表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/19

酷死坊参戦、マユと戦う

(なんだこいつは)

シンの胡散臭そうな眼を感じたのか、老人らしき人物は言った。


「無惨を狙っているのか」

「ん? なぜ、分かった?」


「この杖は仕込み杖だ。しかも、仕込んでいる刀は日輪刀だ。この刀は近くに刀がくるとジンジン鳴る。君たちが背負っているリュックに刀を忍ばせているだろう」


「よく分かったなおじいさん」

「わしは老人ではない。まだ、26歳だ。名前は井黒という」


「井黒さんねぇ、でもとても26歳には見えないわね。あんた、サバ呼んでるってことないわよね」


「老けて見えるってか、大きなお世話だ」


「でもさぁ、言葉使いも老人みたいだし。あんたさぁ、嘘ついているとぶっ殺すわよ」


「それより、君たちは無惨をつけてここに来たような気になっていると思うが、本当は、ここにおびき寄せられたのだよ」


「じゃ、中で無惨が待っているというのか」

「その通りさ」


「あんたさぁ、無惨に詳しいようだけどさぁ、まさか無惨を狙っているってことはないわよね」


「わしは常に無惨を狙っている。しかし、わし一人で勝てる相手ではない」


「っていうか、君さぁ、この時間帯にサングラスをかけているってことは、目が悪いんじゃない。そんなので戦えるのかね」


「わたしがサングラスをしているのは、わたしの目がこうだからだ」と男はサングラスを外した。


「あら、左目が変ね、緑色だわ、もしかして義眼なの?」

「いや、先天性のオッドアイだ。ついでにわしの刀も見せてやろう」


男が抜いた刀は蛇行剣だった。


「あれれれ、杖に仕込んでいるときは刃がまっすぐなのに、抜くとそんなに曲がっているの」


「これで斬ると切り口が曲がるのでな、そうでなければ、無惨相手に勝ち目はない」


「そんなに、無惨って強いのか?」

「強いというより、奴は不死なんじゃ」


「不死ってなによ」

「斬られてもすぐに再生してくるってことじゃ」


「ふん、じゃあ首を斬るとどうなる」

「斬られた瞬間に再生される」


「なんだとぉう。じゃ、どうやって倒すんだ」

「毒じゃ。毒を体内に入れる」


「外からは効かないってこと?」

「経皮毒は効果がない」


「口から入れないとダメってことなのね。エイリアンを倒した時と同じだわ」


「斬った後、再生されるまでの間に、切り口に放り込めば効果はある」


「ふん、なかなか面倒くさい奴だな。で、君は毒を持ち歩いているのかね」


「そうだ」

「少し、オレにもわけてくれ」


男がカプセルを三つほど手渡した。


「なるほど、なるほど、これで勝ち目が出て来た。ハザード社の資料はまったく役に立たないが、君に出会えて、いい情報を手に入れることができた。後は、オレたちに任せておけ」


「いやいやいや、わしだって無惨に一太刀浴びせたい」


三人は寺の境内に入って行った。

見ると無惨が立っていた。


「おい、お前たち遅いな、いつまで待たせれば気が済むのだ」


「まあまあ、慌てるな。慌てる乞食は貰いが少ないっていうぜ、少しでも長生きできることに感謝しねーといけねぇんじゃないか。ところで、一つ訊いてもいいかい。寺の縁側に座っている男は何者かね」


「ふふふ、随分と目がいいな。あれは、オレの刀持ちの影法師だ」


「ほぉ、刀を使うのか、こりゃ、楽しみだぜ。ところで、お前さんは斬られてもすぐに再生できるようだが、そんな程度はお前さんの専売特許じゃねぇぜ。オレだって再生できるし、隣に立っているオンナだって再生できる」


と言っているともう一人の男が現れた。

驚くことに目が六つある。


「またまた、へんてこな野郎がでてきたな。目を六つ持っているだと? メガネをかけるときは、どーすんだよ」


「拙者にメガネは不要だ」

「拙者ときたか。着ている衣装も年代物だしな」


「拙者は武士だ。一人を相手に二人とは卑怯な。拙者が助太刀いたす」


「え? なにかっこうつけてべしゃってんだよ。どうして、見ず知らずの人間が刀を振り回す修羅に参加してくるというんだ。ウソこいてんじゃないわよ。てめぇも、このカニバリズムおっさんの仲間だろう」


「ふふ、よく分かったな」

「こんなもの誰だって分かるだろう。おめぇはアホか」


マユの罵詈雑言を無視して男は言った。

「拙者の名は酷死坊(こくしぼう)じゃ。知っておろう、稀代の剣士、酷死坊の名は」


「知らねーよ、てめぇの名前など誰が知りたいって言った? あー、この時代錯誤マンが。ふざけているとぶっ殺すよ。酷死坊じゃなく、即死亡にしちゃうよ」



「ふふふ、できるかな」

「あ? 余裕こいているとマジで切り刻むぞ」


こうして、シンと無惨、マユと酷死坊が戦うことになった。

「待て、わしも戦うぞ」と井黒が言ったが、「すっこんでろ」と言われてへこんでいた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