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Intersection  作者: ニコと月時計
第一部
5/19

【J】酒場談笑

あれが件の新人、ステラが拾った彷徨える子羊か……入ったのが昨日にしては酒場に溶け込んでいる。何か不自然に薄い印象がする、何となくだが。まぁ確かに手際は良い。


「ジェイド、敗戦国から逃げて来たって人を威嚇しちゃダメだよ。うっかり即死しちゃったらどうするの!」

「お前な……おい、良い酒が入ったんだろう?いくらうわばみでも客の分飲み干してないだろうな、ステラ。」

「さすが耳が早いわねー。ノア、出して。」

「はーい。」



一瞬舌打ちが聞こえたような。勿論女主人という立場で、いやステラの性格であからさまにそんな顔を出すことはしないが酒豪で有名な彼女が手を出していないはずがない。「テイスティングよ」と悪びれなく酒を楽しむ姿は容易に想像できた。


ステラに言われて奥に姿を消した隙にフェイトに諌める視線を送れば微かに口角を上げた。にっこりと笑う瞳が言っている。ほんの少しだけど反応したよね?と。


延ばした順路の目的は関所だった。訪れる者の警戒心や恐怖心を失わせる人柄の者を配置しているのは故意だ。毒気を抜くのが目的。それでいて記憶力に優れたものが常勤している。関所を介した人間がどういった経緯で訪れ、どこに導いたか。それを全て関所配置の兵士は覚えている。


昨日おそらく一人で訪れた人間で顔が綺麗な青年と問えば「ああ、目の保養になった兄さんですね!」と嬉しそうに語った。……突っ込みどころは大いにある。あるが、責務は果たしているということで。どうしてうちの特技に秀でた奴は一癖も二癖もある奴ばかりなんだ……。


「お待たせしましたー。」

「ああ。……難儀だな。」

「え?」

「人使い、荒いだろう。」

「まぁ、酷い。そんなことないわよね、ノア?」


目が笑ってないぞ、ステラ。


「まぁ、機嫌を直せ。新しいバーテンダーの歓迎とでも称してここにいる全員に景気良く振る舞ってくれ。お代はフェイトが持つ。お前達も思い切り楽しむといい。ステラも新人も相伴しろ。」

「さすが団長!ごちそうさまです、副団長-!!」

「えぇぇぇ!?ちょ、ちょっとジェイド!豪遊にも程があるよ!?」

「まぁ、素敵。好きよ、フェイト。」


ふん、口は災いの元だ。楽しく盛り上がる様子を横目にワインを一口。良い味だ。

観察はゆっくりじっくりやればいい。怪しいなら目を離さなければいいだけだし、旨い酒を提供してくれるならそれでいい。

……そういえば、ステラの傍にいつもいるチビがいないな。まぁ細かい話はこの盛り上がりが落ち着いてからだな。折角の美味い酒がある夜、楽しまないのは無粋だ。

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