空から女の子が落ちてきたら
僕の目の前に、空から女の子が落ちてきた。
ビダアァァァンッ!!!!
重力に逆らうことなく。
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「痛でででで!! 痛い痛い痛い尻打った尻!
おおおお、死ぬマジ死ぬ今すぐ死ぬ。。」
...死んでないほうがおかしい速度で落ちてましたけどね。なんで生きてるんですかね。
見なかったことにしたいなぁ...。あ、目が合っちゃった。駄目かぁ。
「おっ!? そこの少年。おいでおいで。美少女助けてみない? 美少女。ちょっと手ぇ貸して。」
すごく無視したいなぁ。
美少女...見た目は確かにそうですね。残念感半端ないけど。
「ええと、ダイジョーブデスカ? 死んでないようですね、良かったです。じゃあ僕はこれで。」
「ちょいちょいちょい!! もっと関心持とうよ!
アイム美少女。助けといて損はないよぉ。恋につながるかも知んないじゃん?」
「はぁ...。じゃあ、あなた誰ですか? 何があったんですか?」
「うわぁため息。お姉さん泣きそう。
私、魔法少女。華の18歳。空をお散歩中に飛行機とぶつかってさ。落ちちゃったのよ。」
「大丈夫なんですか? その飛行機。」
「そっちかーい。
まあ、そっちは大丈夫よ。『時戻しの魔法』使ったからね。
その分、自分に割く魔力足りなくなっちゃってこのザマよ。
だからさ、ちょっと肩貸してくんない? 色々折れちゃったみたいでさ〜。
何、少し休めば治せるから、休めるところまで送っておくれ。」
......ふーん。
「分かりました。それじゃあ行きますよ。ヨイショ。」
「いだだだだっ。...オッケオッケ。ありがと少年♡」
「軽口叩いてたけど、本当にガッツリ重傷じゃないですか。脚なんか関節増えてますよ? まったく。
それと少年って言わないでください。あなたと2歳しか違いませんから。」
「え! まさかのハタチ?」
「そっちじゃねーよ! 16だ16。
ところで、お姉さんは魔法少女にしては大人過ぎないですか?」
「それ言うなし〜、気にしてるんだから。
私たちね、厳密には引退がないのよ。能力は一生モノ。
まあ、一番こき使われるのは小•中学生時代で、それ以上になると敵がほとんど出てこなくなってフェードアウト。実質引退になるんだけどね。
ふふっ、不思議だよね。敵が気遣い? ウケる。」
そうなんだ。初めて知った。
まあ、そもそも魔法少女がいる事自体今まで知らなかったけど。
「わりと居るよ、魔法少女。
先輩が言ってたんだ。
なんでも異世界の連中がさ、この世界で美少女ばかり選んで、魔法少女にしてるんだって。
...私みたいな? ウヒヒ。
そんで化け物と戦わせてリアリティショーみたいに観て楽しんでるんだってさ。酷くない?
しかもそいつら、特にローティーンが好きらしいのよ。いい趣味してるよね? 高校生は賞味期限切れ。お払い箱、敵も来ない、でも魔法は使える。まあ、そんな感じ。
ま、つまり私は魔法少女OGってとこかな。
どお? 驚いた?」
「へー。
で? これからどこに行けば良いんです?」
「ちょいと君軽くない!? いま割とヘヴィな自分語りしたよね私? もうちょっと食いついてみようよ?」
「わざとかよ! 重いわ!
しかもそんなの......ヒーローヒロインモノには割と良くある設定じゃないですか。」
「設定言うなし!
ちぇ〜、ドライだなあ少年。まあいいや。じゃあ、あそこ行こ。あのピカピカしてるの。」
【STAY ¥2,980〜】
「ラブホじゃねーかアホかぁ!!」
「いいじゃんいいじゃん。安くて休めるしお風呂もあるし最高じゃん?
ね、ね。先っちょだけ、先っちょだけだから。」
「何が先っちょだけだよ昭和のオッサンか!
