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里帰り

「ふぃ〜、やっと着いたな」

武尊たける、おじさんくさいよ」

「うるせ」


 そりゃ二時間も座ってれば疲れるっての。新幹線だから、他の交通機関に比べれば快適ではあるが、それでも疲れるものは疲れる。この調子だと夜行バスにはもう乗れそうにないな。



「んで? これからどうするんだよ?」

「お母さんが迎えに来てくれてるよ」

「お前……初めっから連れてくる気満々だったな」

「まぁね」

「すぐそこの立駐で待ってるって。早く行こ」

「へいへい」


 ったく……恵里えりのやつ。まぁ、いつものことか。


「お待たせ、お母さん」

「遅いよ、恵里」

「ごめんって。武尊がうだうだ言ってうるさかったんだよ」

「俺のせいかよ。てか、うだうだ言わせてるお前が悪い」

「うーん。多分、恵里が悪いねぇ」

「何でよ!?」


 どう考えても日頃のおこないだろ。いい加減気付けよ。


「ま、とにかく早く乗りなよ。遅くなっちゃう」

「はーい」

「よろしくお願いします」


 俺達は車に乗りこみ、恵里のお母さん、夏子なつこさんの運転で、恵里の実家まで向かった。


「それにしても、ごめんね武尊君。まーた恵里のわがままに付き合わせちゃって」

「まぁ慣れてますから大丈夫ですよ」

「ぶっちゃけ開かなくても全然いいから、気楽にやっていいからね」

「はい。そうさせてもらいます」

「ええー! ダメだよ。開くまで帰さないからね!」

「バカ言ってんじゃねぇよ。そんなに開けたいんだったら、自分でやれ」

「私じゃ無理だから仕方なく武尊に頼んでやってるんでしょ! バーカバーカ。バカ武尊〜」


 まじで腹立つな、こいつ。殴っていいか?

 つーか、頼んでやってるってなんだよ。何でお前が上から目線やねん。


「恵里〜、それ以上武尊君のことバカって言うと、ご飯抜きにするよ」

「ちょ、それ酷くない!?」

「全然酷くないでしょ。わがまま言った恵里が悪い」

「ぶー」

「むくれてないで、少しは反省しなさい」


 そうだそうだ。もっと言ってやって下さいよ。


「あ、そうだ。武尊君」

「はい?」

「今日はうちに泊まっていきなさいね」

「え? 何でですか?」


 俺と恵里の家は近所だ。だから普通に実家に帰るつもりだったんだけどな。


「いやね。まもるさん達、仕事で家に居ないのよ」

「まじっすか」


 参ったな。俺、実家の鍵持ってないんだよな。基本的に年末年始ぐらいしか帰らないから、持ち歩かないようにしてたんだよな。


「てか、仕事って何ですか? 親父達は農家だから家に居ないってことないですよね?」

「あれ? 聞いてないの?」

「特に何も聞いてないですけど……」


 え? 親父達なにかやらかしたの? それで出稼ぎとかしてる感じ?

 いやいや、流石にそれだったら、俺の方にも連絡くらい来るよな。


「守さん達、YouTuberになったんだよ。で、今はその撮影で家を開けてるんだよ」

「は……?」


 YouTuber? 嘘だろ。

 何やってんの? あんたらもう五十代過ぎてるだろ。

 てかそもそも畑はどうしたんだよ。


「あ、大丈夫だよ。畑は人を雇って管理してもらってるから」

「そうっすか。えと……因みに親父達どんなことやってるんですかね?」

「基本的には、お悩み相談系YouTuberだね。ライブ配信で視聴者からお悩みを募集して、それに回答していく感じだね」

「あーなるほど。そういう系ですか」


 うん。まぁそれだったらギリいいかな。何か変にはっちゃける系じゃなくてよかったわ。


「結構人気なんだよ。だいたい二万人くらい集まるからね」


 へぇ。そりゃすごいな。下手なゲーム実況者より集まってるじゃん。


「で、一つお悩みを解決する度にメントスコーラをして祝杯を上げるんだよ」

「……」


 何してんだよ……。

 一瞬でもすごいって思った俺がバカみたいじゃねぇかよ。てか、今どきメントスコーラって……。


「それで、今は結婚三十五年記念で、日本最北端と日本最南端からそれぞれスタートして、どこで会えるかチャレンジで、家を開けてるんだよね」


 まじで何やってんの?


「あ、因みに守さんが北海道スタートで、彩芽あやめさんが沖縄スタートだよ」

「そ、そうっすか……」


 その辺の情報はどうでもいいっす。


「まぁそんなわけだから、遠慮なく泊まっていってよ。守さん達からもお願いされてるしね」

「分かりました。それじゃあ、お世話になります」

「にへへ。武尊がうちに泊まるの久しぶりだね」

「まぁそうだな」


 子供の頃はよくお互いの家に泊まってったけな。まぁそれも小学生の高学年前くらいまでだけど。


「部屋は昔使ってた、子供部屋あるからそこを使ってね」

「分かりました」


 あそこか。

 よく恵里に付き合わされて、プロレスごっことか昼ドラ系おままごとしてたな。


「何でもいいけど武尊」

「なんだよ」

「私に興味あるからって、私の部屋に来ちゃダメだからね」

「行くわけねぇだろ。バカじゃねぇの?」

「思ってたよりずっと酷い反応だね!?」


 お前が変なこと言うのが悪いんだよ。バーカ。


「むぅ……」

「あはは、恵里の負け〜」

「お母さん、うるさい」

「はいはい。負け惜しみ」

「むぅ……まじでうるさい」


 やれやれ。この親子も相変わらずだなぁ。


「それでさ、武尊?」

「うん?」

「帰ったからすぐに取り掛かるの?」

「あー、そうだな」


 正直なところ、どんな暗号なのか結構気になっていたし、すぐに取り掛かってもいいかもしれないな。それに明日の夜には帰らないといけないしな。普通に学校があるから。


「悪いけど、謎解きは明日にしなさい。今からだと遅くなるでしょ」

「まぁそれもそうだね。んじゃ武尊。今日はゆっくり休んで、明日の朝一番からよろしくね」

「へいへい」


 ま、そう言われちゃ仕方ないか。んじゃまぁ、明日の朝一番から頑張ってみるとしますかねぇ。


「あ、そうだ」

「ん? 何?」

「何でもいいけど、開けられなくても文句言うなよ」

「分かってるって」

「後、約束のあれも忘れるなよ」

「はいはい。ちゃんと帰ってらトレードしてあげるから」

「なら、よし」


 これで心配事はなくなったな。後は、明日上手い具合に暗号を解読出来て開けられれば、万々歳ってところだな。

 まぁとりあえずあれだ。

 今日はもう疲れたから、さっさと風呂に入って布団にダイブして寝たいわ。

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