい!」

「愛桜さんが好きなのは分かったから自分がレズと認めなさい!」

「……えっ?」

 今麻由はなんと言ったのだろう……。わたしの聞き違いかな?レズと認めなさいって言葉は……。

「だ~か~ら~!!わたしはレズじゃないってば!」

 そうして再び言い合いに火がついてしまった。



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