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第53章 ギルドからの料理人たち

第53章 ギルドからの料理人たち


グレンホテルのレストラン棟が完成してから四日後。

朝の冷たい空気を切り裂くように、三つの影が北側の敷地へと歩いてきた。


「すすむさん、エレニアのギルドから料理人の方々が到着しました!」


レミーの声に、すすむは外へ出た。


そこには、旅の埃を払いながらも、どこか誇らしげな表情を浮かべた三人の料理人が立っていた。


★★★★★


●ミーナ

20代前半の女性。

金髪のショートヘアが陽光にきらめき、瞳は真っ直ぐで強い意志を宿している。

「よろしくお願いします! 料理を学べると聞いて、ずっと楽しみにしていました!」

努力家らしく、声にも熱がこもっていた。


●ダレス

40代の男性。

落ち着いた雰囲気だが、目の奥には料理人特有の鋭さがある。

「究極の料理を追求するためなら、どこへでも行く覚悟はできている。」

その言葉に、すすむは思わず背筋を伸ばした。


●メイ

10代後半の少女。

まだ幼さが残るが、姿勢は真面目そのもの。

「わ、私……まだまだですが、よろしくお願いします!」

緊張で声が震えていたが、真剣さは誰よりも伝わってきた。


★★★★★


すすむは三人をコンテナ客室へ案内した。


「ここが皆さんの部屋です。設備は最低限ですが、快適に過ごせると思います。」


ミーナは目を輝かせ、

「すごい……魔法で作ったとは思えないです!」

と感嘆の声を上げた。


ダレスはベッドを軽く押し、

「ふむ……悪くない。これなら疲れも取れる。」

と満足げに頷く。


メイは部屋の隅々まで見て、

「こんなに綺麗な部屋、初めてです……!」

と感動していた。


三人とも、すすむに深々と頭を下げた。


「ここで働けること、心から感謝します。」


すすむは微笑み、次の場所へ案内した。


★★★★★


レストラン棟の厨房に入ると、三人は息を呑んだ。


「……これは……」

「見たことのない器具が多いな……」

「すごい……全部、魔法の道具なんですか?」


すすむは苦笑しながら説明する。


「魔法……ということにしておきましょう。

これは“オーブン”、こっちは“フライパン”……使い方は順番に教えます。」


三人は真剣に頷いた。


★★★★★


すすむは三日間、朝から晩まで料理人たちに指導した。


・火加減の調整

・包丁の扱い

・衛生管理

・調味料の使い方

・盛り付けの基本

・大量調理の段取り


ミーナは吸収が早く、すすむの動きを見ただけで真似できるほど。

ダレスは質問が多く、料理の理屈を深く理解しようとしていた。

メイは不器用ながらも、誰よりも丁寧に作業をこなした。


「ミーナさん、火が強すぎると焦げますよ。」

「はいっ、気をつけます!」


「ダレスさん、その味付けは……」

「む……少し塩が強いか。調整しよう。」


「メイさん、包丁はこう持つと安全ですよ。」

「は、はい……ありがとうございます!」


すすむは三人の成長を見て、胸が熱くなった。


★★★★★


訓練の合間に、すすむと三人は実際に料理を作り、レストランで提供した。


「うまい!」

「なんだこのスープ……身体が温まる……!」

「この村に、こんな料理があったのか!」


冒険者たちは大喜びだった。


ミーナは照れながらも嬉しそうに微笑み、

ダレスは腕を組んで満足げに頷き、

メイは「よかった……」と胸を撫で下ろしていた。


すすむは、彼らの背中を見ながら思った。


――このレストランは、きっと村の新しい名物になる。


そして、ギルド支部とホテルを支える大きな柱にもなるだろう。


三人の料理人が加わったことで、

グレン村の未来はさらに明るくなっていくのだった。

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