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第十一話:神界の洗礼、あるいは「ハゲ女神の逆襲」

黄金の道を渡り、リリーがついに降り立った場所――そこは、物理法則すらも「美」によって定義された世界、**『神界』**であった。


パルテノン神殿を遥かに凌駕する荘厳な神殿群、雲一つない空に浮かぶ浮遊宮殿、そして見たこともない極彩色の花々が咲き乱れる楽園。リリーの目の前には、ついに「生身の」アフロヘーアが姿を現した。


「おっほっほ! ようこそリリー。私の庭へ!」


「……ふん。相変わらず趣味の悪い庭ね。それに貴女、近くで見ると意外と神格が低いのね。数百億年戦ってきた私からすれば、鼻で笑えるレベルだわ」


神格を得たリリーは、不遜にも上位神であるアフロヘーアを「格下」扱いし、案内役として無理やり連れ回し始めた。


・・神界の構造:全能たちの社交場・・


アフロヘーアの案内により、神界の全容が明らかになる。 ここにはリリーのような「末端の神」、アフロヘーアのように一世界を統治する「上位神(創造神)」、そして宇宙の根源を司る「最高神」という厳格な階層が存在していた。


三種の神器・宝具庫: 触れるだけで世界を再構築できる武器が眠る場所。

神酒ネクタールの泉: 一滴で魂の渇きを癒し、存在を固定する聖域。

四神の聖域: 東西南北を守護する巨大な神獣たちの領域。


「ねえ、リリー。神格を高める方法は、もうあのダンジョンのような力業ではないわよ? ここでは他の神々と手合わせ(スパーリング)をし、互いの理をぶつけ合うことで、ごく僅かに『格』を磨いていくの」


「……スパーリング? ちょうどいいわ。まずは貴女をボコボコにして、私の格を底上げさせてもらうわよ。クソハゲ女神、覚悟しなさい」


リリーは不敵に微笑み、数百億年で培った神域魔法を展開した。


・・神の格差:残酷なる現実・・


戦いの場は、神殿の裏にある「その辺の草むら」に設定された。 リリーは先手必勝とばかりに、因果を断ち切る神撃を放つ。しかし、アフロヘーアは優雅にステップを踏み、リリーの攻撃を「なかったこと」に書き換えていく。


「あら、リリー。勘違いしてはだめよん。試練をクリアした程度の新米が、一世界の信仰を一手に受ける創造神に勝てる道理はないわん。」


「なっ……私の攻撃が、概念ごと消された!? ……くっ、ならこれは――」


「遅いッ!!」


次の瞬間、リリーの視界が反転した。 アフロヘーアの圧倒的な神格(出力)によって、リリーの神域は一瞬で無力化されたのだ。


「いい、リリー? 先輩神の『愛の鞭』、たっぷり味わわせてあげるわん!」


そこから先は、リリーにとって数百億年の地獄すら生ぬるいと感じるほどの屈辱であった。 アフロヘーアの強靭な(神的な)筋肉で背後から羽交い締めにされ、抵抗できないまま頬ずりをされまくる。


「やめ……離しなさい、この変態女神……っ!!」


「嫌よ~ん! 貴女、神になったせいでお肌がツヤツヤで、とっても吸い付きがいがあるもの! さあ、仕上げよん!」


「んんんんんーーーーーっ(濃厚なべろちゅう)!!」


さらに、アフロヘーアは自身の神権を行使し、リリーの頭髪を瞬時に作り変えた。 リリーが目を開けた時、そこには鏡に映る、**アフロヘーアとお揃いの「見事なハゲ頭(実際は超精密な神格偽装カツラ)」**姿のリリーがいた。


「……う……ううううっ……!!」


神格を得て、万能の力を手にしたはずのリリー。 だが、神界の初日にして、彼女は己の無力さを思い知り、美しい花園の片隅で、ハゲ頭を抱えて静かに涙を流すのであった。


・・逆襲の「アフロ」、あるいは「神の美容整形」・・


「……ううううっ……こんな屈辱、百億年ぶりだわ……っ!!」


アフロヘーアとお揃いの、ピカピカに磨き上げられたスキンヘッド(風のカツラ)にされたリリーは、神界の花園の片隅で、静かに、しかし激しく涙を流していた。神になったはずなのに、この無力感。神格の差は、あまりにも絶望的だった。


・・逆襲の「ハゲ」:計算された一撃・・


しかし、リリーはただ泣いているだけの女ではなかった。 数百億年の修行で培われたのは、力だけではない。「勝てない相手には、別の角度から攻める」という、前世の田中太郎譲りの知恵と策略である。


「(……アフロヘーア。あのべろちゅうの時に、貴女の『神核コア』の微細な揺らぎを感知したわ。……まさか、そこまで油断しているなんて、愚かにも程があるわね)」


アフロヘーアは、新米神を「かわいがり」すぎて油断しきっていた。リリーの神格が自分より遥かに低いからこそ、彼女の反撃など想像もしていなかったのだ。


「――『因果律改変:神罰、不協和音の音色(不快な髪形)』!!」


リリーは、自身の神格の全てを一点に集中させた。因果律を直接操作する、神の権能。それは、物理的な攻撃ではない。**「神が最も嫌う、存在の『不協和音』を強制的に上書きする」**という、極めて悪質な嫌がらせであった。


「あら、リリー。まだ懲りてな……きゃーーーーーーっ!!?」


アフロヘーアの頭から、装着していたスキンヘッドのカツラが宙を舞った。 その下から現れたのは――。


「……私の、私の美しい神髪がぁぁぁーーーッ!!!」


そこに現れたのは、まるで爆発したかのような**「見事なアフロヘアー」**の女神であった。


・・神の容姿:不変なるものへの抗い・・


アフロヘーアは絶叫した。 神々は、その存在が誕生した時から、容姿が不変である。彼女の本来の髪形は、この「アフロ」であった。しかし、アフロヘーアはその髪形を「美しくない」と感じ、数百億年もの間、スキンヘッドのカツラを装着し続けてきたのである。


「こんな、こんな不格好な髪形に、私の美しき神気が……っ!!」


リリーの神権は、アフロヘーアの存在そのものを「変える」ことはできない。しかし、「神が嫌悪する容姿を一時的に顕現させる」という、絶妙なラインを突いたのだ。


「ふん。ハゲにはアフロを。お似合いのアフロ(ヅラ)にされた屈辱、しかと味わいなさい!」 リリーはまだ涙目ではあったが、一矢報いた達成感に、そっと鼻を鳴らした。


神界の最高神殿には、リリーによって「強制アフロ化」されたアフロヘーアの絶叫がこだましていた。

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