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第12話 増える子供達

 我が家と言えるような建物かは別にして、我が掘っ建て小屋からジュージュー三姉妹が巣立って行った。

 兄、弟を残して行くのは心残りであろうが、こちらとしてもいつまでも女子と同棲するわけにもいかないのだ。

 だって俺は第二成長期の最中だしさ。


 そうでなくても、やはり女の子は何かと狙われやすく、力の無い俺がずっと守り抜いていくことは不可能だと思う。


 三人娘が自発的にやってくれていた家事全般の負担が残った男四人の肩にのし掛かってくるが、それは元チビッ子三人に押し付けて……と思っていれば、いつの間にか新たに我が家の居候となった女の子二人組が請け負ってくれた。


 どうもあの三人娘の後釜をずっと狙っていた節がある。

 だが九歳と八歳のお子様だから、問題が起きるのはまだまだ先のことだろう。


 やっぱりそう言う問題はどうしても起こるのだよ……俺の体は正常だし元気だから、朝の生理的ルーチン……がある訳でさ。それを見て不思議そうにされたり興味を持たれても困るだろ。


 この女の子二人の他にも、俺の庇護の下に入りたいと希望する子供達は数名居るようだ。

 だが今のボロい掘っ立て小屋には入りきらないし、皆を救おうと思う程俺の心は広く無いし、経済的にも無理。


 それに三人娘はモブの割には想定以上に頭も良くて、やる気も充分にあった。なんと言っても努力家だったからこそ、あのシェルド爺さんに認めて貰えたのだ。

 幾らお金持ちでも、やる気の無い子供をメイドに引き立てようなんて思わないだろう。


 俺は子供を育ててどこかに売るような悪どい商売をして稼ぐつもりは無い。あくまでも子供を俺の為に動いてくれる手駒として利用したいのだ。

 それが結果的に三人娘のように金銭でのトレードとなるのか、情報入手に繋がるのか、それとも物品をもたらしてくるのかの違いだけである。

 俺が目指しているのは、今でも変わらず国外への逃亡だ。その為に利用出来るものは子供でも大人でも関係なく使うつもりだ。


 シェルド爺さんのお陰で商業ギルドで口座開設と言う念願が叶い、今ではカミィさんからも冒険者になるのなんて辞めて商業ギルドに鞍替えしなよ、とお誘いが来るようになっている。

 傍目には冒険者ギルドから逃亡する必要はもう無いように思えるかも知れないだろう。


 だが、毎日あの駄洒落の下手な神様にお供えをし続けていたお陰なのか、予知夢のような物を見た。

 来るものは拒まず、去るものは逃がさず。

 投げ縄でカウボーイに捕まった馬のように倒されたよ。

 冒険者ギルドがそう言う組織だと、ジロー神が暗に伝えたかったのではなかろうか? だってあのケチ神のことだから、下僕である俺を失うのが勿体無いと思っているに違いないんだから。


 でも所詮それは夢。同じ夢を何日も続けて見れば本物のお告げと思うが、一回ポッキリでは違う気もしてくる。

 そこでもう一つ考えた可能性が、既にあの神様がやらせたいことは俺の頭にインプットされていて、俺の思考や行動は無意識にそれに従って動いているってこと。

 むしろその方が神様だってラクが出来るだろう。わざわざ指示を出す手間が省けるのだから。

 子供を集め、世話をして、行く行くはどこかに村を作ってスローライフを送るように導いているんじゃないかと本気で思う。

 無いとは思うが、雲の上から俺の行動を見て笑っているだけだとしたら、いつか泣かしに行ってやるからな。けど、それってもう一回死ななきゃ無理か?


 冗談はともかく、国外逃亡の為の資金集めと協力者の確保が急務なのだ。

 冒険者ギルドでは、正式に俺を若手の教育担当に任命しようと言う話もチラホラ出てきているらしい。


 ムチ打ちで首にダメージを……じゃなくて鞭で打つしか脳が無いデボラ女史では、子供の反抗心を育てるだけで教育の成果が出ていないとか、俺より役に立っていない無能だとか、あるギルド職員が陰口を叩いていたのがそこそこ偉い人の耳にも届いたらしい。


 まぁ、昇進とかの口利きは賄賂の要求とワンセットなので素直にウンとは言えない相談だがな。

 ちなみにその陰口叩いた職員は、俺が知らないうちにギルドから消えていたのは何故だろう?

 真実を知るのは怖いから、とりあえず冒険者ギルドの七不思議に加えておこう。こうやって増えていく不思議が今幾つあるのか知らないけど。 


 ガリアンは俺にやられてからは俺を避けるようになったが、冒険者見習いではなく、見習いと言う名のオムツが取れた冒険者に対する用心が必要だと思うようになってきた。

 どうも空気が怪しいのだ。自意識過剰か?

 それとも俺の中に眠る野生の勘が何かを感じ取ったのか?

 どうせ眠るなら竜の力の方が……いや、竜も野生動物だ……なんて馬鹿なことを言うから妹に馬鹿にされていたのかも。


 ケチ神様、今からでも遅くないので何か力を与えてくれないかな?

