第62章 鍛冶屋を求めて
第62章 鍛冶屋を求めて
グレンイン、そしてグレンホテル。
どちらもランドリーサービスが好評で、冒険者たちからは感謝の声が絶えなかった。
だが、ある日――
すすむは冒険者たちから、こんな声を複数聞くことになる。
「服を洗ってくれるのは助かるんだが……
鎧や剣のメンテナンスもしてくれたら最高なんだけどな。」
「ダンジョン帰りは、武具がボロボロになるんだよ。
休みの日にまとめて直せたら、どれだけ楽か……」
すすむは、なるほどと思いながらも、同時に頭を抱えた。
武具のメンテナンスは、洗濯とは次元が違う。
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すすむはギルド支部へ向かい、ギルバートに相談した。
「ギルマス、冒険者から武具のメンテナンスサービスが欲しいという声が多くて……」
ギルバートは腕を組み、うなずいた。
「確かにな。
休みの日に武具を整えてくれる場所があれば、冒険者は助かるだろう。」
すすむは素朴な疑問を口にした。
「剣や鎧って、どんなメンテナンスをするんですか?」
「そうだな……
・ゆがみの補正
・防錆処理
・刃の研ぎ直し
・切先や刃面の鋭さの維持
このあたりが基本だ。」
すすむは思わず苦笑した。
「……完全に鍛冶屋の仕事ですね。」
「そうだ。」
「この村に鍛冶屋なんていませんよ。」
「だから、冒険者は“欲しい”と言うんだろう。」
ギルバートは肩をすくめた。
「だが……エレニアには《鋼の匠》という鍛冶屋がある。
腕は確かだが、この村に職人を派遣してくれるかどうか……」
「鋼の匠……?」
「エレニアでも評判の鍛冶屋だ。
武具の修理から魔法金属の加工までこなす。
ただし、気難しい職人が多いと聞く。」
すすむは深く息を吸った。
「……紹介してもらえますか?」
ギルバートは頷き、机から羊皮紙を取り出した。
「紹介状を書いてやる。
これを持って《鋼の匠》に行け。
お前の働きぶりなら、話くらいは聞いてくれるだろう。」
ギルバートは力強い筆跡で紹介状を書き上げ、すすむに手渡した。
「グレン村のためにも、ぜひ頼む。」
すすむは紹介状を受け取り、深く頭を下げた。
「行ってきます。
グレン村に鍛冶屋を呼び込みます。」
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こうしてすすむは、
冒険者の武具メンテナンスサービスを実現するため、
エレニアの鍛冶屋《鋼の匠》へ勧誘に向かうことを決意した。
村の発展は、また一つ新しい段階へ進もうとしていた。




