閑話 マジチュアのシステムあれこれ
第53話を先に投稿しています。
ジロー神は時折セルバンの行動をモニターしているが、彼がプレイしている世界はセルバンを送り込んだ世界だけではない。
実は仲間達と邪神狩りに行くゲームに嵌まっていて、セルバンの世界はサブゲームの一つに過ぎないのだ。
マジチュアはスローライフと箱庭作りをテーマにした世界であり、進行はゆっくりなので通常なら通知が届いた時に覗く程度で充分対応可能なのだ。
マジチュアはプレーヤーが下僕に幾つかのアルゴリズムを選択して行動指針を持たせることでゲームスタートとなる。
ジロー神はこのゲームに拘るつもりが無かったので、セルバンは簡単には死なないように生存本能を強めにして、後の選択肢はオート設定に任せて世界に送り出している。
ケント神は設定にこだわり『横領する小悪党』、『幼馴染みハーレムのダメ男』、『暗殺者に仕立てられた美少女』など、キャラを変えつつ楽しんでいた。
下僕が何らかの行動を起こす際、基本的に与えられた行動指針に基づく幾つかの選択肢を提示され、ある程度のランダム変数を加えつつ行動を選択する。
普通に考えればこっちだろうと思う筈なのに、別の行動を選択をすることがあるのはこのランダム変数が原因である。
ランダムの振れ幅は知性、感情、世情によって上下する芸の細かなシステムが導入されている。
運営が組み込んだ自慢のシステムだが、多くのプレーヤーはそれには気が付いていない。間違った選択をするのも人間味だと納得しているのだ。
下僕は主たる戦闘系ジョブを選択可能で、そこもランダムで決めた結果がセルバンはアーチャーだった。
ただしこのジョブは下僕がそのジョブを取得するに相応しい行動を取らない場合は発現しないように調整されていて、日頃訓練をしないただの町人が何も戦闘系スキルを得ないのはこれが理由である。
一つのゲーム世界に二十億ぐらいのモブNPCが活動しており、その大半のキャラの能力や行動アルゴリズムがAIによって作られた歴史や文化に対応する範囲でランダム決定により作製されている。
それだけでは面白くないと考えた運営は、プレーヤーが作ったキャラをリセットする際に居なかったものとするのではなく、NPCとしてその世界に存続させるシステムを採用したのである。
これにより、以前プレイしていたキャラと町中で出会い特殊なイベントが発生する隠し要素もある。
また、下僕がプレーヤーに対してお供えをすることでお供えポイントが貯まれば下僕の能力を拡張出来るようになるが、毎日ドジョウ料理ばかりでは大したポイントにはならない。
○○も信心から、などと言う諺は当てはまらないシビアなシステムであるが、下僕の社会的地位によりポイント補正が入るのも隠し要素である。
セルバンによってレア食材のシロウナギのフライが供えられたことでやっと能力拡張が出来るポイントが貯まったのだが、どの能力を拡張するかはプレーヤーが任意に設定することは出来ず、下僕の行動指針にランダム変数を加えて100面体ダイスで決定する仕様となっている。
隙間時間に覗く程度であるので、下僕の行動とランダムイベントによって下僕が死んでいたり、いつの間にか人間が滅んだり、最悪世界が崩壊するようなことがある。
そうなるとプレーヤーは新しい下僕を確保するか別の世界を作る、またはこのゲームのアンストを選択することになる。
地味なゲームだが、下僕の行動によって地位が上がっていき、貴族や国王になる可能性もある。
だが大半の神は村長、町長、良くて市長程度まで育てたところでモチベ不足に陥るのが運営の悩みである。
下僕であるセルバンに今後どのようなイベントが起こるのか、この世界を作った本神にも分からないと言うのがこのゲームの売りであるが、さて、あのケチ神は飽きることなくプレイを続けるのだろうか?
明日から3日間、ある女性の外伝を挟みます。




