第84章 ― グレンリゾートホテル売店、始動 ―
第84章 ― グレンリゾートホテル売店、始動 ―
王女セシリアの来訪から数日が経ち、
グレン村は再び穏やかな日常を取り戻していた。
リゾートホテルのロビーには、
王女が座ったソファの余韻がまだ残っているようで、
従業員たちはどこか誇らしげに働いていた。
そんな中、すすむは一つの課題に向き合っていた。
――売店の本格運用。
王女の滞在中は、ホテル全体の運営に集中していたため、
売店は最低限の品揃えに留めていた。
しかし、王女の訪問が無事に終わった今こそ、
本格的に取り組むべき時だった。
すすむは、リゾートホテルの売店スペースに立ち、
広さと棚の配置を確認しながら呟いた。
「ここを……もっと魅力的にしたいな」
まず考えるべきは、宿泊客が“滞在中に必要とするもの”だ。
・飲み物
・おつまみ
・菓子パン
・デザート
「ホテルの売店って、まずはここからだよな……」
すすむは、前の世界で働いていたホテルの売店を思い出しながら、
必要な商品をメモに書き出していった。
「飲み物は……ペットボトルの水、お茶、ジュース。
アルコールは……ビール、サワー、ワイン、ウイスキー、ラム酒、ウォッカ……」
この世界では見たこともない商品ばかりだが、
リゾートホテルの客層なら、きっと興味を持つはずだ。
「おつまみは……ビーフジャーキー、ナッツ類。
パンは……あんパン、ジャムパン、クリームパン、ドーナツ。
デザートは……クッキー、ドライフルーツ……」
棚に並べる光景を想像すると、
すすむの胸は自然と高鳴った。
次に考えるべきは“お土産”だ。
「村の特産品……と言っても、まだこれといった名物はないし……」
村の農産物は質が良いが、
加工品としてのブランドはまだ確立していない。
「とりあえず、僕の能力で調達したお土産を置いてみるか」
すすむは、通販能力を使って以下の商品を調達した。
・お土産用クッキー
・ドライフルーツセット
・饅頭セット(テスト販売)
・服、下着、靴下などの衣類
「服は……どうだろう。
この世界の人たちに合うかな?」
少し不安だったが、
とりあえず並べてみることにした。
本来なら、エレニアの市場から仕入れたいところだが――
「商業ギルドが目を光らせてるからなぁ……」
以前の交渉で、商業ギルドは
“物資提供の独占”を狙っていた。
あの時、すすむは慎重に断ったが、
商業ギルドが諦めたとは思えない。
「しばらくは……僕の能力で調達するしかないか」
すすむはため息をつきながらも、棚に商品を並べていった。
準備が整い、ついに売店が正式にオープンした。
棚には色とりどりの商品が並び、
まるで前の世界のコンビニの一角のようだった。
・ペットボトル飲料
・ビール缶、サワー缶
・ワイン、ウイスキー、ラム酒、ウォッカ
・ビーフジャーキー
・あんパン、ジャムパン、クリームパン
・ドーナツ、クッキー
・ドライフルーツ
・お土産用クッキー、ドライフルーツセット、饅頭セット
・服、下着、靴下
ミーシャが棚を見て目を丸くした。
「すすむさん……これ、全部売るんですか?」
「うん。宿泊客が喜んでくれたらいいなと思って」
クラレスはドーナツを見て、
思わずよだれを垂らしそうになっていた。
「これ……絶対売れるわよ……!」
ローレントはワインの棚を見て、
感心したように頷いた。
「王都でも、これほどの種類は揃いませんよ……」
セレスは饅頭セットを手に取り、
「なんじゃこの柔らかさは……!
わしが若い頃に食べた饅頭よりうまそうじゃ……!」
と目を輝かせていた。
★★★★★
売店を開いて一週間。
すすむは売上表を見て、思わず声を上げた。
「……え、こんなに売れたの?」
売れ筋商品は以下の通りだった。
・ビール缶
・ワイン
・ビーフジャーキー
・あんパン
・ドーナツ
「まあ、この辺は予想通りだな……」
しかし、最も売れた商品は――
・饅頭セット
・通販能力で仕入れた服
だった。
「……饅頭と服……?」
すすむは首をかしげた。
「なんで……?」
理由を知るため、
すすむは売店で買い物をしていた客に声をかけた。
「饅頭? あれは美味しいから買ったんだよ!」
「柔らかくて、甘さが上品で……王都でも食べたことない味だ」
「服? あれは……なんというか……最先端って感じがするんだよ」
「村に帰ったら自慢できるしな!」
「この村のセンス、すごいって言われそうで……」
「変わってるけど、なんかカッコいいんだよね」
すすむは思わず笑ってしまった。
「なるほど……そういう理由か」
饅頭は純粋に味で勝負し、
服は“珍しさ”と“最先端感”で人気を集めていた。
「意外だったけど……嬉しいな」
売店の成功を受け、
すすむは新たな目標を立てた。
「……村の名物を作ろう」
今は能力で調達しているが、
いずれは村の特産品として
“グレン村ブランド”を作りたい。
・村の果物を使ったジャム
・村の小麦で作るパン
・村の蜂蜜を使ったお菓子
・村の木材を使った工芸品
「村の人たちと一緒に作れば、
きっと素敵な名物になる」
すすむは胸の奥が熱くなるのを感じた。
「しばらくは能力で調達しつつ……
ゆっくり名物を育てていこう」
リゾートホテルの売店は、
村の未来を照らす小さな光になりつつあった。
すすむは棚に並ぶ饅頭セットを見つめながら、
静かに微笑んだ。
――この村は、まだまだ伸びる。
そして、もっと多くの人に愛される場所になる。
その決意とともに、
グレンリゾートホテルの売店は今日も賑わいを見せていた。




