表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/35

第21章 村に広がる噂と、宿屋の新時代

第21章 村に広がる噂と、宿屋の新時代


バイオトイレが設置され、シャワールームが導入され、

さらにアメニティセットまで揃った宿屋は、

もはや村の誰もが知る“異世界の施設”になりつつあった。


最初に変化を感じたのは、宿屋の裏手にある井戸の周りだった。


「なあ、あれ……本当に臭くないんだって?」

「うん、ブランが言ってた。『鼻が幸せになるトイレ』だってよ。」

「鼻が幸せって何だよ……でも気になるな。」


村人たちは、バイオトイレの前を通るたびに、

恐る恐る扉を開けては、驚きの声を上げた。


「……ほんとに臭くない!」

「魔法か? いや、魔道具か?」

「リリアさんの宿、どうなってるんだ……?」


噂は瞬く間に広がり、

村の広場でも、鍛冶屋でも、酒場でも、

宿屋の話題で持ちきりになった。


★★★★★


次に話題になったのは、シャワールームだった。


リリアが毎日嬉しそうに髪を整えている姿を見て、

村の女性たちがざわつき始めた。


「リリアさん、髪が……つやつやしてる……」

「肌も綺麗になってない?」

「何か特別な薬草でも使ってるの?」


リリアは照れながら答えた。


「いえ……白谷さんが用意してくれた“シャワー”というもので……

お湯が出て、髪も体も洗えるんです。」


女性たちは目を丸くした。


「お湯で……毎日洗えるの?」

「そんな贅沢、王都の貴族でもしないわよ!」

「リリアさん、すごい……!」


そして、リリアがアメニティセットを見せると、

村の女性たちはさらに騒ぎ出した。


「この小さな棒は何?」

「耳を掃除するものです。」

「えっ、そんな道具があるの!?」


「この白い粉は?」

「歯を磨くためのものです。」

「歯を……磨く……?」


「この小さな刃物は?」

「髭を剃るためのものです。」

「ひ、髭を剃る道具まで……!」


村の女性たちは興奮し、

村の男性たちは羨望の眼差しを向けた。


「リリアさんの宿……すごすぎないか?」

「王都の宿より豪華なんじゃ……」

「いや、王都でもこんなサービスは聞いたことがない。」


★★★★★


そして、ついに村長ローガンの耳にも噂が届いた。


「白谷殿……村の者たちが、そなたの導入した“設備”について話しておる。

まるで王都の貴族の館のようだと。」


すすむは苦笑しながら答えた。


「そんな大したものではありませんよ。

ただ、少しでも生活が楽になればと思って。」


ローガンは深く頷いた。


「そなたが来てから、この村は確実に変わり始めておる。

宿屋の評判も、村の評判も、良い方向に向かっておる。」


リリアも横で微笑んだ。


「白谷さんのおかげで、お客さんが増えるかもしれません。

こんな村でも、泊まりたいと思ってくれる人が……」


すすむは静かに頷いた。


「ええ。

そのためにも、もっと改善していきましょう。」


★★★★★


その日の夕方。

宿屋の前を通りかかった村人が、

シャワールームとバイオトイレを見て呟いた。


「……ここ、本当に村の宿屋か?」

「いや、もう“村の誇り”だな。」


宿屋の前に立つすすむは、

その言葉を聞きながら、胸の奥が温かくなるのを感じていた。


(少しずつだけど……確かに変わってきている。)


異世界の小さな宿屋は、

今や村の未来を照らす光になりつつあった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