...ったく。しょうがないな。じゃあ僕の家へ行きましょう。ちょうど親も留守だし。」
「えぇっ大胆!! ちょっと待って私、心の準備が、」
「ちげぇよ!! 単純にその方が近いからだよ。
...なるべく早く身を隠したいんでしょ?」
「...え?」
初めて素顔を見せたな、お姉さん。
「お姉さん。さっきから嘘ついてますよね?
本当に引退したなら、魔法少女になって空を飛ぶ必要なんか無い。
お姉さんの年齢では痛すぎるそのフリフリの衣装でお散歩は不自然です。「おい!」そしてその怪我。
引き裂かれたような傷もある。
...一体、何してたんですか? あなた。」
「...へへへ。よく見てるね少年。
っ! 避けて!!」 ドンッ!!
ドゴオオオオオォォァッ
お姉さんが渾身の力で僕を突き飛ばす。
直後、今さっきまで僕たちの居たところに、化け物が得物を叩き込んできた。
「遅かったかぁ。ごめんね少年、巻き込むつもりは無かったんだ。
久しぶりに化け物に出くわして、不意打ちでやられちゃってさ。
野放しにしたら被害が出るし、だからすぐに怪我治さなくちゃだし、でも身を隠して怪我治そうにも自分だけじゃ体動かせなくて、、、
つい頼っちゃった。へへへ。
ゴメンだけど私が時間稼ぐから、できるだけ遠くまで、逃げて。」
...厄介だなぁ。厄介な人だ。
このまま逃げたら後味が悪すぎるじゃないか。
大怪我して、それでもなんとか化け物を止めようとしてる子に「逃げて」って言われて、はい分かりました、って逃げられるわけ無いじゃないか。
そもそもあの怪我じゃ、化け物を足止めどころかロクに動くことも出来ない。時間稼ぎにもなりゃしない。無駄死ににも程がある。
まったく、なんてことに巻き込んでくれるんだ、このポンコツ残念美少女め。
貴方が命を張ったところで、僕ももう逃げられないですよ。
そう、逃げる気になれない。
「武装錬成 変身!
『ファルコンレッド』、推参!」ダッ
「くらえっ、ファルコンクローーっ!!」
スパァーーーーーーン
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ドカアアアアァーン!!!
よし、討伐完了。
「......ほげ?」
「言ったでしょ?『そんなの割と良くある設定』だって。」
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「そっかあ。少年も同じように『何らかの意思によってやらされてるヒーロー』だったんだ。」
「何故か僕の代だけレッド一人なんですけどね。敵も出ないし。
企画段階で打ち切りでもあったんですかね。迷惑な話です。」
「あれま。やっぱ男の子としては悪と戦いたかった? とりゃーって。」
「まさか。戦わなくて済むならそれに越したことはないですよ。痛いの嫌いですし。それに、いい年してヒーロースーツなんて恥ずかしい。」
「そ〜ぉ? その割には動きがノリノリのキレッキレだったんじゃないですかあ? 推参! スパーンッ! ってさぁあ? ウヒヒ。」
「っ!! あれは化け物が弱すぎるんですっ!! お姉さんだって、現役だったらあんなのに後れなんて取らないでしょ!」
「ふんふんふん。じゃあ、じゃあ? とぉ〜っても嫌で恥ずかしかったのに、私のために変身して戦ってくれたんだぁ〜?
もしかして私に恋しちゃった?」
「あんな必死な姿見せられて、見捨てるとか出来るわけないでしょ常識的に考えて。
アホなことばっかり言ってないでほら、行きますよ、僕の家。歩けますか?」
「...う〜ん...、ちょっとこれは駄目かも。」
「やっぱり辛いですか? 背負いましょうか?」
「というか...、
私が恋しちゃったかも♡」ギュッ
ああ厄介だなぁ。これは本当に厄介なポンコツ残念美少女だ。
これはちょっと見捨てることが出来そうにない。
おしまい




