第54章 グレンギルド支部、正式始動
第54章 グレンギルド支部、正式始動
グレンホテルの建設が一段落した頃、
その隣では、冒険者ギルド支部のプレハブ設置が着々と進んでいた。
すすむが建てた二階建てプレハブ三棟は、
すでに外観だけなら立派な“ギルド施設”の風格を漂わせている。
その周囲には、冒険者が長期滞在するために必要な設備――
バイオトイレとシャワールームも設置された。
「これで、冒険者たちも快適に過ごせるはずだ。」
すすむは汗を拭いながら、完成した設備を見渡した。
★★★★★
翌日、エレニアの冒険者ギルドから馬車が数台到着した。
ギルドの紋章が刻まれた木箱が次々と運び込まれ、
職員たちが慌ただしく荷物を仕分けていく。
「これが……ギルド支部の備品か。」
書類棚、受付カウンター、魔物素材の保管箱、
ギルドカードの発行機器らしきものまで揃っている。
さらに、ギルド職員が長期滞在するための住居として、
すすむは コンテナ客室を20室 追加で建築した。
「これで、職員の生活環境も整ったな。」
レミーが誇らしげに胸を張る。
★★★★★
数日後。
すべての設備が整い、ギルド支部の立ち上げ準備が完了した。
その日の午後、
ギルド職員、村の代表者、そしてグレンホテルの従業員たちが
プレハブ前の広場に集まった。
そして――
「本日より、私ギルバート・ハーシェルは、
グレン支部ギルドマスターとして着任する!」
ギルバートが堂々と宣言した。
茶色の短髪に鋭い目つき、
大柄な体格から放たれる威圧感は相変わらずだが、
その声には誠実さと覚悟が込められていた。
村長ローガンが前に出て、深く頭を下げる。
「ギルバート殿、グレン村をどうかよろしく頼む。」
「もちろんだ。
この村は、今まさに大きく発展しようとしている。
その一助となれることを誇りに思う。」
リリアも、胸に手を当てて微笑んだ。
「ギルドができれば、村の安全も守られますね。」
ギルバートは力強く頷いた。
「冒険者たちの拠点として、
そして村の未来を支える場所として、
この支部を全力で運営していく。」
すすむはその様子を見守りながら、
胸の奥がじんわりと熱くなるのを感じていた。
自分が建てた建物が、
村の未来を形作る一部になっている。
それは、ホテルマンとしての人生では
決して味わえなかった感覚だった。
★★★★★
ギルバートの挨拶が終わると、
職員たちはそれぞれの持ち場へ散っていった。
受付ではギルドカードの更新が始まり、
資料室では魔物情報の整理が行われ、
訓練場では冒険者たちが早速体を動かし始めている。
「……本当に、支部ができたんだな。」
レミーが感慨深げに呟く。
すすむは微笑んだ。
「ここからがスタートだよ。
村も、ホテルも、ギルドも……全部が一緒に成長していく。」
グレン村は、確実に変わり始めていた。
そしてその中心には、
異世界に転生した一人のホテルマンの努力があった。




