第20章 アメニティ革命と、宿屋の新たな一歩
第20章 アメニティ革命と、宿屋の新たな一歩
レンタルシャワールームが導入されてから数日。
リリアは毎晩のように温かいお湯を浴び、
「こんなに気持ちいいものがあったなんて……」
と、感激し続けていた。
すすむは、そんなリリアの様子を見ながら、
次に必要なものを考えていた。
(シャワーがあるなら……アメニティも必要だよな。)
タオル、くし、髭剃り、歯ブラシ、シャワーキャップ、綿棒。
現代のホテルでは当たり前のものだが、この世界には存在しない。
(これがあれば、宿屋の“格”が一気に上がる。)
すすむは通販魔法を開き、アメニティセットを検索した。
幸い、ホテル向けの業務用セットがまとめ売りされている。
「……よし、これだ。」
MP5で約20万円分のアメニティを購入する。
次の瞬間――
すすむの部屋に、段ボール箱が山のように積み上がった。
「……多いな。」
箱を開けると、
・バスタオル
・フェイスタオル
・歯ブラシセット
・カミソリ
・シャワーキャップ
・コットン、綿棒
・ヘアブラシ
などが、個包装された状態でぎっしり詰まっている。
数えてみると、200セット以上あった。
(まあ……多いに越したことはないか。)
すすむは箱を抱え、リリアを呼んだ。
★★★★★
「り、リリアさん。ちょっと見てほしいものがあって。」
リリアは厨房から顔を出し、すすむの部屋を覗いた瞬間、固まった。
「……な、なんですか……この箱の山は……?」
すすむは一つの箱を開け、アメニティを取り出した。
「これは、シャワーの時に使う道具です。
タオルや歯ブラシ、髭剃りなど……お客さんに渡すものです。」
リリアは驚きのあまり、口元に手を当てた。
「こんなに……細かいものまで……!
これ全部、白谷さんが?」
「ええ。宿屋のサービス向上のために、と思いまして。」
リリアはしばらくアメニティを眺め、
やがて感動したように目を潤ませた。
「白谷さん……本当に、ありがとうございます……
こんなもの、王都の高級宿でも見たことがありません……!」
すすむは照れくさく笑い、箱を持ち上げた。
「置き場所なんですが……どこがいいでしょう?」
リリアは少し考え、裏の納屋を指さした。
「納屋なら、スペースがあります。
そこに置きましょう。」
二人で箱を運び込み、棚に整然と並べていく。
納屋は一気に“ホテルのバックヤード”のような雰囲気になった。
★★★★★
その後、すすむとリリアは食堂で話し合った。
「このアメニティ……どう使いましょう?」
すすむは迷わず答えた。
「お客さん一人につき、一セット渡しましょう。
シャワールームと合わせて使ってもらえば、
きっと喜んでもらえます。」
リリアは深く頷いた。
「はい……!
これで、うちの宿が……本当に変わりますね。」
すすむは微笑んだ。
「ええ。
少しずつですが、確実に良くなっています。」
リリアは胸に手を当て、嬉しそうに言った。
「白谷さん……
あなたが来てから、うちの宿は本当に変わりました。
これからも……どうか、よろしくお願いします。」
すすむは静かに頷いた。
「こちらこそ。
一緒に、良い宿を作っていきましょう。」
異世界の小さな宿屋に、
また一つ“現代の快適さ”が加わった瞬間だった。




