第66章 鍛冶の炎と、夜の酒場の夢
第66章 鍛冶の炎と、夜の酒場の夢
鋼の匠がグレン村に移住してから一週間。
その間、彼らは驚異的なスピードで工房棟を建設し、
ついに今日、正式稼働の日を迎えた。
すすむが見に行くと、
すでに炉には火が入り、赤々と燃えていた。
「ガンッ! ガンッ!」
鍛冶ハンマーの音が響き、
冒険者たちが持ち込んだ剣材が次々と打ち込まれている。
ガンツは汗を拭いながら、誇らしげに言った。
「今日から本格的に鍛冶を始めるぞい。
冒険者の武具は任せておけ。」
すすむは頷き、
ホテルのランドリーサービスと連携して
武具メンテナンスの預かりサービスを開始する旨を説明した。
ガンツは快く承諾し、
「任せておけ。ワシらの腕を見せてやるわい。」
と胸を叩いた。
説明が終わったところで、ガンツが少し照れくさそうに言った。
「ところで、すすむ殿……
料理は最高じゃが、酒が少し物足りんのじゃ。」
「酒、ですか?」
「うむ。ビールとワインも悪くないが、
エレニアで飲んだような、もっと強い酒も置いてほしい。」
ドワーフらしい要望だった。
すすむはすぐに対応することにした。
通販スキルで調達できる酒を一気に揃える。
ラム酒
ウォッカ
ジン
コニャック
アイスワイン
紹興酒
老酒
ジンジャーリキュール(ジンジール)
焼酎
カクテル各種
サワー
ウイスキー
90%以上のスピリッツ
「これだけあれば、ドワーフも満足するだろう。」
レストランに並べると、冒険者たちも大喜びだった。
「なんだこの酒の種類は!」
「強い酒が多いな……最高だ!」
「グレンホテル、どこまで進化するんだ……!」
特にドワーフの職人たちは毎晩のように飲み比べをし、
上機嫌で歌い出すほどだった。
だが、すすむには一つだけ心残りがあった。
「……レストランで飲むのもいいけど、
やっぱり“バー”が欲しいよな。」
薄暗い照明、木のカウンター、
静かに酒を楽しむ空間。
ホテルマンとしての血が騒ぐ。
すすむは思い切ってガンツに相談した。
「ガンツさん、バーを作りたいんです。」
ガンツは目を輝かせた。
「ほう! 酒を楽しむ専用の場所か!
それは面白い! ワシらが作ってやろう!」
まさかの即答だった。
「本当ですか?」
「任せておけ。
鍛冶屋は建物も作れるんじゃ。
ワシらの技術で、最高の酒場を作ってやるわい!」
すすむは胸が熱くなった。
こうして――
グレン村に“本格バー”を作る計画が動き出した。
鍛冶の炎が灯り、
酒の香りが漂い、
村はますます賑やかになっていく。
すすむは、工房の前でハンマーの音を聞きながら思った。
「……この村、どこまで発展するんだろう。」
異世界の村は、今日もすすむの手で進化し続ける。




