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第71話 戻って来ました

 商業ギルドで突然倒れたセルバンは至急医務室へ運ばれた。

 医者に診てもらったが熱がある訳でなし、呼吸も脈もそれ程おかしくない。

 今朝からセルバンだけがクチにした食べ物も無いので、何故倒れたのか全く理由が分からないのだ。

 皆が心配しながら見守る中、その日の夜にセルバンが目を覚ました。


「セルバン君、大丈夫か?」


 知らないオッサンだ……普通なら美少女か美人の女医さんだろ?

 なんで寝起きにオッサン見なきゃならないんだ?


「えーと、誰?」


 取り敢えずオッサンは白衣を着てるから医者だろう。しかも絶滅した筈の額帯鏡を額に付けてるから思わず笑ってしまった。


「人の顔を見て笑うとは失礼な子だな。

 まぁ良い、倒れた時のことは覚えているか?」

「……商業ギルドで……イザベラ様と話してて……急に頭が痛くなった、かな」

「記憶は大丈夫らしいな。こんなことは依然にもあったかい?」

「……多分初めて」


 神様に頭を絞められたのはノーカン?

 いや、あれが原因で俺の頭が物理的におかしくなったんじゃないかな?


「ふぅ、そうか。ところでお腹が空いた感じはあるかい?」

「えー、あ、腹ペコミドリムシです」

「表現が独特だな」

「褒めないでください」

「褒めていないが……どうもこれは頭に異常があるかも知れんな」


 えっ? ちょっとしたギャグが通じなくて精神異常者扱いされるの?


「面白くない冗談を言ってごめんなさい、いたって正常です、お腹減ってるので何かください」


 外は真っ暗みたいだから、今日の昼飯食い損ねたか。ただでさえ成長期になのに飯抜きはキツイって。

 取り敢えず体におかしなところはないか探してみる。頭は特に痛みは無し。体も別に異常無し、だな。

 うん、やっぱりキンコジの影響が時間差で出たんだと思う。とんでもない神様に目を付けられたもんだ。


「で、先生、ここは商業ギルドの医務室ですか?」

「そうだ。様態が分からんので下手に動かすのもマズイと判断して医院には運ばなかったのだ」

「なるほど、理解しました。御手数掛けてすみません」

「儂の仕事じゃ。藪医者じゃが気にするな」


 本当の藪医者ならそうは言わないって。この世界の医療レベルは良く知らないけどね。

 パンと野菜スープと言う食いでの足りない遅い夕食を取る。ついでにおトイレも。

 歩いても特に問題無い。マジでどうして急に倒れたのか訳が分からない。先生はランプの灯りで本を読んでいるが、俺は何もすることがない。ベッドの上で胡座を掻いて座っていたが、暇に耐えかねる。


「先生、暇なんで帰って良いですか?」

「あのなぁ、少なくとも今夜は様子見が必要だ」

「村の子達が心配してると思うんで帰りたいんですけど」

「それなら村に使いを出してやるから心配するな。そこで大人しく待っていろよ」


 先生からの圧が凄い。俺に何かあったら責任取らなきゃならないのか?

 そうだよな、この世界はゲームと違ってステータスも見れないから……エッ? 急に視界の中に緑色の文字が浮かんできた。


【ステータス】

名前     セルバン

年齢     13

戦闘ジョブ

 メイン   アーチャー

一般ジョブ  猟師

社会的地位  村長(ルピナス村)

所属     バリシア

        ハンターギルド、商業ギルド

状態     正常

主神     ジロー神

戦闘スキル

 メイン   弓術

 サブ    短剣術

特殊スキル  魔道具作成

一般スキル  解体(鳥)、指導(村民)

魔法     応急措置(初級)

行動方針   危険回避型、世話焼き

性格     オタク気質、お調子者


 これってゲームのステータス画面?

 ジョブとスキルからして俺は弓を使うのが一番適しているみたいだけど、短剣も使えるみたいだから訓練してて良かった。魔法の欄もあるから、新しい魔法を覚えることも出来るんだろうね。出来れば応急措置の消費MPと俺の持つMPの表示が欲しかった。

 身体能力の表示が無いので強さが分からないけど、そんなに鍛えてないから表示されてもそれ程意味が無いかな。行動方針ってのは分かるけど、性格がなオタク気質と世話焼きね……確かにそうかもだけど。

 画面上には他にも色々と書いてあるけど今は無視。何か触れてはいけない気がするからね。


 でも、どうして急にステータスが見えるようになったんだろ?

 急に頭が痛くなって寝込んだら転生したことに気が付くのがデフォルトだけど、たまたま俺はその前に気が付いてたから予定が狂ってたのか?



