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第18話 冒険者とは? (後編)

 冒険者と猟師の違いがロマンを追うか、追わないか、なんて言うゲーシルさんにメンバーの二人から冷たい視線が浴びせられる。

 どうやらコクダイさんとロヒッカさんの二人はゲーシルさんよりまともらしい。


「リーダーのは無視してくれよな、俺達も同じと思われちゃたまらんからな。

 冒険者と猟師の違いは、定住するか、しないかだ。故郷を捨て、自由を求め、気に入った土地で暮らすのが冒険者だな」


 ゲーシルさんより少しまともな意見のコクダイさん。でも精神論しかないのか?


「猟師は町中のお使いクエストはやらん。純粋に狩りで生計を立てる者のことだ。なので危険は犯さず、安全重視で単価の安い獣をたくさん狩る。

 冒険者はリスク承知で極力高い獲物を狙う。

 ボウズみたいに子供のうちは、狙う獲物が猟師と同じになるから、確かに猟師とそうは変わらんな」

とロヒッカさん。

 つまり、彼らにとっては強い獲物を倒しに行くのが冒険者って纏めで良いのかな?


「おっと、忘れてるな。

 決定的なのは、猟師は弓矢しか使わんってことだな。冒険者は使えるものはなんだって使う。剣でも石でも拳でもな」

「なるほどな、弓ばかり使ってきたボウズは確かに猟師と変わらんな」


 リーダーに言われてみれば、これは納得。弓かライフルを使うのが猟師ってイメージだ。

 そう言うちゃんとした答えがあるなら、ロマンとか言わずに先に言えって。


「熊に遭遇したら倒すのが冒険者、逃げるのが猟師って考え方もあるな。

 猟師は接近戦はやらないからな。弓では倒せん熊からは逃げるしかない」

とコクダイさん。これも納得だ。

 ライフルが無いから、山刀とかで上手く頸を斬らなきゃ猟師が熊を倒すのは不可能だろう。

 

「鹿を正面から受け止め倒すのが冒険者、横から射て倒すのが猟師。

 雄鹿の正面に立つとツノで殺されるから冒険者見習いの頃は絶体やめときな」


 ガシッとツノを掴む仕草でこれを言ったのはゲーシルさん。それは出来る、出来ないの個人差があるから誤答だと思うけどね。


「冗談はさておき、いつか命を掛ける時が来るのが冒険者だ。

 これだけは決して忘れてはいかん」


 親指を立てて俺良いこと言ったわ!みたいにドヤ顔されても、ロマンがどうのと言ってた人に言われても説得力が頼りないよなぁ。


「命は大事に、がモットーじゃ冒険者にはなれないか」

「そんなことはない。無駄死にをするなってことだ。自分では倒せないような何か危険な魔物を見付けた場合、その情報を素早く持ち帰る必要があるのは分かるだろ?」


 それはそうだ。納得。前言撤回。


「例えその時に誰かが襲われていたとしてもな。

 命は大事に、とはそう言うことだ。一人を助ける為に代わりにボウズが死んでどうする?

 どんな時でも、生き残る覚悟が無いのなら冒険者などにはならんことだ。ツラい目に遭うだけだぞ」


 魔物をバッタバッタと倒すカッコいいシーンを連想していたけど、ベテラン冒険者と話す内容って思ったよりヘビーになるんだ。

 この世界には無双ってのが無いのかな?

 俺のこの世界での現実では、無双は夢想なのかも。


「冒険者として活躍するなら、もっと剣を振れ。

 お前がお使いクエストで指名を貰うぐらい有名なことは知っているが、他の子供達の為にもいつまでもお前がやるわけにはいかんだろ。

 見習い期間が終わって町の外での活動がメインになっても活躍出来るよう、しっかりと戦えるだけの力を今から蓄えるべきだ」


 それもそうか。さすがリーダー、俺の先のことまで考えてくれてるよ。


 前世ではあまり運動は得意じゃなかったし、今世もチート転生じゃないから恐くて自分が戦う姿ってあまり想像が出来ていないんだよね。

 掘っ建て小屋村が誰かに狙われているって想定してても、自分が剣で子供達を守るって意識は全く無いんだし。

 鳥を捌いているから血には慣れたけど。

 これからは鳥だけじゃなく、他の動物や最悪は人と戦わなきゃならないのか。


 でも、俺はまだ今でも冒険者ギルドのトカゲのシッポ扱いのバウンサー候補だから、基本的に町から出る必要のある依頼は受けられない。

 そこはギルドもなかなか変えてくれないだろうね。ストリートチルドレンなんて、都合の良い生け贄にピッタリだもん。逃がして堪るかって思っているんだろう。


「まぁな、金があれば何も自分で戦う必要もない。

 冒険者を使う立場になるってのも悪くはないな。ボウズがガキどもの大将になっているのも、将来的にはそう言うのを目指してのことだろ?」


 どうなんだろうね。全て成り行きだからなぁ。

 元チビッ子三人が部下になって、その姉妹が来て、それから少しずつ子供達が集まってきた。そしてレンガブームでどっと増えたんだよね。

 俺としては、あの子供達ってこの国から逃亡するための資金集め要員であり、手駒として利用価値のある存在にするために側に置いてるって位置付けなんだけど。

 でも外から見ると、村長に見えると言われているんだよね。


 いやはや、口では国から逃亡するとか言いながら、俺ってほんと何やってんだろ?

