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第九話:桃源郷の湯けむりと、乙女たちの秘密

「……疲れたべ。あの変態たちを見てると、魔王と戦うより精神が削れるべ……」 モミジが愛斧を床に置き、深く溜息をついた。


連日の「ロリータ同盟」の暴走、そして元ホモの副会長たちの受肉騒動。一万五千年の修行を耐え抜いたリリーたちの精神も、学園の「濃すぎる」人間模様には限界が近づいていた。


「……ん。……浄化、必要。……お風呂、行きたい」 「そうね、ミリィ。でも、この寮のお風呂……あんなの、ただの『お湯の張った木箱』だわ」


Dクラス女子寮の共同浴場。それは、カビ臭い板張りに、温度の安定しないぬるま湯、そして石鹸の泡立ちすら悪いという、癒やしとは程遠い代物だった。


「アンナ、準備はいいかしら? Dクラスの皆さんに、本物の『休息』を教えてあげましょう」 「承知いたしました、お嬢様。……ちょうど、一万年前の地層から湧き出る『聖なる源泉』の座標を固定してございますわ」


・・執行:一万年の神域スパ・リゾート・・


深夜、女子生徒たちが寝静まる頃、リリーの「神域建築」が発動した。


ボロい共同浴場の扉を開けると、そこはもはや学園内とは思えない別世界が広がっていた。 空間拡張魔法により、広さは元の百倍。天井には魔法で映し出された満天の星空。浴槽は最高級の十和田石と檜で設えられ、乳白色の源泉からは、疲労回復と美肌効果を極限まで高めた魔力が立ち昇っている。さらには打たせ湯、薬湯、ジャグジー、そしてアンナ特製の「湯上がりスムージー」が完備されたカウンターまで設置された。


翌朝、一番風呂にやってきたDクラスの女生徒たちは、腰を抜かさんばかりに驚愕した。 「な、なにこれぇぇ!? 私たちのボロ寮が、王宮の保養地になってる……!?」


・・融解:公爵令嬢から「可愛い妹」へ・・


これまで「四翼公爵家の令嬢」という近寄りがたい肩書きと、その圧倒的な実力ゆえに、リリーたちは周囲から一線を引かれていた。しかし、この「温泉の恩恵」は、一瞬にしてその壁を粉砕した。


「リリーちゃん……これ、あなたがやってくれたの? ありがとう、本当にありがとう……!」 「ああ、お肌がツルツル……! リリーちゃんはDクラスの女神様よ!」


二年生、三年生の先輩たちも、あまりの心地よさに理性を奪われ、湯船の中でリリーに抱きついた。一万五千年の修行を経ても、見た目は可憐な幼女(実年齢十五歳)。年上の女生徒たちにとって、リリーはもはや「畏怖すべき対象」ではなく、「守ってあげたい、最高に可愛い妹」へとクラスチェンジしたのである。


・・視覚の暴力と、未知なる指先・・


「さあリリーちゃん、背中流してあげるわね。遠慮しないで?」 「ミリィちゃんも、こっちにいらっしゃい。お姉さんたちが綺麗にしてあげるわ」


リリーは戸惑った。前世は男(田中)、今世も一万五千年生きてきたが、これほど多くの「女性の裸」を間近で見るのは初めてだった。 これまではアンナやモミジといった身内のみ。しかし、今目の前にあるのは、Dクラスの女生徒全員。


スラリと伸びた脚、豊かな膨らみ、あるいは引き締まった腹筋。 (……ん。……視覚情報の、過負荷。……田中が、目覚めそう) ミリィも無表情ながら、耳まで赤くしている。


そして、リリーの身体に「それ」が触れた。 「ふふ、リリーちゃんのお肌、まるでお餅みたいに柔らかいわね……」


先輩たちの、きめ細やかで柔らかな手指。それが石鹸の泡と共に、リリーの華奢な肩から背中、そして腰のラインを優しくなぞっていく。 アンナの事務的な手つきや、モミジの力強い洗い方とは違う、慈しむような、それでいてどこか艶めかしい「女の手」の感触。


「……あ、んっ……」 思わず漏れた小さな吐息。リリーの身体が、自分でも知らなかった「女の感覚」に震える。


「あら、リリーちゃん顔が真っ赤よ? もしかして、のぼせちゃったかな?」 クスクスと笑いながら、さらに密着してくる先輩たちの豊かな胸の感触が、リリーの背中に押し当てられる。


