第45章 白い壁と、新しい床
第45章 白い壁と、新しい床
翌朝、すすむとレミーは再び改装中の部屋に入った。
昨日仕上げた壁はしっかりと固定されており、断熱材の効果で室内はほんのり暖かい。
「今日は壁紙を貼るよ。」
「壁紙……って、これがそうなのか?」
レミーは白基調のロール紙を手に取り、不思議そうに眺めた。
「そう。これを壁に貼ると、部屋が明るくなるし、汚れも拭き取りやすくなる。」
すすむは接着剤をハケで塗り、壁紙を慎重に貼り付けていく。
シワが寄らないように、空気を抜きながら端をなめしていく。
余った部分はカッターで丁寧にカット。
「レミーもやってみる?」
「う、うん……!」
レミーは緊張した面持ちで壁紙を持ち、貼り付けようとするが――
「うわっ、シワが……!」
「慌てないで。ここを押さえて、こうやって伸ばすんだ。」
すすむが手を添えると、レミーの表情が少しずつ落ち着いていく。
「……できた!」
「うん、上手いよ。」
こうして壁紙貼りは順調に進み、2日目の作業は無事に完了した。
3日目。
いよいよ床に取りかかる。
「まずは角材で枠を作る。ドアの部分は避けてね。」
「了解!」
二人は床に角材を網目状に敷き詰め、固定していく。
その間に断熱材を入れ、厚めの板で覆う。
すすむは丸鋸で板を切り、マーキングした位置に合わせて加工していく。
木の香りが部屋に広がり、レミーは嬉しそうに鼻をくすぐった。
「いい匂いだな……木って、こんなに温かいんだ。」
「そうだね。床が変わると、部屋の印象も大きく変わるよ。」
板を敷き詰め終えると、最後に化粧床板を貼っていく。
衝撃や傷に強く、長く使える素材だ。
「……完成だ。」
すすむが息をついた瞬間、レミーが歓声を上げた。
「すごい! 本当に別の部屋みたいだ!」
すすむはリリアを呼びに行き、完成した部屋へ案内した。
「リリアさん、どうぞ。」
扉を開けた瞬間、リリアは目を見開いた。
「……まあ……なんて綺麗なの……!」
白い壁、温かみのある床、しっかり閉まる窓。
部屋全体が明るく、清潔で、どこか“現代のホテル”の空気をまとっている。
「すすむさん……本当に、ありがとうございます……!」
リリアの声は震えていた。
すすむは照れくさそうに笑い、頭をかいた。
「いえ。これから冬ですし、お客さんに快適に過ごしてもらいたいだけです。」
こうして、宿の改装計画は本格的に動き出した。
翌日から、空いている部屋を順番に同じ仕様へと改装していくことが決まった。
すすむの“異世界ホスピタリティ”は、また一歩前へ進んだのだった。




