第77章 ― グレン村・晩餐会 ―
第77章 ― グレン村・晩餐会 ―
ビジネスホテルBの食堂は、夕刻になると柔らかな灯りに包まれ、
村の誰もが見たことのないほど豪華な空間へと変貌していた。
すすむは、胸の奥がじんわりと熱くなるのを感じながら、
並べられた料理の数々を見渡した。
――これだけの準備を、よく間に合わせたものだ。
給仕たちは、ここ二日間、ほとんど寝ずに訓練を続けてきた。
ビュッフェ方式とはいえ、客が皿を持って歩くのではなく、
大皿の前に立つ給仕が取り分ける“セミビュッフェ方式”だ。
「盛り付けは美しく、量はお客様の希望に合わせて」
「料理名を丁寧に説明すること」
「笑顔を絶やさないこと」
すすむが教えた基本を、村の若者たちは必死に覚えた。
そして今、彼らは緊張しながらも誇らしげに、
大皿の前に立っている。
仮設の拡張食堂には、すすむの能力で用意した料理がずらりと並んでいた。
まずはスープのコーナー。
・コンスープ
・ミネストローネ
・ボルシチ
・トムヤンクン
・みそ汁
・ラクサ
・ふかひれのスープ
クラコフ高級政務官は、スープの前で立ち止まり、目を丸くした。
「……これは、どこの国の料理だ?」
「いろいろな地域のスープを集めました。
お好みでどうぞ」
「ふむ……香りだけで食欲が湧くな」
次にサラダ。
・グリーンサラダ
・キュウリとビーツのサラダ
・茹でたジャガイモのサイコロ状グリークサラダ
彩りが美しく、野菜の新鮮さが際立っている。
パンのコーナーには、焼きたての香りが漂っていた。
・クロワッサン
・バターロール
・ライムギパン
・ブドウとクルミのパン
・ワッフル
ジャムも豊富だ。
・イチゴ
・ブルーベリー
・マーマレード
・リンゴ
・バター
クラコフは、パンを一つ手に取り、香りを嗅いだ。
「……焼きたてだな。
村でこれほどのパンが食べられるとは」
すすむは微笑んだ。
「はい。村のパン職人と協力して焼きました」
メイン料理のコーナーは、まさに圧巻だった。
・ソーセージ
・スクランブルエッグ
・ベーコン
・ラタトゥイユ
・ファラフェル
・フムス
・ペリメニ
・クスクス
・パエリア
・ビリヤニ
・ピザ
・トマトパスタ
・ジェノベーゼ
・カルボナーラ
・ミニステーキ
・ユーリンチー
・空心菜の炒め
・豚の角煮
・餃子
・シュウマイ
・チャーハン
・ビーフン
・焼きそば
・うどん
・そば
・ご飯
・カレー
・とんかつ
・コロッケ
クラコフは、料理の前で立ち尽くした。
「……これは……一体……?」
マンハイム上級政務官が笑う。
「すすむどのの料理は、王都の宴会より豪華だぞ」
「いや、これは……豪華という言葉では足りない。
まるで“世界の料理祭”だ」
クラコフは感嘆の声を漏らし、
給仕に勧められるまま、少しずつ皿に盛っていく。
デザートコーナーも華やかだった。
・リンゴ
・オレンジ
・ブドウ
・パイナップル
・桃
・イチゴ
・ブルーベリー
・ライチ
さらに、
・プリン
・ゼリー
・ケーキ6種類
・ミニドーナツ
・チョコレート
クラコフは、ケーキを見て目を細めた。
「これは……甘い香りがするな。
後で必ず食べよう」
飲み物も豊富だ。
・紅茶
・緑茶
・ウーロン茶
・コーヒー
・ミネラルウォーター
・リンゴジュース
・オレンジジュース
・ぶどうジュース
・パイナップルジュース
・牛乳
・豆乳
そしてアルコール。
・ビール
・ワイン
・アイスワイン
・ウイスキー
・ジン
・ラム酒
・ウォッカ
・スピリッツ
・焼酎
・日本酒
・老酒
・紹興酒
・カクテル
・サワー
・ジンジール
・コニャック
クラコフは、酒の棚を見て驚いた。
「……王都の酒場でも、これほどの種類は揃わんぞ」
すすむは苦笑した。
「お口に合うものがあれば幸いです」
村長の挨拶で、晩餐会が始まった。
「本日は、遠路はるばるお越しいただき、誠にありがとうございます。
グレン村一同、心より歓迎いたします」
クラコフは丁寧に頭を下げた。
「こちらこそ、温かい歓迎に感謝する。
村の発展を、この目で確かめられることを嬉しく思う」
拍手が起こり、晩餐会が本格的に始まった。
クラコフは、まずコンスープを口に運んだ。
「……これは……優しい味だ。
だが、深みがある」
次にミネストローネ。
「野菜の旨味がしっかり出ている。
これは……村で作れる味ではないな」
そして、ふかひれのスープ。
「……贅沢すぎる……!」
マンハイム上級政務官が笑う。
「すすむどのの料理は、王都の宮廷料理にも負けんぞ」
クラコフは真剣な表情で頷いた。
「いや……勝っている。
これは本当に素晴らしい」
料理を食べるたびに、クラコフは感動の言葉を述べた。
「この“パエリア”という料理は……香りが素晴らしい」
「“ビリヤニ”……これは初めて食べる味だが、癖になる」
「“豚の角煮”……柔らかい……どうやって作ったのだ?」
「“餃子”……皮がもちもちしている」
「“カレー”……香辛料の香りが複雑だ」
すすむは、胸が熱くなるのを感じた。
村長は満面の笑みで料理を味わい、
ハンス一家は「こんな料理、初めてだ!」と大喜び。
ギルバートは酒を片手に、鍛冶屋集団と盛り上がっている。
「おい、今日の“ビール”、うまいぞ!」
「この“ワイン”も香りがいい!」
「この“ウイスキー”、深みがあるな……!」
村人たちの笑顔が、すすむには何より嬉しかった。
食事が一段落すると、村の若者たちが楽器を持って現れた。
笛、太鼓、弦楽器。
村の伝統的な音楽が奏でられ、
子どもたちが踊り始める。
クラコフは目を細め、手を叩いた。
「素晴らしい……!
村の文化が生きている」
マンハイムも笑う。
「グレン村は、ただ発展しているだけではない。
文化も、人も、温かい」
すすむは胸が熱くなった。
夜が更ける頃、晩餐会は大盛況のまま幕を閉じた。
クラコフはすすむの前に立ち、深く頭を下げた。
「すすむ殿。
今日のもてなし……心から感謝する。
これほどの料理、これほどの温かさ……
王都でも味わえぬものだ」
すすむは頭を下げた。
「ありがとうございます。
村のみんなのおかげです」
クラコフは微笑んだ。
「明日の視察も楽しみにしている。
今日はゆっくり休ませてもらおう」
その言葉を残し、クラコフはヴィラへと向かった。
すすむは、静かに息を吐いた。
――最高の晩餐会だった。
村の未来が、また一歩前へ進んだ気がした。




