表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
102/229

第101話 高級旅館Aの内覧会

第101話 高級旅館Aの内覧会


マンハイム上級政務官を乗せた馬無し馬車が、グレンリゾートホテルの前を静かに離れていった。

その瞬間、すすむの胸の奥に、久しく感じていなかった微かな震えが走った。


――レベルアップ。


視界の端に淡い光が揺らぎ、身体の内側から魔力が膨らむような感覚が広がる。

すすむは深く息を整え、静かにステータスを確認した。


白谷すすむ LV10

体力:68

防御:64

素早さ:84

知力:88

魔力:20000


スキル

・建物LV7(消費5~10000)

・車調達・車保守LV4(消費5~1000)

・偽装LV3(消費20)

・通販LV4(消費5~100)

・収納・置換LV7

・言語LV1


魔力の数値を見た瞬間、すすむは小さく目を見開いた。


「……二万。これは、随分と増えましたね」


主な点は、


・ボーリング装置

・リゾートホテルB

・高級旅館A

・ビジネスホテルC

・従業員宿舎B

・大型重機


と言った能力が今回、備わったところだ。


声は落ち着いているが、内心では驚きを隠せない。

そして、スキル欄に新たに加わった“置換”の文字が目に留まった。


説明を読むと、既存の建物を丸ごと入れ替え、元の建物は収納されるという。


「建物の入れ替え……。これは、使い方次第で街の景観を大きく変えられますね」


すすむは、ホテルマンらしい穏やかな微笑を浮かべた。

だが、もっと気になる項目があった。


高級旅館A+ボーリング装置


「……高級旅館、ですか。これは一度、確認しておいた方が良さそうですね」


すすむは、グレンホテル裏の空き地に向かい、周囲に人がいないことを確認してから、静かに魔力を流した。


次の瞬間、和風の八階建ての建物が、音もなく姿を現した。


すすむはしばし見上げ、感嘆を漏らした。


「これは……見事な造りですね。ハンスさんたちにも、ぜひご覧いただきたい」


★★★★★


朝、すすむはハンス、リリア、レミーの三人を呼び、高級旅館Aの内覧会を行った。


建物に入った瞬間、三人は足を止めた。


「……これは、すごいな」


ハンスが低く呟き、リリアは目を丸くしている。


「レストランが広い……。お食事処って言うんですか?

内装は変わった趣ですが、味わいがある。厨房も、こんなに設備が整っているなんて」


すすむは穏やかに微笑み、案内を続けた。


「一階はロビー、事務室、お食事処、厨房、そしてトイレでございます。

 お食事処は団体のお客様にも対応できる広さになっております」


リリアは厨房の奥まで覗き込み、感嘆の声を漏らした。


「これなら、宴会料理も余裕で作れますね……」


「ええ。動線も良く、スタッフの方々も働きやすいかと存じます」


二階に上がると、客室(大)や娯楽室、宴会場、カラオケ室が並んでいた。

すすむはもし建て替えたら、この客室(大)をハンスさん達の住居、従業員の休憩室にしたらどうか?と提案した。

するとリリアさんが、残りの1部屋は進さんの部屋ですね、と言う。


レミーはスマートボールのレバーを引き、楽しそうに笑っている。


「すすむさん、これ面白いよ!」


「お気に召したようで何よりです。お客様にも喜んでいただけると思いますよ」


宴会場は畳敷きで、奥には舞台がある。

和風の緞帳が、異世界の建物とは思えないほどの存在感を放っていた。


「舞台まであるのか……。これは、街の催しにも使えそうだな」


「はい。用途は広いかと存じます」


三階から八階までは客室が並ぶ。


3階、4階は、客室(小)16室(ユニットバス(小)、トイレ、8畳、シングルベット)

5階から7階は客室(中)12室(風呂、トイレ、12畳、ツインベット)

8階は客室(大)8部屋(風呂、トイレ、シャワー室、12畳+8畳、ダブルツインベット)

という構成であるということを、すすむはかいつまんで説明をした。


畳とベッドを組み合わせた和モダンの部屋は、三人とも初めて見る造りだった。


「畳と言うんですか?柔らかい床に、ベッド……これは面白いわね」


「お客様の好みに合わせて、快適にお過ごしいただけると思います」


八階の大きな客室に入ると、窓からの景色に三人は息を呑んだ。


「……これは、すごい眺めだな」


「こちらは、要人のお客様にもご利用いただけるよう、少し広めに設計されております。

要人はこの8畳の寝室に泊まり、お付きの者と、

12畳のダイニングで翌日の予定について、打ち合わせをする、疲れたら、大きめのソファーで休む。

その様な使い方ができます。」


すすむは丁寧に説明しながら、三人の反応を見守った。


そして最後に、屋上の大浴場へ案内した。


半ガラス張りの内湯と、景色の良い露天風呂。

まだ温泉ではないが、設備としては十分すぎるほどだ。


「……これは、もう……」


リリアが言葉を失い、ハンスが深く息を吐いた。


「すすむさん。

 もし可能なら……この建物に、グレンインを建て替えたい。

 そう思っている」


すすむは静かに頷いた。


「お二人がそうお考えなら、私の能力で建て替えることは可能です。

 もちろん、従業員の皆さまの意見も伺ったうえで、慎重に進めたいと思います」


リリアは目を潤ませ、レミーは嬉しそうに跳ねている。


「すすむさん、本当にありがとう!」


すすむは柔らかく微笑んだ。


「こちらこそ、皆さまのお役に立てるのであれば、これほど嬉しいことはございません」


こうして、グレンイン建て替えの方針は正式に決まった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