「セルバンがステータスを見られるようになったか……そうか、ケント神は居なくなったのだな」


 いつもなら何か言えば反応を示すケント神が隣に居たのだが、実はジロー神を次長の座から引き摺り降ろす算段を練っていたと言う事実が発覚したのだ。

 神畜無害に見えたケント神の腹の中は真っ黒黒スケだったことにジロー神の他の神々も驚きを隠せなかった。

 セルバンの元になった自称小説家の死も、実はケント神が狙って空き缶を投げ落としたことが調査で判明しているし、更にセルバンのキャラメイクにもハッキングツールを使用して介入している。

 しかも複数のアカウントを使って一人で灰色ナマコ団と言う盗賊団を結成する拘りようである。ジロー神に見せていた適当なプレーはただの芝居であった訳だ。 

 調査の結果がそのようなものであったことからジロー神の減給処分は免れた一方で、ケント神は神界警察の追手を振り切って逃亡中である。


「次はまともな助手を探すか」


 深い溜め息を吐いたジロー神はハローワーク秘境支所に募集を出すことに決めたのだった。



 結局一晩を商業ギルドで過ごした俺は、翌朝早くにオッサン先生をなんとか説得してルピナス村へと戻ることが出来た。

 共同調理場で朝食の準備をしていたチビッ子達が俺を見付けて寄ってくる。チビッ子と呼ぶには育ちすぎている気がするから子供達と呼ぶことにするか。


「心配かけた?」

「うん、ビックリしたーっ」

「ミイナが泣いてたよ」

「そうか、悪かったな。ミイナのとこに行ってくるよ」


 子供達を押しのけてミイナさんの暮らしているレンガハウスへと向かう。ドアの横に表札が掛けてあり、誰が居るのか分かるようになっている。それでも普段接点が無い子の顔と名前が一致しないこともあるけどね。

 コンコンとドアをノック。

 ギィッと音を立ててドアが開くとミイナさんが出てきた。


「あ、セルバンだ」

「うん、セルバンです……心配させてゴメン」

「それはいいけど、頭は大丈夫?

 昨日の訓練で頭に剣を受けたんじゃない?」


 なるほど、そう言う心配をしてたのか。次から訓練の時はヘルメットを被るように進言するか。


「たんこぶは無いから叩いても平気」

「無理はしないでよ」


 ミイナさんが泣いたって聞いたからもっと落ち込んでると思ってたけど、結構普通だね。いつもより素っ気ない気もするけど。


「村長ーっ、こんやくって何?」


 家の中に居る子供からそんな質問が飛んできた。ミイナさんが喋ったのかな?


「結婚する約束だよ」

「ミイナと村長、結婚するんだ!」

「そうなるかもね」

「わーい! 結婚だーっ! 結婚だーっ! ミイナと村長の結婚だ! 結婚って何?」


 多分、これってこの子が知らない単語が出るたびにアレ何ソレ何って聞かれるパターンだぞ。

 しかも最後には子供の作り方を聞かれるから、ここはサッサと逃げるとしよう。


「……話すと凄く長くなるから、大きくなったら教えてあげる」

「じゃあ、ミイナに聞くぅ」


 そのままミイナさんに抱きついて教えて教えてとおねだり。ミイナさんが困惑した顔になるのがちょっと可愛い。


「後で家に行くからね」

と少しドスを聞かせたミイナさんの声が、その場から立ち去る俺の背中にに突き刺さった。


 我が家に入ると三人組とフィルターガールズがお出迎え。コイツらにも心配掛けたな。

 俺の様態は良く分からないけど、呼吸が安定してたのでそう危険な状態じゃないから家で待ってなさいと先生に言われて指示に従ってたそうだ。偉い偉い。


 朝食をとって少し寛いでから我が家の五人は仕事に出ていった。随分聞き分けが良いのだが、この子達は決められた方針に従って動くロボットじゃないのかと時々思うことがある。

 そうでなければ俺の指示が最優先……それはそれで軍隊みたいだから怖い。やっぱり自分の意思を優先して行動して欲しいよね。


 今日一日は念のため家で安静にしていろと言われているので、先生から借りた医学書を読むことにした。

 治癒魔法が限られた人にしか使えないせいか、予想以上にしっかりした医療知識が書かれている。人体の解剖図やあ筋肉と骨の動きが解説されてるんだよ。騎士クラスになると専門トレーナーが体のケアをするから、そう言う方向の技術は発展しやすいのかも。


 その本を読んでいるとミイナさんが我が家に入ってきて椅子に座る。


「短剣ダイレクトアタックに聞くけど、セルバンって転生者よね」


 質問と言いながら断定してきたか。つまりミイナさんも自分のことを隠すつもりは無いってことだね。

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