無口の魔法使い
いつも通り、ガルドの介助をしていたある日、一人の来訪者がガルドの部屋に入ってきた。小さな男の子である。
「ケビンか、もうそんな時間か。ちょっと待っとれ。」
ガルドがケビンと呼んだ少年に声をかけた。見た目は小学校低学年くらいだろうか。ケビンはこくんと頷いた。
「あの子どないしたん?」
俺はガルドに訊ねた。
「あぁ、あの子は孤児での。ここで世話を見とるんじゃ。話せないが魔法の素質はあって、何とか魔法を使えるようにしようとは思っておるんじゃが中々うまくいかなくてのぅ。」
「ここに住んでるのか?」
今まで見かけた事なかったのだが。
「普段は引きこもりでの。食事も部屋で食べとるし、紹介するのが遅れてしまったのぅ。」
まぁ、ええけど。引きこもりで孤食かぁ。人見知りなのかコミュニケーションに問題があるのか。
「そうじゃ、あの子の支援も頼めるかの?別で報酬は出すぞ。それとこれはこの前のお礼じゃ。」
俺は銀貨を受け取った。どうやらお手伝いさんの件を知って報酬を用意していたようだ。俺は別になくても良かったが有り難く受け取っておき、ケビンの支援の件も引き受けることにした。
「ケビンって言うんか。俺は勇司って言うねん。挨拶が遅れてもうたけどこれからよろしくやで~。」
俺はかがんでケビンと同じ高さで目を合わせて言った。ケビンは少し固まっていたが軽く頷く。
とりあえず、普段通りにやっているのを見学しながらアセスメントで状態を確認した。
孤食 1人でご飯を食べる。あまり続くとコミュニケーション不足になりがちになるかも。その他にも個食は1人だけ違う食事を食べる。詳しくは食育で調べてみるといいかも。(フードスペシャリスト取る時に学んだような記憶が)




