第60章 異世界グルメ評価会、開幕
第60章 異世界グルメ評価会、開幕
グレンホテルのレストランは、これまでフランス料理やイタリア料理を中心に提供してきた。
この世界の文化水準を考えれば、それだけでも十分に“異世界の料理”として驚かれていた。
だが、すすむの胸にはずっと引っかかっていた疑問があった。
――和食や中華、カレーを出したら、どうなるんだろう?
この世界の人々は、未知の味にどう反応するのか。
それを確かめたくて、すすむは思い切って“料理評価会”を開くことにした。
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参加者は豪華だ。
・リリア
・レミー
・村長ローガン
・ギルマスのギルバート
・ハンスとその家族
・常連の冒険者たち
まるで村の祭りのような顔ぶれである。
食材はすべて通販スキルで調達。
すすむは厨房にこもり、怒涛の勢いで料理を作り続けた。
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大皿に盛られた料理は、まさに世界の食卓そのものだった。
・カレー
・ビリヤニ
・トムヤムクン
・ラクサ
・ラーメン
・とんかつ
・寿司
・そば
・うどん
・チャーハン
・ユーリンチー
「すすむさん……これ全部、初めて見る料理です……!」
リリアが目を丸くする。
「なんだこの香りは……腹が鳴るぞ……!」
ギルバートは鼻をひくつかせている。
「色が鮮やかだな……これは食欲をそそる。」
村長も興味津々だ。
すすむは笑顔で言った。
「今日はビュッフェ形式です。好きなだけ取って、自由に食べてください。」
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冒険者たちは、まずカレーに群がった。
「うおっ……辛い! でもうまい!」
「なんだこの香り……クセになるぞ!」
次に寿司。
「生の魚……? だが、これは……うまい!」
「酢飯ってやつか? これ、癖になるな……!」
ラーメンはというと――
「スープが……深い……!」
「麺がもちもちしてる……!」
とんかつは大人気で、あっという間に皿が空になった。
「肉が柔らかい! 衣がサクサクだ!」
「これ、毎日食べたい!」
ハンスはそばをすすりながら感動していた。
「……喉越しがいい……これは癖になる……!」
ギルバートはユーリンチーを食べて目を見開いた。
「このタレ……魔法か?」
すすむは苦笑した。
「魔法じゃなくて、調味料です。」
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参加者全員が皿を手に何度もおかわりし、
食堂は笑い声と驚きの声で満ちていた。
ネガティブな意見は一つもない。
むしろ――
「これ、レストランで出せないのか?」
「次はいつ食べられる?」
「この“カレー”という料理、もっと食べたい!」
と、すすむは質問攻めにあった。
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食事が終わると、今度は別の意味で大変だった。
「どうやって作るんだ?」
「この香辛料はどこで手に入る?」
「寿司の握り方を教えてくれ!」
「ラーメンのスープはどうやって作るんだ?」
「そもそも、どこでこの料理を知ったんだ?」
すすむは冷や汗をかきながら、曖昧に笑うしかなかった。
「え、ええと……まあ、色々と……」
この世界の人々に“地球の料理”の出どころを説明するのは難しい。
転生者であることを明かすわけにもいかない。
リリアが苦笑しながら助け舟を出した。
「すすむさんは……料理の神様に愛されているんですよ、きっと。」
その言葉に、場がどっと笑いに包まれた。
すすむは胸を撫で下ろしながら、心の中でつぶやいた。
(……危なかった。)
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こうして、グレンホテルのレストランは
“世界中の料理を出せる店”として、さらに注目を集めることになる。
すすむは、料理の幅が広がったことに満足しつつ、
次はどんな料理を出そうかと、密かにワクワクしていた。
異世界の村に、またひとつ新しい文化が根付いた瞬間だった。