 その前に、もし次に転生する機会があれば、神様を逆指名出来る権利が欲しいかも。


 しかし竜の力とか素敵な謎パワーが無いのだから、今持っている力で冒険者とか危ない人達に対する備えを用意するしかない。

 もしその備えが無用の長物となったとしても、一度作った経験は何かの役に立つ気がする。希望的観測万歳だ。


 まずは日干しレンガを用いた壁により、我が掘っ建て小屋の守りを強化しよう。

 出来れば小高い位置に小屋を建てたかったんだけど、そう言う良い場所から町の住民達が家が建てていくからね。

 俺らが使えるような余っている土地は、余り良くない場所なんだろう。

 でもまぁ、飛び道具でドンパチやるつもりは無いから、壁を作ってもあまり意味が無い気がしてきた。


 それに冒険者が攻撃魔法を使うってのも聞いたことが無い。

 攻撃魔法は存在しているけど、使えるのはエリートだから冒険者ギルドにはあまり就職しないのだとか。


 仕方ない、レンガが乾燥したら壁でも作って海外旅行に行った気分だけでも味わおう。

 この世界には和のテイストが無かろうとも、 俺はここを海外とは認めていない。


 だがレンガがある程度完成したので積み上げて壁を作っていると、どこから聞き付けたのか子供達が物珍しそうに集まってきた。

 木や石を使って壁を作るのは大変だけど、どうやらこれなら自分でも出来そうだと思ったようだ。それにブロックを積み上げるのが、なんだか楽しそうだと?


 見ているだけならそうかもな。でもリアルロゴブロックを積んで粘土を塗ってまた積んで……繰り返しているうちに腕がプルプルしてくるぞ。

 お前らが筋肉痛になっても俺は責任取らないからな!


 それからちょっとしたレンガ作りブームが起こり、弊害として大きな穴が掘っ建て小屋村に出来てしまう。

 雨が降ると水溜まりが出来るので屋根と壁を急ごしらえする。

 穴があるなら利用しようと、親方を決めて穴蔵の建造計画をスタートさせる。まぁ、所詮子供のやることだから大したスピードではないけどね。


 ちなみに日干しレンガも商業ギルドへ運べば買い取ってもらえるが買い取り額は安く、軽トラが無いから運ぶ手間を考えるだけでウンザリだ。なのでレンガは地産地消。

 言葉の本当の意味は違うのだが、子供達は誰も気が付いていないので黙っていよう。


 レンガ作りをきっかけに、俺の掘っ建て小屋周辺には俺を頼ってストリートチルドレン達が集まってきた。

 そんな子供達にはレンガ作り用の枠を与えてレンガ作りを教え、レンガで住居を作らせて住まわせるようにする。

 親切心からではなく、言ってはなんだが肉壁要員だよ。何かあった時は俺の命が最優先なんだからね。


 無駄になるのならそれに越したことは無い備えだと思っていたが、俺の知らないうちに子供達の団結力と俺への忠誠心は強化されていったみたい。

 知っていたらどこかでストップを掛けたと思うが、知らないものだから子供達には出来そうなことをドンドンやらせてみた。


 ギルドで働かせるにはまだ早い子供は養殖池と畑の世話、他にも町の中に生えている植物や樹木で食用可能な実のなるものは味は二の次にして採取させる。

 塩茹にするか、他の食い物のかさ増しに使うつもりだ。


 罠を用いた漁と猟もやらせるし、文字通りの花を売らせたり、道案内、靴磨き、灰の回収、道路に落ちている馬糞の掃除にごみ拾い、何もなくてもとにかく人の目に付く場所に立たせた。

 自分で身を守れない子供は人との繋がりを持たせ、大人に守って貰おう作戦である。


 その為の初期投資に大量の子供服を買ってやったり、身綺麗にしてやったりでかなり財布にダメージを受けたが、三人娘の代金だと言ってシェルド様から押し付けられた金貨が救ってくれた。

 そのお金があったからこそ、子供達を周りに住まわせる決意が出来たのだし。


 住む場所が出来ても食べる物が足りなくてはどうにもならない。子供達の稼いだ小銭は彼らの食費へと姿を変える。

 文字も読めず計算も出来ない子供ではお金を持たせても買い物は出来ない。

 なので村の幹部となった元チビッ子三人組が、市場で売れ残った食料を毎日買いに出ることになる。それと文字の読み書きを教えさせた。


 本来こう言うのは孤児院がやることなのだが、どうやら孤児院もそこそこ腐っているらしく、まだこの村に居る方が良いと逃げ出しここに流れて来るのだ。

 人手が増えれば出来ることは増えるが、出費も増える。

 お金が足りないと悩んでいたところに、三人娘が俺に仕送りを始めてくれたのには本当に涙が流れたよ。



「やっとそれらしくなってきたな」

「災害の後に出来る村みたいな感じの集団ですね。しかし居るのは子供ばっかり」

「セルバンのもとに家の無い子供達が集まってきたのだ。アイツもやれば出来る子だったと言うことか」

「子供だけの国のネバネバランド……」

「勝手に納豆みたいな名前をつけるな!」

「あ、でもほら、そこの子供は本当にナツトウを作ってますよ。そっちの子供は藁を準備して、あっちで豆を茹でてますし!」

「そう言えば、町の中の食堂にナツトウ定食がメニューにあるからな……運営、頭おかしいだろっ!」

今更ながら、運営が用意した完全なNPCのモブキャラにセリフはありません。

NPCでもそれなりの立ち位置の者にはセリフがあります。

またプレーヤーである他の神が操るPCも多く存在し、知らない内にセルバンと知り合うこともあります。

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