 妹に出て行けって言いながら、自分が出て行ったあの頃と大して変わってないんじゃないか?

 言動の不一致だな。ひょっとして、ケチ神様に操られてるんじゃないかと思う。


「そうだな、一人につき月給で大銀貨五十枚。

 住むところを提供してもらえるってんなら四十枚、飯付きなら三十枚で構わん」

「えっ? 何のこと?」

「お前の村を守ってやるって話だ。ガキしか居ねえんだろ。いつか誰かに潰しに来られるぞ」


 やっぱりゲーシルさんもそう思ってるんだ。コクダイさん、ロヒッカさんもそれに頷く。

 でもさすがに人一人にそれだけの金額は逆立ちしても出せないな。あーっ、人を雇って安全を買えるだけのお金が欲しいよ。

 出でよ、打出の小槌! って出てくるわけないし。


 魔石を使った魔道具を作る才能とか、錬金術が使えるならどれだけラクなことか。

 土の魔法も欲しいし、鑑定スキルも治癒魔法も欲しい。

 俺の身の回りにある物は、殆どが子供達の手作りだよ。小屋だけは俺が杭を打ち込んで、廃材や石を集めて作ったけど。

 実は日干しレンガを作るようになってから出来た小屋の方が見た目が良いんだよ。なんか腹立つ。

 

「それだけの金が無いのは分かっているから、売り物にならない獲物が獲れた時は村に譲ってやる。

 スリを働くような子供達をまともな道に引き込んだお前への礼ってことでな。金はやれんからな」

「ありがとう。それだけでも助かるよ」


 でもそれじゃダメなんだよな。

 自給自足とまでは行かなくても、村の子供達だけでも生活していけるように稼げないと。


「鹿の話だが、お前の村で解体して、革に加工出来るようになれば儲かるかも知れん。

 価格面や納入量で既存の業者との折り合いを付ける面倒はあるんだが」


 結構手間が掛かるし、薬品が臭いそうだから俺はやりたくない仕事だな。でも売っても値段の付かない皮が加工すればお金になる。

 検討せずにやらないってのも、確かに勿体ない話だよな。 

 出来る仕事をどんどん取り込んで職人村になるぐらいは頑張っても……あれ?

 おかしい、いや、おかしくはないけど、どうしてそっちに話が流れて行く?


 どうも考えることが俺の最終目標と合致しないんだよ。

 チビッ子達を育てるのはあくまでも手段であり、職人村を作って地域活性と収益確保でWin-Winだなんて喜ぶつもりは無い。

 やっぱり、あの掘っ立て小屋村は神様の意思と関係しているのかな?

 まさか、子供自立支援村とかなんとか名前を付けて、NPOを設立しろと言ってるのか? さすがにそれはハードルが高過ぎる気がする。


「元トップクラスパーティー『ドリームチェイサーズ』の俺達が声を掛ければ、協力してやろうって賛同してくれるヤツは出てくるだろうよ」

「ドリチェならまだしも、ドルチェって呼ばれることが多かったよな」

「そうだな。なぜか甘いもの好きなのがばれてたしよ。硬派で通すつもりが台無しだ」


 短縮してドリチェ、そりゃドルチェと間違えられても仕方ないよ。


「リーダーが携帯食にヨーカンなんか入れておくからばれたんだよな」

「お前らだって芋を揚げて甘くコーティングしたのを持ってただろ」


 羊羮に芋けんぴね。確かに甘そうだ。



「お守りにドリチェが付くなら安心だな。

 10連ガチャでダイブチケットが当たったが、使わず済むならそれに越したことはない」

「またまた~、そんなこと言ってる癖にどうせ良い場面になったらダイブするつもりなんですよね?

 正直に言って下さいよ」

「まぁな、常にランダムイベントに備えておく必要はあると思うぞ。

 俺の勘だが、きっと何か面白いことが起きるに違いない」


 キリッとした顔をケント神に向けるジロー神だが、内心ではこの後に襲われている馬車に遭遇してヒロインを救助するイベントを期待しているのだ。


「私の新キャラも森に行ってるので、次長のキャラと会うかも知れませんね」

「今度はまともに生きてくれることを期待しているぞ」

「……え、えぇまぁ、それなりに頑張って生きてます」


 部下がまたゲスな人生を歩むキャラを使っているのかと呆れるものの、他神のプレーを非難するような野暮なことはしないジロー神であった。

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