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第116章 ボルトン参戦 ― 秘密結社、最後の一押し

第116章 ボルトン参戦 ― 秘密結社、最後の一押し


マリーの怪我が癒え、すすむの護衛に復帰した頃。

 グレン村の裏側では、ある“秘密結社”が静かに動き出していた。


その名も――

 秘密結社「すすむを結婚させる会」。


メンバーは、ギルバート、村長、そしてリリア。

 彼らは、すすむの幸せのため(と称して)、あの手この手で結婚へと導こうとしていた。


そして、次なる作戦の主役に選ばれたのは――

 ガストン冒険者ギルドのギルマスター、ボルトン。


マリーの異母姉妹であり、姉としての威厳と、ギルマスとしての強さを兼ね備えた女性だった。


村長は、ガンツを呼び出した。


「ガンツよ、頼みがある」


「なんだ、村長。珍しく真剣な顔してるな」


「これを……ガストンのボルトン殿に届けてほしい」


村長は、一通の封書を差し出した。

 封蝋には、グレン村の紋章が刻まれている。


「……内容は聞かない方がいいか?」


「うむ。

 これは、すすむ様の未来に関わる大事な手紙じゃ」


「……また、あの結婚作戦か?」


「しっ! 声が大きい!」


村長は慌ててガンツの口を塞いだ。


「と、とにかく……頼んだぞ」


「わかったよ。

 馬のいない馬車で、すぐに届けてくる」


ガンツは、村長の真剣さに押され、手紙を受け取った。


★★★★★


ガストン冒険者ギルド。

 ギルマスター室で、ボルトンはガンツから手紙を受け取った。


「グレン村から……?

 村長が私に手紙とは珍しいわね」


封を切り、内容を読んだ瞬間――


「……は?」


ボルトンの眉が跳ね上がった。


そして、読み進めるにつれ、表情が険しくなり――

 最後には、机を叩いた。


「ちょっと待ちなさい……!

 マリーが……すすむと……?

 結婚……!?」


ガンツは、思わず後ずさった。


「お、おい……落ち着けよ、ボルトン」


「落ち着いていられるわけないでしょう!!

 あの子が……あの子が……!」


ボルトンは、手紙を握りしめた。


「ガンツ、馬車を出しなさい。

 今すぐグレンに行くわ!」


「お、おう……!」


こうして、ボルトンは怒涛の勢いでグレン村へ向かった。


★★★★★


グレン村に到着したボルトンは、馬車から降りるなり、ギルバートの元へ向かった。


「ギルバート!!」


「お、おお……ボルトン!?

 なんでこんな急に……」


「村長から手紙を受け取ったわ。

 あなた、すすむを説得しなさい!」


「せ、説得って……何を……」


「結婚よ!!」


「……ああ、やっぱりその話か」


ギルバートは、頭を抱えた。


「お前も秘密結社の一員だったのか……」


「違うわよ!

 私は姉として来たの!

 マリーが……あの子が……!」


ボルトンは、深呼吸して言った。


「マリーは、すすむのことが好きなのよ。

 でも、あの子は自分の気持ちを押し殺すタイプ。

 誰かが背中を押してあげないと、ずっと一人で抱え込むわ」


「……確かに」


「だから、あなたはすすむを説得しなさい。

 私はマリーを説得するから」


「わかった……!」


二人は、力強く頷き合った。


★★★★★


ボルトンは、グレンインの二階に向かった。

 マリーは、すすむの護衛として廊下に立っていた。


「マリー」


「……お姉様?」


マリーは驚いた表情を見せた。


「どうしてここに……?」


「あなたを迎えに来たのよ」


「え……?」


ボルトンは、マリーの手を取り、部屋に連れ込んだ。


「マリー、正直に言いなさい。

 すすむのこと、どう思ってるの?」


「そ、それは……」


「好きなんでしょう?」


「……っ!」


マリーは、顔を赤くして俯いた。


「私は……護衛です。

 すすむさんを守るのが役目です。

 それ以上のことは……」


「役目とか関係ないわよ!」


ボルトンは、マリーの肩を掴んだ。


「あなたは、すすむのことが好き。

 すすむも、あなたを信頼している。

 だったら、素直になりなさい!」


「で、でも……私は……」


「マリー。

 あなたは幸せになっていいのよ」


マリーの目に、涙が浮かんだ。


「……お姉様……」


「すすむのそばにいたいんでしょう?」


「……はい……」


「なら、行きなさい。

 あなたの気持ちを伝えるのよ」


マリーは、震える声で答えた。


「……わかりました……」


★★★★★


一方その頃。

 ギルバートは、すすむを冒険者ギルドに呼び出していた。


「すすむ、ちょっと話がある」


「どうしたんだよ、ギルバート。

 なんか怖いんだけど……」


「お前……マリーのこと、どう思ってる?」


「ぶっ!!」


すすむは、またしても変な声を出した。


「な、なんで急に……!」


「いいから答えろ」


「そ、そりゃ……大事な仲間だし……

 信頼してるし……

 守ってくれてるし……」


「好きなんだろ?」


「ち、違う!!

 そんな……!」


「じゃあ聞くが、マリーが他の男と結婚したらどう思う?」


「えっ……」


すすむは、言葉を失った。


胸の奥が、ぎゅっと締めつけられるような感覚。

 想像しただけで、息が苦しくなる。


「……いやだ……」


「ほらな」


ギルバートは、にやりと笑った。


「お前、マリーが好きなんだよ」


「……っ!」


「だったら、素直になれ。

 マリーも、お前のことが好きだ」


「……本当に……?」


「ああ。

 だから――結婚しろ」


「け、結婚!?

 いきなりそんな……!」


「いきなりじゃねぇよ。

 お前ら、ずっと一緒にいたじゃねぇか」


すすむは、しばらく黙り込んだ。


そして――


「……わかった。

 俺……マリーと結婚する」


ギルバートは、拳を握りしめた。


(よしっ……!)


★★★★★


夕方。

 グレンインのロビーで、すすむとマリーは向かい合っていた。


「マリー……」


「すすむさん……」


二人は、同時に口を開いた。


「俺と――」


「私と――」


「「結婚してください!」」


しばしの沈黙。


そして――


「……はい」


「……ありがとう」


二人は、照れながらも微笑み合った。


その様子を、柱の陰から覗いていた二人がいた。


ギルバートとボルトンである。


「やったな……!」


「ええ……!」


二人は、拳を軽く合わせた。


「よしっ!」


その声は小さかったが、確かな達成感がこもっていた。


こうして、秘密結社「すすむを結婚させる会」は、

 ついに目的を達成したのであった。

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