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第17章 建物スキルと、異世界初のバイオトイレ

第17章 建物スキルと、異世界初のバイオトイレ


翌朝。

すすむは昨日の残りのクロワッサンで簡単に朝食を済ませると、

部屋に戻り、椅子に腰を下ろして深く息を吐いた。


「……さて、次はトイレと風呂だな。」


寝具と食事は改善できた。

だが、衛生環境は依然として深刻だ。

特にトイレの臭いは強烈で、宿屋の裏手に近づくだけで鼻が曲がりそうになる。


(このままじゃ、宿屋としての評価は上がらない。

それに、衛生状態が悪ければ病気の原因にもなる。)


すすむは頭の中で通販サイトを開いた。


温水便座、風呂のフタ、シャワーヘッド……

確かに便利なものはある。

だが、肝心の“本体”――風呂やトイレそのものは売っていない。


「……まあ、そうだよな。

風呂そのものを通販で買えるわけないか。」


すすむは腕を組み、次に《建物LV1》を確認した。


すると、選択肢が二つだけ浮かび上がった。


・風呂用ボイラー

・レンタルバイオトイレ


「……ボイラー?」


すすむはボイラーの詳細ページを開いた。


そこには、金属製の小型ボイラーの図があり、

“既存の浴槽に接続して使用するタイプ”と書かれていた。


「浴槽が必要……か。

それに、配管も自分でやらないといけないのか。」


すすむはすぐに判断した。


(今の設備じゃ無理だ。

浴槽もないし、配管工事なんてできるわけがない。)


次に、もう一つの選択肢――レンタルバイオトイレを開く。


「これは……?」


画面には、見覚えのある“仮設トイレ”の写真が表示されていた。

工事現場やイベント会場でよく見かける、あのタイプだ。


説明文にはこう書かれている。


・微生物分解式で臭いがほとんど出ない

・配管工事不要

・屋外設置可能

・レンタル料:毎日 MP -1


すすむは思わず声を上げた。


「毎日MP1……?

まあ、でも……これならすぐに使える。」


迷う理由はなかった。


「レンタルする。」


すすむが念じると、光が弾け、

宿屋の裏手――馬をつないでいるスペースの横に、

前の世界で見慣れた“仮設トイレ”が現れた。


青い樹脂製の壁、換気口、簡易手洗い。

扉を開けると、中にはトイレットペーパーまで備え付けられている。


すすむは試しに中へ入り、用を足してみた。


「……おお……全然臭わない。」


異世界のぼっとん式トイレと比べれば、

臭いは1/10どころか、ほぼ無臭と言っていい。


(これなら……村の人たちも驚くだろうな。)


すすむは満足し、リリアに説明するため宿屋へ戻った。


★★★★★


リリアは裏口から出てきて、仮設トイレを見た瞬間、

ぽかんと口を開けた。


「すすむさん……これは……何ですか?」


「新しいトイレです。

臭いがほとんど出ないタイプで、工事もいりません。

しばらく、これを使ってみてください。」


リリアはトイレの周りをぐるぐる回り、

扉を開けたり閉めたりしながら、何度も首をかしげた。


「……すごい……けど……なんだか不思議な箱ですね。」


すすむは苦笑した。


「まあ、そう見えますよね。

でも、使ってみれば便利さがわかると思います。」


リリアは笑いながら頷いた。


「はい。

とりあえず、私たち家族は今日からこれを使ってみます。」


その後、すすむとリリアは、少しずつ快方に向かっているハンスにも説明し、

宿屋のスタッフや村の警備兵にも知らせた。


ブランはトイレを見て目を丸くした。


「なんだこれ……すげえ……!

臭くない……!」


村人たちは最初こそ戸惑ったが、

一度使えばその快適さに驚き、

すぐに“新しいトイレ”として受け入れられた。


★★★★★


すすむは自室に戻り、わらベッドに腰を下ろした。


「……これで、トイレはひとまず解決だな。」


だが、まだ課題は残っている。


風呂。

体を洗う環境。

衛生の改善。


すすむは天井を見上げ、静かに呟いた。


「次は……風呂だ。」


異世界の宿屋改革は、まだ始まったばかりだった。

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