表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/35

第12章 異世界に届く寝具と、驚きの改善提案

第12章 異世界に届く寝具と、驚きの改善提案


すすむは、宿屋の裏手にある馬つなぎ場へ向かった。

周囲に人影がないことを確認し、深く息を吸う。


(……寝具を整える。それが、まず最初にできる“おもてなし”だ。)


魔力は残り5ポイント。

通販魔法は1回だけ使える。

だが、寝具セットは“2人分”まとめて購入できることを、昨日の確認で知っていた。


すすむは目を閉じ、静かに念じる。


「通販……寝具セット、2人分。」


視界に淡い光が広がり、通販画面が浮かび上がる。

そこには、簡易マットレス、シーツ、毛布のセットが表示されていた。


――魔力5消費。


すすむが購入を念じると、光が弾け、

次の瞬間、目の前に“新品の寝具セット”が現れた。


白く清潔なシーツ。

柔らかいマットレス。

肌触りの良い毛布。


異世界の粗末な寝具とは比べものにならない品質だ。


「……よし。」


すすむは寝具を抱え、宿屋の裏口から中へ戻った。


リリアと村長ローガンは、食堂で待っていた。

すすむが寝具を抱えて現れると、二人は驚きの声を上げた。


「し、白谷さん……これは……?」


「なんて綺麗な布……こんな寝具、王都でも見たことがありません……!」


すすむは微笑み、丁寧に説明する。


「旅の商売で扱っている品です。

今回の件のお礼として、ローレントさんとマーカスさんに使っていただければと思いまして。」


リリアは慌てて首を振った。


「こ、こんな高価そうなもの……受け取れません!

うちでは到底買えないような……」


すすむは落ち着いた声で言った。


「大丈夫です。

宿代の代わりだと思ってください。

それに、怪我をされたお二人が少しでも休めるようにしたいんです。」


村長ローガンは、すすむの言葉を静かに聞き、深く頷いた。


「……白谷殿。

あなたは本当に、旅人なのか?」


すすむは微笑み、軽く頭を下げた。


「ええ。ただの旅人です。

困っている方を助けたいだけですよ。」


ローガンはしばらくすすむを見つめ、やがて柔らかく笑った。


「……わかった。

あなたの厚意、ありがたく受け取らせてもらおう。」


リリアも胸に手を当て、深く頭を下げた。


「本当に……ありがとうございます。

夫も息子も、そして政務官様たちも……

あなたに助けられてばかりです。」


すすむは寝具を抱え、二階へ向かった。


まずはローレントの部屋へ入る。


ローレントはまだ横になっていたが、すすむが寝具を持って入ると、驚いたように目を見開いた。


「……これは……?」


すすむは丁寧に説明する。


「宿からのお詫びの気持ちとして、寝具を交換させていただきます。

少しでも休みやすくなるように。」


ローレントは寝具に触れ、驚愕の声を漏らした。


「……柔らかい……!

王城でも、これほどの寝具は使われていないぞ……!」


すすむは微笑みながら、手際よくベッドメイキングを進める。

シーツを張り、マットレスを敷き、毛布を整える。


ホテルマンとしての動きは、異世界でも変わらない。


「どうぞ、横になってみてください。」


ローレントは慎重に体を預けた。

次の瞬間、表情が緩む。


「……これは……素晴らしい……

まるで雲の上にいるようだ……」


すすむは静かに頭を下げた。


「少しでもお体が楽になれば幸いです。」


ローレントはしばらく黙り、やがて小さな声で言った。


「……ありがとう。」


その言葉は、すすむの胸に静かに響いた。


続いて、マーカスの部屋へ向かう。


マーカスも寝具を見た瞬間、目を丸くした。


「……これは……どこで手に入れたんだ?」


すすむは同じ説明を繰り返す。


「旅の商売で扱っている品です。

今回の件のお礼として、使っていただければと思いまして。」


マーカスは寝具に触れ、深く息を吐いた。


「……すごいな。

こんな寝具、見たことがない。」


すすむはベッドを整え、マーカスを横にさせた。


「どうですか?」


マーカスは目を閉じ、しばらく沈黙した後、静かに言った。


「……悪くない。

いや……とてもいい。

ありがとう、白谷さん。」


すすむは軽く頭を下げ、部屋を出た。


階段を降りると、リリアと村長が待っていた。


「白谷さん……本当に、ありがとうございました。」


「あなたのおかげで、政務官様たちも少しは落ち着くだろう。」


すすむは微笑み、静かに答えた。


「いえ、まだ始まりにすぎません。

次は……食事を改善しましょう。」


リリアは驚き、村長は目を丸くした。


「食事を……?」


すすむは頷いた。


「はい。

おもてなしの基本は、寝具と食事ですから。」


異世界の宿屋改革は、まだ始まったばかりだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