一万五千年の研鑽を積んだ賢者の精神が、十代の女子生徒たちの「柔らかい暴力」によって、今まさに崩壊しようとしていた。


その頃、男子寮のボロい風呂で「ガリとデブ」は、股間を抑えながら「……あの壁の向こう側は、きっと天国なのだろうな……」と、血涙を流しながら石鹸を回し合っていたのである。


湯上がりで火照った体を引きずるようにして、リリーは脱衣所へと連行された。 そこには、温泉の多幸感ですっかり理性を「癒やし」の彼方に放り投げた、Dクラスの先輩たちが待ち構えていた。


「さあ! 第二ラウンドの始まりよ、リリーちゃん!」 「ちょっと、みんな! 授業開始まであと三十分しかないわよ!?」


誰かが正論を叫ぶが、その声は「でもリリーちゃんを着せ替えなきゃ、今日一日頑張れないわ!」という熱狂的な叫びにかき消された。二年生、三年生のお姉さんたちは、濡れた髪を拭くのももどかしく、驚異的な速度で自室へと走り、自分たちの「とっておきの一着」を抱えて戻ってきた。


・・執行:ブカブカの誘惑・・


「リリーちゃん、これ着てみて! 私の勝負服なんだけど、絶対似合うから!」 「こっちのフリルたっぷりなブラウスも捨てがたいわ!」


リリーは、一万五千年の修行で培った「神域の回避能力」を発揮する間もなく、お姉さんたちの柔らかな腕の中に包囲された。


まず着せられたのは、三年生の先輩が持ってきた落ち着いたネイビーのワンピース。しかし、十五歳にしてはあまりに可憐な(絶壁な)リリーがそれを着ると、肩幅が余り、襟元からは華奢な鎖骨が大きく覗いてしまう。袖も指先まで隠れてしまい、いわゆる「萌え袖」の状態だ。


「……あ、あら。これ……破壊力、凄まじくない?」 「ブカブカなのが、逆にリリーちゃんの『守ってあげたい感』を強調してるわ……!」


お姉さんたちの瞳に、先ほどまでの「妹を愛でる」以上の、もっと濃密な光が灯り始めた。


・・覚醒:百合の香る脱衣所・・


次に着せられたのは、二年生の先輩の私服である、透け感のある白いシャツとショートパンツ。 サイズが合わないため、シャツの裾はリリーの太ももの半分まで隠し、ショートパンツはほとんど見えない。


「……ん。……リリー、危ない。……お姉さんたちの、鼻息、荒い」 傍らで自分もリボンで髪を結い上げられていたミリィが、無機質に警告を発する。しかし、時すでに遅し。


「……可愛い。……何これ、尊い」 「今まで男子生徒ガリやデブの相手ばっかりで、心が荒んでたけど……真の救済は、身近なところにあったのね」


お姉さんたちは、リリーを囲んでうっとりと溜息をつき、その頬を寄せ合ったり、ブカブカの服から覗く細い手首を優しく握ったりと、完全に「新たな境地」へと足を踏み入れていた。もはやそこは脱衣所ではなく、清楚な百合の花が咲き乱れる楽園と化していたのである。


・・結末:授業へのダッシュ・・


「ひ、ひゃあ! ちょっと、お姉様方、近いですわ!」 リリーが(前世田中の記憶を呼び覚ましながら)赤面して身をよじると、その初々しい反応に、お姉さんたちのボルテージは最高潮に。


「リリーちゃん、もう学園なんて行かずに、一日中こうしてようよぉ……」 「ダメですわよ! ほら、予鈴が鳴るわ!」


結局、アンナがどこからか取り出した巨大なタイマーで「時間ですわ」と告げるまで、リリーの着せ替えは続いた。 結局、リリーは自分の制服に着替え直す暇がなく、アンナが魔法で「制服に偽装したお姉さんのブカブカ私服」を整えてあげることで、なんとか遅刻を免れた。


教室へ向かう廊下、リリーの足取りは心なしかおぼつかない。 「……ん。……リリー。……身体、いい匂いする」 「もう、ミリィまで……。お姉様たちの香水や石鹸の匂いが移っちゃったみたいだわ」


Dクラスの結束が、お風呂と着せ替えを通じて、かつてないほど強固(かつ偏った方向)に固まった瞬間だった。


一方、その頃。 生徒会室で「更生プログラム」として雑巾掛けをさせられていたガリとデブは、廊下を通り過ぎるリリーから漂う「大人の女性たちの芳香」を嗅ぎ取り、 「……この匂い、まさかリリアーヌたん、昨夜は大人の女性たちと……ハァハァ……!!」 と、掃除の手を止めて再び股間を爆発させていた。

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