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第九話:アレスガイアの終焉、あるいは「未完の神の慟哭」

一人の賢者が放った、あまりにも純粋で、あまりにも致命的な「愛のパス」。 それが呼び込んだのは、アレスガイア全土を覆い尽くす**「確定した滅び」**であった。


空を埋め尽くす次元の裂け目から、一体一人が真・魔王を凌駕する「魔神兵」が、雨のように降り注ぐ。その数、数百万。アレスガイアは、もはや生存の場ではなく、宇宙的な捕食の祭壇へと変貌した。


・・各国の最期:抗いの記録・・


王都大聖堂(筋肉の終焉): アンソニー枢機卿率いる筋肉のシスターたちは、フリルと肉体の矜持を賭けて戦った。「死ぬならば、貴方の胸の中で……」と、漢たちは互いを看取りながら、ピンクの布地に血を滲ませて果てた。


アレスガイア王国 & 神聖ガリア帝国: 騎士団も魔導師団も、魔神兵の前では無力な赤子に過ぎなかった。王国城は瞬く間に陥落した。「陛下、我々の力及ばず、申し訳ございません…」「これまでよく尽くしてくれた…」国王は騎士たちへの感謝を告げた直後に首を撥ねられた。帝国では幼き女帝アリシアが、魔族事件の傷跡が癒えぬまま、祖父と同じ悲劇的な末路を辿った。


獣人国 & エルフの森: 世界樹の雫で傷を癒し、禁呪を連発したエルフたち。牙を研ぎ、本能のままに食らいついた獣人たち。しかし、空から沸き続ける絶望に押し潰され、この日、誇り高き二つの種族は歴史から姿を消した。


ドワーフ国(鉄鋼連邦): リリーから供与されたF35戦闘機が魔神兵を撃墜し、最後にはドワーフ王が「核のボタン」を起動。巨大な光柱が百万の兵を消し飛ばしたが、裂け目からは即座に次なる百万が補充された。国は壊滅し、僅かな生存者は光の届かぬ地底へと逃げ延びた。


扶桑の国: 玄は全魔力を捧げ、最大出力の『百鬼夜行』を召喚。地獄の鬼と魔神兵による、理を超えた殺戮戦が繰り広げられた。鬼の金棒が魔神を砕くが、理の外にある存在同士の戦いは扶桑の国土をも塵に変えた。一日後、鬼が還った後に残ったのは、バルト、玄、シオン、カエデたちの骸と、静寂だけだった。


公爵家と学園、そして「失策」の重み

最強の防波堤であったミリィとモミジも、数日間に及ぶ不眠不休の戦いの末、無限の物量に飲み込まれた。ヴァランタン公爵領は、最後までリリーの帰りを信じた家族と共に、地図から消滅した。


魔法学園では、デブとガリ(ガストとエドワード)が机の下で震えていたが、校舎ごと物理的に圧殺され、その歪んだ審美眼と共に即死。アマリリスとゼクスも死力を尽くしたが、精神体ゆえの限界と魔神の法に抗えず、学園は瓦礫の山へと化した。


・・一千万層の暗黒:リリーの超加速・・


神々のダンジョン。数千万階層の深淵で、リリーは自身の「失策」が招いた下界の惨状を、魂の奥底で感じ取っていた。


(……ごめんなさい。みんな、ごめんなさい……!)


はやる気持ちを抑えきれず、一気に数千万層をジャンプしようとしたリリーを、アフロヘーアの悲鳴が止める。 「ダメよリリー! 試練を飛ばすことは、神格という名の『試験』を白紙で出すのと同じ!良いっ!テストで満点を取りたいと思ってるのに最初の数問答えて、途中は飛ばして最後の数問を解答する。これで満点が取れるの? それでは完全な神にはなれない! 世界を戻すための権能も手に入らないのよッ!!」


神に至るには、百三十八億年の全過程を、一分一秒の漏れもなく魂に刻まなければならない。途中を飛ばした不完全な神では、魔神が上書きした「滅びの因果」を書き換えることは不可能なのだ。


リリーは、全ての感情を再び凍結させた。 一万五千年の修行ですら生ぬるいと感じるほどの、狂気的な速度で試練をこなしていく。


「……待ってて。……必ず、私が『試練に挑むあの瞬間』まで、時間を巻き戻してあげるから」


原子を並べ替え、空間を飲み込み、時間を食らい、リリーは一歩ごとに人間としてのパーツを捨て、高次元の「絶対意志」へと変貌していく。


その頃、唯一生き残っている異世界レムリアでは。 アレスガイアが滅びたことで、全ての魔神兵の矛先がルシウスたちへと向き始めていた。勇者の聖剣が、世界の断末魔を聞いて黒く変色し始める――。

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