ソフィアの過去
私は集落の中でも多少権力のある家に生まれた。人間でいう5~6才くらいまでは普通に暮らしていたのだが徐々に私がやる事に失敗が続くと父が平手打ちをするようになった。
私が泣くと今度は拳が飛んできた。暴力を振るわれないように失敗しても失敗を取り戻そうとしても余計空回るだけで暴力は増していった。
おそらく家のメンツで私を立派なエルフとして使えるように様々な事を暴力を振りかざして教え込みたかったんだろうな。
ところが私に才能がなかったせいで徐々に家からも出してもらえず、弟ができるとそちらに愛情を注ぐようになっていった、
嫉妬した私は、どうかしていたのだろうな。弟に手をかけようとしていた。その場面を両親に見られ、暴力に監禁、食事は1日1食だった。そして、人間でいう15才ほどになった時には奴隷として売ろうとしたんだろうな。イヤらしい目つきをした商人がやってきて私の体を隅々まで確かめてきた。私は恐怖で声を荒げ、抵抗したが殴る素振りを見て体が震えあがり、泣くしかなかった。泣いても状況は変わらないのにな。
その時出した声に偶々近くにいた長が聞いていて助けてくれた。長に事情を話ししばらくやっかいになっていたが私がパニックを起こすせいで一緒に暮らせず、集落の外で暮らして門番代わりの事をしていた。
そしてしばらくしてからお前と出会ったんだ。
いや、吐きそう。覚悟はしてたけどえぐいて。
「ホンマめっちゃ良く頑張ったなぁ。ソフィアさんは強いわ。」
慰めがあってるのか判らん。どないせ~っちゅうねん。
「私はエルフという種族ではもう穢れているんだろうな。」
ソフィアがポツリと言った。弱音を吐くほど積もってたんやろうな。
「ソフィアさんはエルフ、というか種族にこだわりはあるん?」
「どういう意味だ?」
「いや、こだわりがないんやったら酷い過去を背負ってエルフとして生きるより、捨ててソフィアさんが生きたいように生きたらええんちゃう?」
ソフィアは何言ってんだ、こいつは?という目を向けてきた。
「俺からしたらってか俺の場合やけど同じ境遇なら親が敷いた道筋をなぞるだけの人生なんてまっぴらごめんやし、勝手に己の欲望や期待を押し付けてくんなって話やしな。ソフィアさんは親の期待を背負わされて無理やり答えようと頑張ったんやろ。」
「……そうだ、な。」
弱弱しく答える。無意識の内に刷り込まれ背負わされたんやろうな。
「自分に必要ないって思ったら捨てたったらええねん。自分の人生や。エルフとして生きたいなら今はもう環境が変わってるんやから自分のペースで磨いていったらええやん。」
なんか都合のええ事言ってるみたいになってるがこれは本心である。
「介福士の仕事ってな、思い込みや先入観に囚われたらあかんねん。それがあるとまともに仕事ができへんようになるからなぁ。」
ソフィアは黙って聞いていた。
「だから種族であーだこーだ言うのはちゃうねんな。けど、こっちも同じ人間やから上から目線の奴は腹立つけどな。」
あまりこういう説明は苦手なんでうまく伝わるか解らんけど本心を汲んでくれ。語彙力が欲しいわ。
「それに前に頼るって言ったやろ。別に負担になるようなら断ってくれてもええけど頼られるのは嫌?」
ソフィアは首を振った。
「確かに、誰かに頼られるのは悪くなかった。いや、誰かと同じ仕事を自分のペースできるのは楽しかった。」
俺はホッとした。
「良かったわ~。これで苦痛やったって言われたら俺もう毎晩枕を濡らして寝てたで。」
俺は冗談交じりで言うと、ソフィアは呆れた感じだったが少し笑顔が戻った。
「それに穢れた言うたけど、俺からしたら穢れてへんから自分を卑下せんときや。俺まで悲しくなるからさぁ。」
とはいえ、なんとかなったか。
虐待 身体、精神、ネグレクト(放置)、性的の4種類に大まかに分類される。細かい所までいくとハグも人によっては身体、精神、性的虐待に捉えられる可能性がある。




