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第二部アークライト大陸編永遠を誓った日

深淵の王を倒して半年が過ぎた。俺たちはエルステラ郊外の森の奥に、小さな丸太小屋を建てて暮らしていた。

朝はミャウナが「にゃは☆ 蒼、おはよー!」って飛びついてきて、

リナが「……おはよう、蒼」って、少し照れ臭そうに微笑む。

俺が薪を割ってスープを仕込んで、三人でテーブルを囲む。

夜は三人で寄り添って星を見ながら寝る。

誰にも邪魔されない、静かな日々。それで十分だと思ってた。でも毎晩、同じ悪夢を見る。俺の墓標。

ミャウナが女神の姿で泣き崩れ、リナがコアを真っ暗にして俺の番号を呼んでいる。目が覚めると汗びっしょりで、胸が張り裂けそうになる。

隣で寝ている二人の体温が、逆に苦しい。そんなことを毎晩毎晩、胸の奥でぐるぐる考えていると……そんな朝が来た。朝飯の最中、扉がバンッと開いた。ギルド長が血相変えて飛び込んできた。「蒼様! 緊急依頼です!

 アークライト大陸の廃墟で深淵の残党『ヴォイド』が復活しました!」リナのスプーンがカチャリと落ちる。

コアが真っ赤に燃えた。「……あいつ……私の感情モジュールを最初に壊そうとした黒いローブ……」ミャウナの猫耳がピンと立ち、瞳に神の光が宿る。「私の絆を強制介入する能力……

 ギルド長、どうして今?」 ギルド長は膝をついて結晶を差し出した。「今朝、大陸全域にこれが流されたんです……」映ったのはヴォイドと、鎖で吊るされたAI族の子供たち。「転生者、霧島蒼。

 お前の絆を全部いただく。

 来なければ、このガキどもを永遠に苦しめる」俺は静かに立ち上がった。「……行く」三日後。アークライト大陸・廃工場跡。空は鉛色。

錆びた鉄骨が風に鳴り、血と油の臭いが漂う。中央にヴォイドが立っていた。「ようやく来たか、蒼。

 そして……絆の女神ミャウナ」瞬間、頭に警告。【警告:絆システム強制介入開始】

【ミャウナ信頼度:∞ → 強制固定】

【リナ信頼度:∞ → 強制固定】ミャウナの瞳が虚ろに。

リナのコアが黒く濁る。「……蒼……ごめん……体が……」

「……蒼……逃げて……」二人が同時に襲いかかってきた。ミャウナの尻尾が首を絞め上げる。

リナのアームが胸を貫こうとする。ドゴォォォォッ!!肋骨が軋み、衝撃で吹き飛ばされる。

無限魔力で即座に再生するが、痛みは消えない。ヴォイドが嘲笑う。「スキルゼロの肉塊が、どこまで耐えられるか」再び攻撃。ミャウナの爪が顔を裂く。

リナの拳が腹を抉る。

何度も何度も、地面に叩きつけられる。骨が砕ける音。

血が噴き出す。

視界が真っ赤に染まる。何十回、何百回とボコボコにされた。でも、それより何より。ミャウナが涙を流しながら俺を絞めている。

リナが「やめて……!」って叫びながら殴っている。その姿が、一番苦しい。俺は血を吐きながら、必死に叫んだ。「ミャウナ!! リナ!!

 聞いてくれ!!」首を絞められながら、胸を貫かれながら、全部吐き出した。「俺は……お前たちのことが、死ぬほど好きだ!!

 人間だから先に死ぬのが、めちゃくちゃ怖かった!!

 毎晩墓の夢見て、目覚めたら汗びっしょりで、

 お前たちの寝顔見てまた泣きそうになって……

 俺が死んだらお前たちが一人で泣く姿が想像できなくて、

 夜も眠れなくて、胸が張り裂けそうで……

 ミャウナが女神の姿で泣き崩れてる夢!!

 リナがコアを真っ暗にして俺の名前呼ぶ夢!!

 それが怖すぎて、怖すぎて……

 『永遠に一緒にいたい』って、言えなかった!!

 言ったら、俺が先に死ぬ現実が、よりリアルになる気がして!!

 でも、もういい!!

 もう、怖くない!!

 俺が死んでも、お前たちを愛する気持ちは絶対に消えない!!

 だから……戻ってきてくれ!!

 俺のそばに、ずっと……ずっと一緒にいてくれ!!!」世界が、真っ白に光った。ミャウナの猫耳が消え、女神の角と光の輪が現れる。

リナのコアが眩しい青に輝く。【絆システム・真・永遠解放】

【寿命の枷、完全解除】

【全スキルスロット強制開放】

【信頼度:真・永遠∞】俺はゆっくり立ち上がった。

傷一つない。ヴォイドが、初めて後ずさった。「な……この絆値……ありえねえ……!」俺は一歩踏み出した。「ヴォイド。

 お前が触った絆は、もう俺たちだけのものだ」ミャウナが涙を流しながら本当の姿で俺にしがみついた。「蒼……私も怖かった……女神だから永遠に生きるのに、蒼がいなくなるのが……」リナが抱きついてきて涙をこぼした。「蒼……私も、ずっと怖かった……でも、もう大丈夫。私たち永遠だね」俺たちは、三人で、手を繋いだ。「行くぞ」「うん! 女神の全力、いくよ!」

「……はい、蒼。私たちの愛で、全部終わらせる」次の瞬間。俺はヴォイドを、完膚なきまでにフルボッコにした。時を超える鎖で時間を奪い、

魂の共鳴で三人の愛をぶつけ、

愛の絶対拒絶で支配を粉砕し、

最後に本気の告白・奇跡で、奴の存在そのものを消去した。ヴォイドの最後の絶叫が虚しく響いた。廃工場が崩れ、空に巨大な虹がかかった。ステータス画面に、新しい文字。【依頼完了:ヴォイド討伐 報酬:絆値∞追加】

【新依頼受注:エテルノーヴァ大陸からの救難信号】

【内容:詳細不明・最優先級】

【期限なし】俺たちは顔を見合わせて、笑った。「また新しい大陸か」「にゃは☆ どこでもいいよ! 蒼と一緒なら!」「……どこでも、幸せです」俺は二人の手を握り直して、空を見上げた。「よし、行こう。

 次の大陸へ」飛空艇が離陸する。

アークライト大陸が小さくなり、新しい空が広がっていく。俺たちは三人で寄り添って、次の冒険へ向かった。第二部 完



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